渡欧挨拶を兼ねて、海老原喜之助画伯は、福岡県八女市郊外の坂本画伯を久々に訪ねる。ふたりはともに九州が生んだ近代絵画界の巨匠である。８５歳の坂本画伯は眼も耳も不自由で、海老原との会話は容易にかみ合わない。海老原は坂本絵画の神髄を熱っぽく語り、肉眼のたしかさを語る坂本老と固い握手を交わし、再会を約して別れた。が、坂本は昭和４４年、海老原は翌４５年フランスで客死する。

近代日本の形成に大きな足跡を残した人物や事件が現代にどのような影響を与えたかを、発掘した貴重なフィルムや関係者の話から、今日の時点で検証するシリーズ。（全１３回）◆７人の戦犯に絞首刑が言い渡された東京裁判から２０年。この戦争裁判の是非が論じられ始め、様々な資料も刊行されるようになった。東京裁判は不当であるというインドのパル判事の「判決書」に代表されるように、戦勝国が敗戦国を裁く戦争裁判は、法律的にも不当であるという考えも出てきている。東京裁判を中心に、それがどのような形で、何が裁かれたかを振り返り、「戦争裁判」について考える。

車寅次郎（渥美清）が、家出して以来１８年ぶりに故郷・柴又に帰ってきた。おいちゃん（森川信）、おばちゃん（杉山とく子）、そしてたった１人血の繋がった妹・さくら（長山藍子）と感動の再会を果たす。しかし久々の再会を喜ぶ寅次郎とは裏腹に、お調子者の兄に戸惑うさくら。結局、酒の入った寅次郎を家から追い出してしまう。別れの言葉を告げ、再び旅出つ寅次郎。その足で幼い頃の恩師・坪内散歩（東野英治郎）を訪ねるが、坪内の娘で幼馴染みの冬子（佐藤オリエ）に恋をしてしまうのであった。（１９６８年１０月３日〜１９６９年３月２７日放送、全２６回）

近代日本の形成に大きな足跡を残した人物や事件が現代にどのような影響を与えたかを、発掘した貴重なフィルムや関係者の話から、今日の時点で検証するシリーズ。（全１３回）◆中国の抗日運動は昭和に入って次第に組織的になり、満州事変以後は全大陸的な規模に広がりつつあった。１９２７年以来争い続けていた中国の２つの軍隊、国民政府軍と中国共産党紅軍は、蘆溝橋の銃声を機に“抗日救国”の線で手を組んだ。しかし日中戦争が太平洋戦争へと拡大していく中で、政府軍対共産軍の戦端も開かれ、中国民衆は長い戦いの中を生き抜き、耐え忍んでいった。中国の民衆から見た日中戦争をふりかえる。

「マスコミＱ」は、決まった形式を持たず、テーマに応じた最適な手法を用いて、現代の若者の考えや社会の様々な側面をさぐり出そうというドキュメンタリー。フィルムだけに頼らずに、生中継やビデオテープ、スタジオなどを用いて、ドキュメンタリーの新しい手法を模索する。（１９６７年６月５日〜１９６９年３月１７日放送）◆この回は「テレビと政治」をテーマにスタジオで議論する。１９６８年（昭和４３）７月に行われた第８回参議院議員通常選挙では、石原慎太郎、青島幸男、横山ノックほか、タレント候補が多数出馬して当選した。また、テレビを利用した選挙戦が本格的に行われ、政党のテレビＣＭ、政党討論会の放送が従来よりも増えた。４人の識者が、テレビが今後の政治や選挙に与える影響を論じる。（オープニングはありません。ご了承ください。）

戦後二度目、民間ベースとしては最初の樺太墓参団一行の中に６７歳のある女性がいた。彼女のサハリン（樺太）行の目的は墓参ではない。１０人のこどもの中でただひとり樺太に残した長男に会うため、オルジョニキーゼ号に乗ったのだ。秋のサハリンでの２２年ぶりの母と子の再会をドキュメントする。

江戸は浅草・竜泉寺裏の岡っ引・佐平次に身を寄せる下っ引の佐武。その相棒で按摩の市との大江戸捕り物絵巻。原作：石ノ森章太郎。（１９６８年１０月～１９６９年９月、全５２回）◆三太の友だち・千松の父親が辻斬りに殺された。犯人は般若の面をつけた侍だという。その後も般若は、罪もない町人たちを次々に襲った。八巻鉄斎の双心流道場に通う佐武は、般若を迎え撃とうと考える。鉄斎の娘・お香に稽古をつけてもらい、気合いを入れる佐武。そしてある夜、ついに佐武は般若と対決するが、相手の剣技は凄まじく取り逃がしてしまう。何と、相手の構えは双心流のものだった。佐武は師範代の真壁十内を疑うが…。

１９６８年（昭和４３）４月２５日、東名高速道路の一部が開通。高速道路時代の幕を開けた。この開通第１日、連続衝突事故が発生し、幕開けに暗い影を落とした。果たして高速道路は将来、社会生活にとってどういう意味をもつのか。また、車と速度のメカニズムが日本の事情に合っているのか。人間のスピード感覚など徹底的な現場実験を多方面にわたってくりかえし、高速走行がはらむ危険性を指摘し、その研究対策の必要性を訴える。