長崎県南高来郡小浜町南本町に「石膏工場」とよばれる小さな工場がある。終戦後、傷痍軍人のひとりが自立更正のために作ったこの工場は、不慣れな事業に失敗を重ねながらも毎年の干支動物を作り続けた。今では県下の美術教育の縁の下の力もちとして、美術教室にブロンズ像を納入している。国や県から補助も受けず、身障者をいつでも受け入れ、自立の工場運営を続けている。弱者の味方、不屈の人間像をつづる。

下級武士の家に生まれた青年がそのためにさげすまれながらも、持ち前の勇気と才知によって認められ、ついには城代家老の地位に登りつめるまでの労苦にみちた半生を描く。ポーラ名作劇場。原作：山本周五郎（１９６９年３月３日～１９６９年７月１４日放送）◆わずか二十歳の若さで平侍から町奉行与力に抜擢された阿部主水正（中村吉右衛門）のまわりには、軽蔑と嫉妬が入乱れていた。老臣・山根蔵人の娘つる（星由里子）は気性がはげしく、通りかかった主水正に馬上から高慢な態度で声をかけた。

こそ泥のどろろと、４８匹の魔物を倒すことではじめて「人間」として完成するという呪われた運命のもとに生まれた男・百鬼丸との妖怪退治の旅を描いた異色時代劇アニメ。１４話までのタイトルは「どろろ」。（４月６日開始、全２６回）◆どろろはある村の一揆に手を貸す、百鬼丸は身体を取り戻すための魔物退治を続ける、とそれぞれの生き方にしたがって二人は別れた。旅を続け、ついに最後の一体となった魔物を探していた百鬼丸は、自分を魔神に捧げた父親・醍醐景光こそがその魔物であると知る。景光の屋形に向かった百鬼丸が見たのは、一揆に敗れとらわれているどろろたちだった。

都市化が急速に進行している今日、失われている「ふるさと」に視点を向け、その社会の長い歴史とともに培われてきた「一族」を通じて、民衆のエネルギーや根強い生活への息吹を掘り起こすドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。◆岐阜県関市は焼入れに適した水と木炭が豊富であり、多くの名匠を生んできた町である。関の刀匠は、約７００年の刀鍛冶の伝統を今もなお受け継いでいる。番組では、名刀を生み出すために精進する中田兼秀刀匠とその製造工程を紹介する。

１９５７年開始の「日本の素顔」と１９６２年開始の「現代の記録」を統合して始まったドキュメンタリー番組。社会で起こっている出来事、状況を取材し、問題提起する。（１９６４年４月１２日～１９７１年４月２日放送）◆歩行者を車から守るため、１９６５年頃から都市部を中心に次々と歩道橋が建設された。しかし一方で、高齢者や体の不自由な人達にとっては、階段の昇り降りが負担になるという批判も出て、大分県では歩道橋をめぐる裁判も起きた。次々に建設される横断歩道橋を見つめながら、車優先の現代社会のひずみを問う。

実力派のベテラン歌手が出演する音楽番組。オールド歌揺ファンだけでなく、若者や女性からも支持され“なつメロ”ブームを呼ぶ。司会はコロムビア・トップ、ライト。◆この回は大晦日の放送、１９６９年の総集編となる特別番組。藤山一郎、東海林太郎、小唄勝太郎、淡谷のり子をはじめとする、総勢３５人の歌手が出演する。東京・歌舞伎座より生中継。

昭和１６年３月から２０年８月までの激動期を、海軍大尉の妻として生きた、ピアニスト志望の明るく無垢な女性の半生を描いたドラマ。時は第二次世界大戦開戦前後、メリヤス問屋の末娘、岩田安代（木内みどり）は海を愛する海軍中尉加納と結婚する。しかし幸せも束の間、戦争が夫を奪う。未亡人となった安代は遺児に明日を託し、明るくけなげに生きる。原作：佐藤愛子「加納大尉夫人」（１９６９年９月２９日〜１９７０年３月２８日放送）◆（公開版にはテーマ音楽の音がありません。ご了承ください）

徳島県海部町はおよそ４０００人の人間と推定数十匹の大ウナギが住む小さな町である。海部町の母川に棲む大ウナギは国の天然記念物にも指定され、町はこの大ウナギを重要な観光資源としようしていた。大ウナギ飼育用のプールも町費で作られ、町の役場にはウナギ係長なる役職もできた。しかし、大ウナギを一向に捕まえることができず、プールは空っぽのままであった。このままではいけないと町長は町のウナギ取りの名人と大ウナギ生け捕り作戦を実行する。大ウナギを巡って熱くなる町の様子を描く。◆放送番組センター協賛番組