小田原の総鎮守・松原神社の例大祭は、神社神輿や町内神輿が、漁師の祭りを起源とする「小田原担ぎ」という独特の担ぎ方で市内を回るのが特徴である。神輿を船に見立て、神輿を静止した状態で木遣りを唄い、木遣りが終わるやいなや、神輿は勢いよく走り出し、高張りという提灯の前でピタリと静止する。神輿が走ることを小田原では「跳ぶ」と言い、これは全国でも他に例がない珍しい担ぎ方である。番組では、小田原市内で繰り広げられる、脈々と受け継がれて来た木遣りや迫力ある小田原担ぎの様子を紹介する。

日本各地の有形無形の文化財を歴史的ストーリーで結び合わせ、文化庁が認定した「日本遺産」を各回２件ずつ紹介し、今まで知っているようで知らなかった日本を美しく描き出す。（シーズン２：２０１７年１２月３日～２０１８年２月１１日放送、全６回）◆第６回。前編：「丹後ちりめん回廊（京都府）」。京都府北部、日本海に張り出した丹後半島。この地で３００年前に産まれた「丹後ちりめん」は、「しぼ」と呼ばれる表面の凹凸が、上品な光沢と柔らかさを作り出し、古今人気のある着物地として知られている。丹後ちりめんの誕生、そこには丹後特有の気候風土と絹織物を生業とした人々の情熱が織り成す物語があった。◆後編：「江差　ニシンの繁栄が息づく町（北海道）」。江戸時代の江差は、“江戸にもない”賑わいがある港町だった。繁栄の秘密は北の回遊魚ニシン。江戸時代の繊維産業を支えたのは綿や桑の畑であり、ニシンは良質な肥料として需要が高まっていた。一攫千金を狙った商人が移住し、華やかに取引を繰り広げた当時の遺産を紹介する。

熊本のちょっと気になる話題や人、疑問を追いかける情報バラエティ番組。◆熊本で芸術家として生きる二人の男性に密着。ともに創作活動以外、ほかの生き方を知らないという頑固者。１人目の画家・松永健志さん（３３歳）は妻と二人暮らし。東京での極貧生活を乗り越え、今は熊本で絵の売り上げだけで生活している。「毎日、絵を描けるだけで幸せ」という画家のありのままの姿と、彼を支える妻の姿を取材した。２人目は鉄の造形作家・藤本高廣さん（５９歳）。父から受け継いだ鉄工所を閉め、鉄の廃材をリメイクして作品を作る芸術家として生きる決意をした。だが実際には作品はほとんど売れず、訪れる人もおらず、一人広大な工房で黙々と作業を続ける日々。そんなある日、数年ぶりに作品の制作依頼が舞い込む。藤本さんの手により、ただの鉄くずに命が宿る瞬間をカメラが捉える。行き当たりばったりの人生。お金はない。だけど何だか幸せそう。情熱とユーモアを駆使してひょうひょうと人生を送る、二人の芸術家の姿を迫った。

日曜夜に生放送でおくる報道番組。新たな視点による取材と詳しい解説で、ニュースをより深く伝える。編集長・キャスターは松原耕二。◆アメリカでトランプ大統領の元側近らが政権の内幕を証言した暴露本が発売され、波紋が広がる一方、ロシア疑惑の捜査では、大統領本人が聴取される可能性も取り沙汰されている。間もなく発足１年を迎えるトランプ政権のこれからを、秋の中間選挙への展望を中心に読み解く。◆１６年前、エルサレムで起きた１８歳のパレスチナ人少女による自爆テロによって、１７歳のイスラエル人少女が犠牲になった。事件から５年後、２人の少女の母親は対話を試みるが、互いの思いはすれ違い、イスラエル・パレスチナ問題の深刻さを浮き彫りにするだけだった。それから１０年、トランプ米大統領の「エルサレム首都」宣言を受け、松原キャスターが現地を取材。２人の母親を追い、現在の心境を尋ねた。

伝統の技を継承しながら、新たな可能性に挑む山陰の伝統工芸作家「ＴＡＫＵＭＩ（匠）」を紹介するシリーズ番組。第１回は、浜田市の組子細工職人・吉原敬司さん。真骨頂は和モダン空間の演出。日本の伝統的な建具の技法「組子」を現代風にアレンジし、空間を演出する。華やかさの中に繊細な技が息づく組子は、釘や金具を一切使わず、細く挽き割った木材のみで紋様を描き出す。職人として技を受け継ぐ吉原さんに創作への想いを聞く。

「親が夜遅くまで仕事がある」「共働きで家族と食事をとることができない」など、さまざまな事情を抱えた子どもたちに無料や低額で食事を提供するこども食堂。このような施設は全国に２０００か所以上あり、北海道にも１００か所以上あるという（２０１８年５月当時）。札幌市豊平区にある「にじ色こども食堂」もその一つ。２０１５年にオープンし、月に２回、主婦のボランティアを中心に、子どもたちにあったかいごはんを提供してきた。子どもたちだけでなく、近所の人たちも自然に集まってくる。この場所は、地域にとって大切な居場所となっていた。この食堂を１年間見つめ続けたカメラ。レンズの向こうから伝わってきたのは、あるシンプルなメッセージだった。

地域を豊かにするはずの公共事業が地域にもたらしたのは、住民同士の対立だった。国営諫早湾干拓事業。潮受け堤防の排水門開門の是非を巡る漁業者と農業者の裁判は１０年以上続き、開門と非開門の相反する判決が出されるなど、司法判断も分かれている。農家の松尾公春さんはかつて開門差し止め裁判に参加していた。しかし、開門禁止の判決を機に、行政は農家に対する態度を一変させたという。「農家は開門阻止のための盾にされた」と憤りを隠さない。一方、漁業者も失望を深めている。島原市の漁師、中田猶喜さんは８年前に開門の確定判決を勝ち取ったものの、国は今も開門の義務を果たさない上、裁判所も開門判決を否定するような考えを示しており、もはや裁判での解決はできないと考えている。行政と司法の翻弄されてきた漁師と農家。かつて対立の構図にあった両者が今、少しずつ歩み寄りを始めた。諫早湾干拓はいま、新たな展開を迎えている。

２０１８年６月３０日、中東のバーレーンで開かれた世界遺産委員会において、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されることが決定した。「国内暫定リスト」への登録から１１年、二度の国内候補の落選や推薦の取り下げ、構成資産の見直しなど様々な苦難を乗り越えて、ようやくこの“歴史的瞬間”を迎えた。喜びに沸いた長崎の一日を、バーレーンからの中継も交えて「ｎｅｗｓ　ｅｖｅｒｙ．」の特別番組として生放送。長崎県内に誕生した２件目の世界遺産を紹介する。