１９５７年開始の「日本の素顔」と１９６２年開始の「現代の記録」を統合して始まったドキュメンタリー番組。社会で起こっている出来事、状況を取材し、問題提起する。（１９６４年４月１２日～１９７１年４月２日放送）◆本州と四国をつなぐ本四架橋が計画され、調査開始から１３年が経つが、架ける場所もどこから着工するかも決まらず、明石・鳴門大橋、児島・坂出を結ぶ瀬戸大橋、尾道・今治を結ぶ瀬戸内海大橋の３つの計画ルート間で激しい誘致合戦が繰り広げられている。ルートにあたる徳島県・香川県・愛媛県のそれぞれの地で過熱するＰＲ合戦ぶりをユーモラスに描きながら、政治の中の地域の自己主張とは何かを考える。

古釜鋳造技術の研究に励み、３０余年の努力を経て、至難といわれた和銑釜の鋳造法を復元した長野垤志さんを紹介する。名古屋の左官職人の家に生まれた長野垤志さんは、はじめ画家を志したが、鉄という素材の美しさをみごとに造形化した茶の湯の釜造りに魅せられその道に入った。銑鉄で造られる釜の多いなか日本古来の砂鉄を溶かした和銑を使って鋳造した。和銑製の釜は特有の風合とすぐれた耐久性が特徴とされるが、鋳造は非常に難しい。その困難な製作を通じ、形態、肌ざわり、ほどこされる文様、それらが調和した芸術作品が生まれる。

ニッポン人の精神的風土を訪ねて、自動車で日本本土の最南端、枕崎から北海道根室まで３，０００キロを縦断する２回シリーズのドキュメンタリー。その土地を愛し、その土地に根付いて生活する人々との出会いを通して、現代日本の庶民の姿が浮かび上がってくる。放送番組センター協賛番組。◆前編は鹿児島県の枕崎を出発し、阿蘇、愛媛県、島根県を経て、京都に至る。走破した距離は１，３００キロ。

痴呆老人の社会復帰施設として、独自の訓練方法を取り入れて注目を集めた福岡県大野城市の特別養護老人ホーム・悠生園を長期取材したもの。リハビリ対策としてヨーロッパで創案された音楽療法を工夫し、障害を持つ５０人あまりの老人にオルガン・ハーモニカ、タンバリン、笛などでベートーベンの「運命」を演奏させる。そうした身体的・精神的な機能回復をめざす課程を追い、老人の生きがいを探る。

１８年半、７９４本にわたって続いた長寿紀行番組。地域に根ざして生きる人々を描いた紀行ドキュメンタリーのスタイルを確立した。（１９６３年１０月７日～１９８２年３月１０日）◆１８１９メートルの磐梯山麓。この山と強いかかわりを持つ山麓の人々の生活、ことに桧原湖のほとりにある山の分校の子どもたちとその地域の生活をじっくりと見つめる。

いま、サイゴンはテト（正月）前後の奇妙にはなやかな活力がみなぎっている。盛装をしてお寺参りをする女たち、花市を行く娘たちの笑顔…。表面的には戦争の影はない。が、一見はなやかで平和な人生のかげに、歴史の大きな流れの中にいるサイゴン民衆の人生の重さがひそんでいる。番組はサイゴンの何人かの人生記録をオムニバス風にまとめ、それらを歴史的な記録フィルムによって裏うちしていく。

江戸時代後期、老中に直属して殺人、放火など凶悪犯罪を追及した火付盗賊改方の活躍を描く池波正太郎原作の時代劇。その長官・長谷川平蔵は凶悪犯たちから「鬼の平蔵」と恐れられていた。（１９６９年１０月７日〜１９７０年１２月２９日放送）◆第四話「蛇の眼」。江戸の有名な盗っ人のなかで唯一残っていた蛇の平十郎（西村晃）が、最後の大仕事を企む。平蔵（八代目松本幸四郎）は、平十郎を捕らえるべく慎重に調べを進めていく。池波正太郎捕物シリーズ。モノクロ作品。

イキのいい魚屋・一心太助と天下の御意見番・大久保彦左衛門の周りに起きる出来事を描く連続時代劇。いなせで気前が良く、その上おっちょこちょいでお人好しの太助が、江戸の町せましと活躍する。（１９６９年１１月３日〜１９７０年１０月２６日放送）◆第１回「花のお江戸で男になろう」。三河から江戸に出てきた一心太助（山田太郎）は、子どもを助けようとして将軍家光の行列を乱し、大久保彦左衛門（進藤英太郎）に捕らえられる。しかし彦左衛門は太助の気風を気に入り、斬らずに屋敷奉公を命じる。そんな中、お手伝いのお仲（小野恵子）が彦左衛門の大事な皿を不注意で割ってしまう。