二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆当麻寺は、千三百年前の建立。奈良から見て西にあるので、西方極楽浄土の入口と信じられ、今日に至るまで極楽往生を願う人々の信仰を集めている。本尊は、当麻曼荼羅という巨大な絵図。極楽浄土の姿が詳しく描かれていて、伝説では、平安時代、貴族の娘の中将姫が、観音菩薩と阿弥陀仏の助けをかりて一夜で織りあげたという。またここには、人が死ぬときその魂を極楽浄土から迎えにくるという２５菩薩来迎の彫刻もあり、それを信者の人たちが演じる練供養も毎年行われている。旅人は数学者・森毅とミュージシャン・種ともこ。

見た、会ったなど、カッパにまつわる伝承は日本の各地に残っている。その中に「薬をくれる」「水利の土木技術に長けている」というものがあり、それは渡来人ではないかと推理。熊本県八代市の祭や碑文から、その謎を探る。そして、２５００年ほど前に中国に興った呉の国の人ではないかと推定。その末裔と考えられる人たちが住む南部の島を訪れる。その島の住民たちの多くは、素潜りで生計をたてているという。旅人はベンガル。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆加賀竿は総漆塗りで金箔や螺鈿を施した美しい竿である。目細忠吉さんと神原円幸さんはこの道一筋の名人竿師。一方、加賀竿とともに鮎釣りに欠かせない毛ばり。野村文子さんは毛ばり作りの伝統を伝える貴重な職人。百万石の城下町で培われてきた加賀竿と毛ばり作りの職人技を紹介する。

札幌の歴史や文化を地元局ならではの視点で捉える。◆旧札幌農学校（北海道大学の前身）「恵迪寮」を再発見する。

二人の旅人が平成の眼であらためて古寺を巡礼するシリーズ。◆京都右京区にある真言宗大覚寺派の総本山大覚寺。嵯峨天皇がこの地に離宮を建てたのが始まりで、御所を模して作られた白州を囲む伽藍を舞台に、さまざまな王朝の芸術や文化が花開いた。大覚寺の文化の結晶は門跡の住まいの宸殿であり、信仰の中心は空海がもたらした般若心経であるという。この回の旅人、フルート奏者・山形由美と俳優・渡辺文雄は、五大堂（本堂）で２６３文字の般若心経の写経にも挑戦。そして観月堂に立ち、平安貴族たちの観月の宴を偲ぶ。

高知県内の観光スポットや、歴史・文化・風習、また新規事業などを紹介するシリーズ。（１９９６年４月７日〜９月２９日放送、全２６回）◆第１４回。高知県幡多郡大方町、東の室戸と共にホエールウォッチングのメッカである。太平洋に群れるニタリクジラを追う。

郷土玩具のさまざまを訪れ、コレクターの一人で北陸大学教授の小林輝治さんに話を聞く。◆金沢の郷土玩具はとにかく種類が多い。年賀切手でも取り上げられ、１９６０年（昭和３５）の「米喰いねずみ」は何万個も注文がきたという。人気は、「うなづき物」といわれる首振りの十二支、お菓子を割ると中から土人形が出る「福徳」、箪笥に入れると衣装が増えるという「八幡起上がり」など。◆童心に帰れるのが魅力か、近ごろは大人が買うことが多い。

福岡県小石原村に住む太田孝宏は小石原焼の陶芸家。亡き父熊雄の名は今も熊雄窯に残る。小石原焼を、バーナード・リーチは民芸美の極致と絶賛した。◆写真家岩崎隆と太田父子のつきあいは、もう１０年になる。熊雄の作風は柔、孝宏は剛だが、ものづくりにかける情熱の血は親子だという。スープ碗づくりは、孝宏さんと妻と息子で作業を分担。頑なだった熊雄の頃から時代は変わったが、日用雑器制作の中で技は確実に伝わっていく。窯出しした作品は、叩くとチーンと妙音をたてた。