３３歳の尾崎静子は経済的に苦労が絶えない。子どもはいないが、夫が失業中なのだ。ある日、静子の部屋に書留郵便が届いた。中に入っていたのは、残高７００万円の預金通帳だった。受取人は確かに尾崎静子だが、住所が少し違う。同姓同名のもう一人の女性がいるらしい。この通帳を自分のものにしようと、静子は計画を練る。

近代医学の先駆者として知られる華岡青洲と、彼の研究に身も心も捧げた妻と姑の確執を描くドラマ。◆天明２年（１７８２）、紀州の名家妹尾家の娘・加恵は、医家の華岡家に嫁ぐ。義母となる於継は、加恵が幼い頃から憧れていた人だ。新郎・雲平（後の青洲）は一家の期待を一身に背負って京に遊学中で、夫のいない新婚生活が始まった。於継は今もなお美しく、雲平を一人前にするためなら我が身も捨てる覚悟を持っていた。やがて京から戻った青洲は外科手術用の麻酔の研究を始めた。人体実験が必要になった時、加恵と於継は自分の体を実験にと申し出る。

東京・神田生まれで渋谷育ちの俳優・花澤徳衛さんが、すっかり変貌した思い出の街・渋谷で、かつての面影を尋ねて歩く。幼い日の花澤役の少年も登場するドラマ仕立ての異色ドキュメンタリー。◆花澤さんは明治末の生まれ。１９１３年（大正２）２歳のときに渋谷に引っ越してきた。そのころの渋谷は豊玉郡渋谷町といって東京の市内にも入らないところだった。大阪に移って俳優を志す２３歳までをこの街ですごした。

太陽系誕生のシナリオを探る。◆地球以外に生命の宿った星はあるだろうか。人類は地球外生命の痕跡を求めて地球の兄弟星、月、火星、水星、金星に探査機をのばした、が、そこには生命の可能性すら無い死の世界であった。そして１９８９年８月、惑星探査機ボイジャー２号は１２年間の飛行の最終目的地、海王星に到達した。いま人類は有史以来初めて「太陽系の起源から人類誕生まで」の遠大なドラマを究めつつある。（１９８９年１０月４日終了、全３回）

オーストラリアへの移住体験旅行に参加した１組の老夫婦の体験を軸に、老後の生きがい、夫婦愛など身近な問題を国際的視野から描く。（１９８９年１０月１４日〜１０月２８日放送、全３回）◆龍作と昭子の帰国を前にした日、根来家で近隣の外国人も招いてのパーティが開かれた。そこで彼はさまざまな国籍の人々がお互いの文化や生活を尊重しながら助け合って生きる姿に心を打たれる。１週間のこの移住体験旅行は龍作夫婦に久しぶりの活気と充実をもたらした。

北町奉行・遠山金四郎が町人に変装して悪の一味を退治する時代劇。原作：陣出達朗。◆長崎から来た脇坂玄馬（川谷拓三）が、北町奉行所に「天下を揺るがす一大事」を伝える。玄馬は金さんの父・遠山景晋の長崎奉行時代の部下。玄馬の話によれば、１７年前、長崎の貿易商・元木屋のお千代（草笛光子）が、景晋の後見で将軍家慶の側室となった。やがてお千代は懐妊して宿下がりしたが、死産したと伝えられていた。しかし、子どもは生きていて、このほど世継と名乗り出たと言う。父も関わった事件の真相を探るため、金さん（松方弘樹）は長崎へ向かう。

日本と中国を舞台に、ひとりの少年を通して今も残る戦争の傷あと、そして時を超え、国を超えて通う肉親の思いを描く。日中合作作品。「苹果樹下」。◆１０歳の少年・学仁は、中国残留日本人の父の代わりに、日本に住む祖父を訪ねて北海道まで一人旅をする。やっとたどりついたものの、祖父はすでに亡くなっていた。父の妹は中国に兄がいることをはじめて知り、学仁と中国に旅立つ。

古墳時代は、日本各地にあった国（集落）が大和を中心に連携し統一国家が成立する、４世紀から７世紀までを指す。この時代の大きな特徴は、集落の首長の力が増大して巨大な前方後円墳が造られ、数多くの埴輪が埋蔵されたことである。◆吉野ヶ里遺跡の発掘による新事実などを交え、武人・巫女・農夫などの埴輪の姿から古代日本の有り様を探る。◆【重要文化財】弾琴男子椅坐像〔観音山古墳〕◆【その他】崇神天皇陵、仁徳天皇陵〔宮内庁書陵部〕、五色塚古墳〔神戸市〕、吉野ケ里遺跡出土品〔佐賀県立博物館〕