彫刻の名人、左甚五郎が旅の途中の掛川城下で、名物猫餅の本家争いに負けたという茶屋に立ち寄る。その経緯を聞いて、甚五郎は猫餅の名の由来となった猫を彫ってやる。この猫は客が餅代を猫の足元に置くと、猫が代金箱にその金を入れる仕掛けになっており、これが評判となって茶店は勢いを取り戻す。名も告げずに旅立った彫刻師が実は甚五郎だったとまた評判になり、話を聞いた殿様がその猫を買い上げたという人情ばなし。

黒髪を長く伸ばした女性の大垂髪は、平安絵巻に多く登場する。身動きもままならない髪の長さは女性の従順の象徴でもあり、男たちの権力のあかしでもあった。時代とともに垂れ髪は結い髪へと大きく変化する。江戸の結い髪の誕生には、美への憧れと同時に女性が活動的になっていく背景があった。◆伝統的な髷を結い上げるまでの時代ごとの流行を追い、髪に寄せる思いの深さと髪形の変遷を見る。◆【国宝】吉祥天像〔薬師寺〕、源氏物語絵巻〔徳川美術館〕、扇面法華経冊子〔東京国立博物館〕、風俗図（彦根屏風）〔彦根城博物館〕

戦後、高度成長期からの激動の３０年間に光を当て、日本の社会システムを検証し直すと共に、新しい価値観の台頭の中で揺れる個人が何を選択していくべきかを考えるシリーズ。（１９９２年４月２６日〜１２月２０日放送、全６回）◆第一話「残業をやめられますか」。労働時間の短縮、時短に関連し日本人の働き過ぎが是正できるかどうか、企業での定点取材を中心に、残業を否定できない日本人のメンタリティーをつくモノローグドラマなどで問題を提起し、新しい時代の日本人の働き方を探る。

長崎平和公園の駐車場建設工事現場から旧浦上刑務支所あとが発掘されたのを契機に、強制連行されて祖国に戻れぬまま亡くなった人々に対する日本の対処を探り、戦後処理のあり方を問う。◆同支所には冤罪の可能性もある中国、韓国・朝鮮人が多数服役しており、原爆投下によって犠牲となった。今回初めて確認された遺族のもとには死亡通知も届いておらず、遺骨返還の求めにも刑務所側が応じなかった。爆死した中国人の遺骨は天津抗日殉難烈士記念館に納められていることが確認され、遺族は涙ながらの対面を果たす。この跡地を日本の戦争への反省のあかしとして保存しようとする市民団体の運動、それに対する市および住民の反応も紹介する。

無口で実直な生き方を通してきた男が妻に逃げられた。自分を否定されたような思いを抱き続けてきた男は、定年間際の異動と単身赴任をきっかけに、新しい生き方を模索する。（全２回）◆後編「旅立ち」。立石実郎（高倉健）の単身赴任先の北海道の町に、なんと妻・志津江（大原麗子）と男・菊川隆彦（杉浦直樹）が住み着いていた。奇妙な膠着状態に耐えられなくなった隆彦は、実郎に東京へ帰ってほしいと頼む。しかし実郎は３人で会って、志津江がどちらを選ぶか決着をつけようと言った。とうとう３人は顔を合わせる。

「あの頃の歌をもう一度」をテーマに、４０代・５０代の働き盛りの人たちが青春時代に歌った歌を取り上げる。ＮＨＫホールから生中継。◆曲目は「嫁に来ないか」「星のフラメンコ」「逢いたいなぁあの人に」「いちご白書をもう一度」「涙のバケーション」「六本木ララバイ」「ムーンライトダンス」「舞姫」「見上げてごらん夜の星を」「スウィート・ラブ」「こころ酒」「北を恋うる歌」「今日も初恋」。

ロータリーエンジンで世界最高の２４時間耐久レース「ル・マン」優勝を目指す、マツダの研究員たちの奮闘を描くドラマ。◆自動車メーカー・マツダの研究員・菊島清一（古谷一行）は、狭い研究室でロータリーエンジンの開発に取り組んでいた。研究熱心でデートもすっぽかす菊島にあきれながらも、婚約者の和子（市毛良枝）は裏方の仕事に夢を持つ彼を見守る。やがてロータリーエンジンは実績をあげてゆき、マツダは大きなレースで優勝することを目標に掲げるようになるが、ルール改定でル・マンに参戦できなくなることが決まる。１９９１年、菊島とレース監督の北見（江守徹）は、最後のル・マン耐久レースに挑む。

コネで就職した一流会社で、恋と出世を両立させるため頑張る明るく元気な女性の活躍を描く。同題の人気マンガのドラマ化。原作：深見じゅん（１９９２年６月２７日終了、全１１回）◆遠い親戚のコネで超一流商社・近江物産に入社した田中麻理鈴（石田ひかり）は、備品管理室に配属される。そこは出世とは縁遠い「社内の座敷牢」といわれる部署だった。しかし入社草々に名前も知らない男性先輩社員に一目惚れした麻理鈴は、彼にふさわしい女になろうとお局ＯＬ・美奈子（とよた真帆）にイビられてもへこたれず頑張る。彼女の教育を任された佐和（倍賞美津子）は麻理鈴に資質を見出し「出世したければワルになれ」と囁く。