岩手県早池峰山麓の開拓地に住むマサヨさん、７０歳。戦後入植した他の仲間が山を降り、夫が亡くなった後も、自由に生きたいとひとりこの地に残った。大自然に包まれて暮らすマサヨさんの四季を通して、心ゆたかに生きる老いを描く。

ソビエトでは破滅的な経済危機が続き、ゴルバチョフ大統領の支持率は低下の一途をたどり、左右両派の対立で政治的混迷も深まっている。その中で、大統領はペレストロイカの流れを左から右へ大きく変えた。その理由を探り、ソ連政治力学の本質に迫る。◆１９９０年７月、市場経済への急速な移行を約し民主勢力であるロシア共和国議長エリツィンとかたい握手を交わした大統領は、その後共産党保守派や軍部、軍需産業に譲歩を重ね「秩序と規律」を強調するようになった。７月から１２月の３か月の間に何があったのか、何が強硬路線を選ばせたのか。当時の内幕を知る左右のリーダーの証言から明らかにする。

モンゴルの英雄チンギス・ハーンの陵墓を探索する大プロジェクトチームの活動を紹介する歴史的ロマンあふれるドキュメンタリー。◆チンギス・ハーンは１３世紀に、東は中国から西はヨーロッパに至る大モンゴル帝国を樹立した英雄。調査隊はヘリ探査によりチンギス・ハーンの生まれ育った場所を集中的に調査し、陵墓があると思われる場所を発見する。

七尾線の終着駅輪島。駅名表示に、次はシベリアと書かれている。能登半島の磯べりに、平家の落人が住みついたというこの町は、輪島朝市で賑わう。厳しい自然条件の中で暮らす半農半漁の人々は、海藻シャブシャブや手作り豆腐など、素朴な食生活を送る。壮麗にして重厚な漆器、輪島塗りは、幾多の工人の手を経て仕上げられる。修理復元された“塗師の家”を訪ねる。その昔、全国に雄飛して技をひろめた塗師は、情報発着信の役目を勤めたという。旅人は東野英心。◆第１０４１回　◆輪島朝市塗師の家

魂の入った人間のように感情を表して動く、人形を遣う極意を吉田簑助に聞く。◆人形遣いは人形拵えから参加していかねばならない。かつら・着付けは遣い手の大切な仕事である。舞台では細かな感情を、ことに女形では女らしい色気をさりげなく出していかねばならない。肝心なことは、いつも役の心になって人形を遣うことにつきる。◆副音声は英語

終戦直後の淡路島を舞台に、転校生の巡査の子と同級生たちの少年野球チームをめぐる涙と笑いを描く。原作：阿久悠。（１９９１年１月１１日〜２月１５日放送、全４回）◆第３回「初恋記念」。流れ者の船員から美人の母親を守るため、ガキ大将のアカギレは船員に男同士の勝負を挑む。しかし敗れ、母親の再婚に同意した。雨の日、小百合が健太のもとに現れ、二人で一緒にオルガンを弾き、写真を撮った。「友情記念や」という健太に、小百合は「初恋記念や」という。

日本は箱の国といわれるほど美しい箱が多い。経巻を入れる箱には経を説明する蒔絵で飾る。平安貴族や大名、豪商が用いた四季折々を描いた華麗な手箱や提げ重、食籠、硯箱がおびただしく残されている。箱の内外には用途に応じた紋様が描かれ、用と美の装いの美学が施されている。◆古代から近代までの蒔絵の箱の流れの中に、信仰から遊び、さらに実用への移行を追い、内に秘められた日本人の装飾性の豊かさを知る。◆【国宝】仏功徳蒔絵絵箱〔藤田美術館〕◆【重要文化財】浦嶋明神縁起〔浦嶋神社〕◆【その他】虎屋青貝井籠〔虎屋〕、梅枝散蒔絵香道具〔田資資料館〕

秘密の実験でまったく日差しの入らない地下生活を余儀なくされた家族が変調を来たし、家庭は崩壊寸前となる。◆大学講師・伊丹建彦（役所広司）と妻・奏子（名取裕子）が、高層マンション入居抽選に当たった。ところが当選は手違いだったと会社が謝りに来て、おわびにと用意された地下室を借りることになる。家賃はただ同然、エアコン完備で、朝日も夕焼けも人工的に演出される。ただし景色は見えない。やがて太陽にこがれて妻は浮気に走り、建彦も学生と深い仲になる。子供たちも体調を崩す。実はこれは地下に人が住むとどうなるかを試す会社の実験で、この家族の様子は隠しカメラで撮影されていた。