１８年半、７９４本にわたって続いた長寿紀行番組。地域に根ざして生きる人々を描いた紀行ドキュメンタリーのスタイルを確立した。（１９６３年１０月７日～１９８２年３月１０日）◆厳しい冬の日本海。雪の中カニを売り歩く女たち、杉を伐採して木馬で運び出す男たち、砂丘の利用を研究する学者など、鳥取周辺の海と山に粘り強く生きる人々を描く。

１９６５〜６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。（モノクロ）◆新潟県、佐渡の南端の小木半島。冬の間のわずかな凪の日に人々は独特のタライ舟を操り、数メートルの海底にアワビ・サザエを求める。岩だらけの磯には普通の舟は向かない。突風に遭い、岩にあたれば舟はたちまちくだけてしまうからである。岩だらけの磯に生きる漁民の知恵がこの単純な形の中に生きている。十二月のある一日、待ちに待ったノリの口あけを迎える。この日ばかりは老若男女を問わず競って磯を駆ける。厳しい自然と共に生きる佐渡の人々のひたむきさと工夫の姿を描く。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆埼玉県加須・羽生は古利根の流れで江戸と結びついていた。いまも青縞と鯉のぼりの技術、藍がめとともに生きる職人が生き続けている。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆江戸時代初期、北海道で和人の暮らす地域は、南部の海岸線にぽつぽつと点在していたに過ぎない。僅かな和人地と圧倒的なアイヌ地の境界線を、行く先々で木の仏像を刻みながら歩きつづけた僧・円空の足跡をたどりつつ、アイヌ民族と大和民族の接触の歴史をさぐる。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆修験道発祥の地、大峰山。その山麓の洞川は修験道と共に発達した村だが、さらにその底には、山国に生きる日本人すべてに共通した生活と心情がある。独特の柄杓作り、胃腸薬「陀羅尼助」作りを中心に、洞川村民の生活と心情を探る。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆乗鞍岳登山口にある安曇村番所は、下にある大野川という集落から夏の間だけ畑作りに上がる出づくりの場所であった。夏は出づくり、冬は大野川での冬ごもりや薪流し、炭焼き。数々の哀調を帯びた歌を生み、訪れる人もなかったこの山奥の村が、いま新しい学生村として生き返りつつある。歴史の底に流れる村の人たちの哀歓を描く。

１９６５年～６６年当時の日本各地の習俗、行事、生活、技術などを記録したドキュメンタリー。◆能登半島の北端、輪島は「輪島塗り」で知られる漆器の産地。江戸中期以降、能登の職人が心血を注いで築き上げた技法であり、産業である。「塗屋」の年期明け儀式を中心に、人々の努力と工夫の歴史を描く。

病気で何年も寝たきりのフミ子を、夫の謙三は献身的に看病し、周囲の人たちの賞賛の的となっていた。が、ある日フミ子は枕元の睡眠薬を多量に飲み、自殺した。謙三は、彼女が座右に置いていた聖書の一節「わが顔を見ることあたわず」から、彼女の心をさぐる。そして、また彼自身、あの日に限って睡眠薬をフミ子の枕元に置いたのは過失だったのか、自分にもその心の深層はわからなかった。