人間のルーツを探り、人類が霊長類から進化する過程でどのような社会を形成してきたかを考えるシリーズ。今回は日本で初めて撮影に成功したサウジアラビアのマントヒヒの映像をもとに、マントヒヒの複雑な社会を探る。マントヒヒは群れ（バンド）だけでなく、ユニット、クランという単位で重層的な社会を持つことがわかった。このような社会がなぜ、どのように形成されるのか、またマントヒヒはどこから来たのかも考える。講師は京都大学の伊谷純一郎、森明雄助教授、庄武孝義教授。

北京の東、山西省の平遥。昔のままの城壁が残る四つの街の一つで、高さ１２メートル、全長６キロの壁の中で、４万人が暮らす。◆中心は市楼。眼下には明や清の時代の商店街が続き、素朴なオペラも見られる。銀行もあり、清朝末期には、力を無くした政府に金を貸していたという。城外の寺には、１５５６体の彩色仏像が並ぶ。◆旧暦１月１５日の元宵節は、１０万人の見物客で賑わう。翌日、朝日の昇らぬうちに、城壁の上を街の人が歩く。全部を歩ききると、また一年、元気でいられるという。◆平遥古城

七代続く下町の寿司店に嫁いだ嫁に、初日から試練がふりかかる。たてまえの親子と血のつながった親子との愛情合戦を通して、家庭のあるべき姿を描く。（１９９８年４月１５日〜６月２４日放送、全１１回）◆第１回。４６歳の浅野妙子（宮本信子）は看護婦を辞め、下町の“さくら寿司”の後妻になる。夫となる吉野幹夫（角野卓造）は笑顔を絶やさない妙子にぞっこん。妙子を財産目当てと決めつける幹夫の妹・夏子（田中好子）や前妻の子・隆（山崎裕太）はおもしろくない。店の２階で始まった披露宴には、７年前に家出した幹夫の父親・卓三（小林桂樹）や前妻の幸子（浅茅陽子）まで駆けつける。

「ふるさと紀行」は放送３５周年を迎えた。このシリーズは懐かしい唱歌、童謡など心に残る歌のふるさとを訪ねて日本列島を縦断する。◆黒潮が寄せる、本州最南端の町・和歌山県串本町。橋げたのような奇岩が連なる橋杭岩や潮岬灯台など、南紀地方の観光拠点であり、沿岸漁業が盛んな漁業の町でもある。また、串本はウミガメの産卵地としても知られている。生まれた浜にいつかまた帰って来るともいわれているウミガメ。「うみ」の歌にのせて、黒潮が寄せる串本の美しい海の風景と、そこに生きる海の男たちのロマンを描く。

関西地方の特色ある建物の外観と室内を紹介する。◆奈良女子大学記念館（奈良市北魚屋東町）を取り上げる。

横浜で生まれ育った女優・五大路子がライフワークとして取り組む一人芝居「横浜ローザ」（作・演出：杉山義法）を軸としたドラマ仕立てのドキュメンタリー。◆全国３０ステージを越え、大きな反響を呼んでいるこの芝居のモデルは“ハマのメリーさん”と呼ばれた実在の女性。肌を白く塗り、白いドレスを着てヨコハマの街に立っていた彼女は、時代の生き証人だった。彼女を知る人へのインタビューと、一人芝居の舞台を織り交ぜて彼女の半生を描き、現在の繁栄の裏側にあるもうひとつの戦後史を伝える。

オランダは、国土の四分の一が海より低く、水をかき出す風車が１万基を数えたが、今は９５０基。ここキンデルダイクの１９基は多い。中は住居で、三階建てのしゃれたつくりになっている。◆運営は、ホーホヘームラートという名誉組織の仕事。電力に変わり、風車は姿を消していった。しかし第二次大戦中、ドイツ軍が進駐したとき、人々は風車に隠れ、羽で合図を交わした。油が乏しくなっても風車は回ったのだ。◆もう一つの世界遺産、アムステルダム郊外の水の要塞も紹介する。◆キンデルダイク（エルスハウト）の風車群、アムステルダムのディフェンス・ライン

日本の語り芸の原点といわれる「祭文（さいもん）」が全国で唯一、山形県白鷹町に残されている。祭文は、山伏の祝詞が庶民向けに形を変えたもので、説教節や浪曲へ派生して行く大衆芸能の原形といわれる。山形県に残る祭文は、法螺貝を口に「でろれん、でろれん」と唱えることから「でろれん祭文」と呼ばれている。「でろれん祭文」を農業のかたわら守り続けた山口さん。その引退までの４年間を取材、滅び行く大衆芸能の最後の姿を記録する。