いま、サイゴンはテト（正月）前後の奇妙にはなやかな活力がみなぎっている。盛装をしてお寺参りをする女たち、花市を行く娘たちの笑顔…。表面的には戦争の影はない。が、一見はなやかで平和な人生のかげに、歴史の大きな流れの中にいるサイゴン民衆の人生の重さがひそんでいる。番組はサイゴンの何人かの人生記録をオムニバス風にまとめ、それらを歴史的な記録フィルムによって裏うちしていく。

漆絵の王座にある蒔絵、その技法で昭和３０年に最初の人間国宝に指定された名匠、高野松山さんを紹介する。熊本に生まれた高野さんは、蒔絵の最も精密な技法を白山松哉氏に学び、松山の名をうけ、白山派蒔絵の多彩な技術を駆使しながら近代蒔絵の確立に力を注いだ。その優美で格調高い作品は、伝統をきり拓き、修練をつんだ賜物であり、番組では、一千種をこえる道具を自在に使い、香合の高蒔絵を制作する姿を追う。

１９５７年開始の「日本の素顔」と１９６２年開始の「現代の記録」を統合して始まったドキュメンタリー番組。社会で起こっている出来事、状況を取材し、問題提起する。（１９６４年４月１２日～１９７１年４月２日放送）◆歩行者を車から守るため、１９６５年頃から都市部を中心に次々と歩道橋が建設された。しかし一方で、高齢者や体の不自由な人達にとっては、階段の昇り降りが負担になるという批判も出て、大分県では歩道橋をめぐる裁判も起きた。次々に建設される横断歩道橋を見つめながら、車優先の現代社会のひずみを問う。

国際秘密保険調査員という肩書きを持つ女性たちが活躍するお色気アクションドラマ。美女メンバーたちが知性と美貌を駆使して依頼事件の謎を解き、身体を張って悪を懲らしめる。（１９６９年４月７日〜１９７４年９月３０日放送）◆第３話「情無用の女ども」。フランスの新進デザイナー・アラン浜田が来日した。スイス銀行のシークレット・エージェントからの依頼によると、浜田は離婚問題で生命を狙われているらしい。

都市化が急速に進行している今日、失われている「ふるさと」に視点を向け、その社会の長い歴史とともに培われてきた「一族」を通じて、民衆のエネルギーや根強い生活への息吹を掘り起こすドキュメンタリー。放送番組センター協賛番組。◆米どころ越後平野を中心とした新潟地方には、かつて様々な大地主が存在した。なかでも、横越村沢海の伊藤家はその規模の大きさからも全国的に名が知られている。地主八代目の伊藤文吉さんは、美しい緑と水があれば人間は悪人にはなれず、それが生活には必要不可欠であると説く。戦後の農地解放で田畑のほとんどを手放した伊藤家であったが、新潟県内に所有する８か所の山林では、雪のある間に文吉さん自ら山を回り、地元の人と鍋をつついて心の触れ合いを持つことを忘れない。文吉さんとアメリカ人のお嫁さんとの馴れ初め、そして新潟での生活を中心に、昭和２１年（１９４６）に北方文化博物館として再出発した伊藤家の立派な建物の様子も映す。

公害病として認定されるまでの水俣病の１５年を、証言を重ねて構成するドキュメント。◆１９６８年（昭和４３）当時の園田直厚生大臣が水俣病を公害病として認定し、初めて水俣を見舞った。それまで水俣病は「猫狂い」と呼ばれ、奇病と恐れられて大きな社会問題を引き起こしていた。公害病と認定されたとき、認定総数は１１１人であった。

魔法の鏡に呪文を唱えるだけで何にでも変身できるアッコちゃんが、事件が起こるとみんなを助けて大活躍する少女向けアニメーション。（１９６９年１月６日〜１９７０年１０月２６日放送）◆明るくやさしいアッコちゃんは誰からも好かれ、気のいいモコちゃんとは大の仲よし。ある日、大切にしていた鏡を割ってしまいしょんぼりしていると、鏡の精が現れて「今まで大事にしてもらったお礼に」とコンパクトをくれた。それはなんと魔法の鏡だった。

バレーボールにかける女性たちの青春を描いたスポーツ根性ドラマ。実業団チーム・立木大和に集まった朝丘ユミ（岡田可愛）、椿麻里（中山麻理）、松原かおり（岸ユキ）らが、鬼監督・牧圭介（中山仁）にしごかれながら、ついに日本を代表する選手に成長する。原作：神保史郎、望月あきら。少女フレンド連載漫画のドラマ化。（１９６９年１０月５日〜１９７０年８月１６日放送、全４５回）◆第１回。城山高校の朝丘ユミはバレーボールから離れようとしていたが、立木製作所の牧圭介にスカウトされる。