かつて「旅」とは「巡礼」のことであった。日常を離れ、非日常の日々を送った後に「聖地」に辿り着いて巡礼は完結する。ひたむきに歩き、祈る人々の姿を追い、２１世紀に生きる人間の「心」のありように迫る。◆新世紀とカソリックの聖年（ジュビレオ）の重なった西暦２０００年は、キリスト教徒にとってはまさに世紀の祝祭年。各地の聖地でさまざまな行事が執り行われ、多くの巡礼団でごったがえす。カソリック三大聖地「バチカン」「エルサレム」「サンチャゴ・デ・コンポステラ」に向かう巡礼団を取材するほか、南米メキシコの土着キリスト教を合わせて紹介する。

ブラジル人作家、パウロ・コエーリョの熊野古道巡礼を追うドキュメンタリー。◆コエーリョは「星の巡礼」「アルケミスト」で知られる作家である。「星の巡礼」は、スペイン・サンチャゴ巡礼の体験を綴った自伝的小説だ。そんなコエーリョが、同じ巡礼道である熊野古道を旅する。そしてそこで出会う人や自然とのふれあいの中で、一千年の歴史を持つこの道に人々が託す思いや、巡礼とは何かを探る。

２０００年の「公的介護保険」制度の施行に伴い、人と人がふれあう介護の現場にスポットを当てたドラマ。全２回。◆第１回「福祉の敵」。金融業を営んできた野上直子（松坂慶子）は、介護保険制度実施直前に借金で社長が失踪したホームヘルパー業者「ヤクスギ介護サービス」の経営を引き継いだ。４月に制度がスタートするやいなや、福祉の知識も経験もなく営利優先で物事を進めようとする直子は、ケア・マネージャーの響克正（鈴木一真）と対立する。そんな時、岸川志保（高岡早紀）という女が、会社の買収をもちかけてくる。

視聴者に公募した「心に残る風景」や「伝統の味や技」などを毎回取り上げ、２１世紀に残しておきたい「みやぎのとっておき」を紹介する。◆今回は、全国のブランド牛肉のなかでもひときわジューシーな食感が好評の仙台牛のステーキを賞味する。

男遊びにあけくれ、父を見向きもしない母を憎む娘。やがて父が病死し、娘は母とその浮気相手に復讐をはじめる。（１１月３０日～１２月２８日、全５回）◆おしのは浮世絵師・菱川国宣に近づくが、相手にされない。悪人とばかり思っていた国宣のふるまいに、おしのの復讐心は揺らぎはじめる。そんな折、徳次郎はおしのを訪ね、与力・千之介が追っていることを知らせる。おしのと徳次郎が一夜をともにした翌日、国宣はおしのに興味を持ち始めた。

食いだおれの街・大阪で、人々にぬくもりを与える幸せの味を生み出す「本物」の料理人を目指して精進を続けるヒロイン・木葉の姿を描く。人と人との出会い、人と自然のつながりの大切さを、夢と希望と共に送る。作：西荻弓絵。ＮＨＫ連続テレビ小説第６５作。（２００１年１０月１日～２００２年３月３０日放送、全１５１回）◆第４回。祖母・フジ（小林千登勢）の不調は狭心症によるものだった。手術が必要と言われたのに、フジは検査が終わってすぐに退院してしまう。木葉（池脇千鶴）の学校では、父・一路（根津甚八）を交えた三者で進路相談が行われ、木葉は父が本当は料理人になりたかったと知る。

京都府警科学捜査研究所を舞台に、榊マリコが科学を駆使して難事件を解決していくミステリーのシリーズ第３弾。（１２月２０日終了、全８回）◆浜辺でダイバー姿の水死体が発見された。所轄署は事故死と断定するが、マリコは被害者の虫歯から殺人と直感する。ダイバーは虫歯を治療せずに海に潜らないからだ。マリコの要請で捜査に乗り出した京都府警の木場警部らは容疑者を絞り込むが、全員にアリバイがあった。被害者の指先に残っていた塗料片も分析したが特定できず、行き詰まったマリコは今は作家として活躍する武藤を訪ねる。

俳句に魅せられて日本で暮らす一人の外国人の目を通して、日本の情緒と俳句の魅力に迫る。◆フランス人のマブソンさんは、青眼（せいがん）という俳号を持つ。南仏に生まれ、高校生の時に留学生として宇都宮で１年間学んだ。それ以来日本に興味を持ち、日本語で俳句を詠みたいという一心で再来日した。オリンピックを控えた長野県の国際課で働きながら、俳句を詠み、小林一茶を研究している。その作風は静謐で、日本人が忘れつつある自然観・心情にあふれている。