今もハワイに伝わる盆踊りを背景に、日系移民一家の波乱にみちた歴史を描きながら、ふるさと日本に対する日系移民の複雑な想いをたどるドラマ。◆１９１２年（明治４５）１６歳で単身ハワイへ移住した山波公作（笠智衆）は、ミサ（加藤治子）と“写真見合い”で結婚、理髪店を開く。しかし５男２女に囲まれた幸福な暮らしは、日本の真珠湾攻撃で終わりを告げた。そして１９８３年（昭和５８）夏、突然日本から孫娘・美沙（石田えり）がハワイの公作を訪ねてくる。美沙の父・作太郎（中井貴一）は公作の四男だったが、あることが原因で公作から親子の縁を切られていた。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆フィリピン南西部・パラワン島の熱帯雨林生物探検。島の中西部にある世界最長の地底川（全長６．９ｋｍ）とその周辺の熱帯雨林地帯を中心に、さまざまな生物の営みを紹介していく。悪疫、毒蛇、毒虫などの跳梁する魔境といわれていた熱帯雨林は、実はこうした多くの生物たちの野生の王国なのだ。生物探検旅行を終えた研究者の憂鬱は、豊かな熱帯雨林の自然が猛烈な勢いで地上から姿を消しつつあることだ。

奈良県高市郡明日香村は、古代日本の歴史を解く、多くのなぞを秘めた里である。巨石で築かれた石舞台をはじめ、多くの古墳や遺跡もある。古代の華やいだ貴族中心の仏教文化だけではなく、明日香にも素朴な庶民信仰があった。稲淵と栢森という２つの集落で、それぞれ男と女をかたどった綱の飾りを作り、子孫繁栄、五穀豊じょうを願う『綱かけ神事』が行われる。昔も今も変わらぬ、村人たちの神への敬けんな祈りの姿がある。◆綱かけ神事〔奈良県〕

北海道北見市を舞台に、病気入院中の父に代わって一家を背負う母とその娘の対立と理解、一家のたくましさを描く。第３回読売「女性ヒューマン・ドキュメンタリー」大賞優秀賞受賞作。原作：深貝裕子。◆中学３年生の伊沢ひろみ（杉田かおる）には、男まさりの働き者の母・マサ子（山岡久乃）のことが理解できない。父が倒れても心配するより先に入院費を工面し、せっかく改築した部屋を全部下宿用にしてしまう母。ひろみはその下宿人の食事の世話をさせられる。やり切れなくなって家を飛びだし、函館へ行く。海の向こうは東京に続いていると考えると、ひろみには限りない自由の地に思えるのだった。

文学作品のゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人、その作品に影響を与えた人にふれることで、文学作品のもつ「もうひとつの世界」を探る、文学紀行番組の新シリーズ。第２集まで制作・放送された。（第２集／１９８３年１０月８日～１９８４年３月３１日放送、全２６回）◆第１回は寺山修司の「田園に死す」（１９６５年）。４７歳の若さで亡くなった表現の天才、寺山修司は、演劇、映画など幅広く活動したが、その作風の原点には短歌の発想があった。２９歳の時に出版された「田園に死す」は歌人寺山の代表作とも言える。寺山の郷里である青森県三沢市と青森市を訪ね、寺山の家族や昔の友人、恩師との関わりに迫る。そして「田園に死す」と寺山の自叙伝「誰か故郷を思はざる」を通して、寺山の人物像が明らかになっていく。

１９８３年６月１１日のインドネシアでの皆既日食。そのはじまりから終わりまでの約５分間を中心に、皆既食の現象と動植物の反応、住民たちの表情などをボロブドール寺院、スラウエシ島のウジュバンダでインドネシア国営放送と共同取材、衛星中継録画で描く。

東京・下町に住む仲よし３人組の老人たちが巻き起こす「老人対社会」の戦いを、コメディータッチで描くシリーズ。（１９８３年６月２４日終了、全２０回）◆元行司で、ちゃんこ鍋屋の隠居・勝造は、ローラースケートで放火犯を追いかけるほど達者だ。が、息子・庄太郎夫婦はそんな勝造を厄介者扱いする。ある日、勝造は孫娘が恋人とホテルから出るところを目撃してしまう。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆圭が家出の理由をたずねると、おしんは言葉すくなに銀山温泉には何としてももう一度来たかったこと、それに昔住んでいた村を見てみたい、自分の人生をいま一度見直して生きてくる途中で忘れてきた何かをみつけたいと語る。