新空港の建設のため埋め立てられる美しい珊瑚礁の海。そこに暮らす人々を通して、自然の大切さと開発に揺れる沖縄の姿を描く。◆沖縄県・石垣島で新空港の建設準備が進められている。新空港の候補地が同島東部の白保海岸を埋め立てるものであるため、地元・石垣市をはじめ沖縄本島の自然を大切にする人々からも反対の声が上がっている。白保海岸は沖縄最大の珊瑚礁で、そのスケールと美しさが世界で２番目といわれている。この海は、海を生活の場とする白保地域住民の生命線でもある。

山陰の小京都といわれる津和野の人と風土を、『鷺舞』を中心に描く。◆その昔、京の都から鷺舞神事が渡った町、津和野。京のみやびの文化を受け継ぎ、旧家の屋根にも鷺の作りものが上がる。京都祇園から社を招いた弥栄神社が津和野川のほとりにある。毎年７月２０日と２７日に古式に従って鷺舞神事が奉納される。白鷺に化身した２羽が人々の安らぎを祝って神社で舞い、町を練ってまた舞う。◆【記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財】弥栄神社の鷺舞〔島根県〕

赤い瓦にシーサー（魔除けのための唐獅子像）を乗せた沖縄特有の風景。八重山諸島で沖縄本島に次ぐ大きさの西表島は、険しい山々があるため「眠れる宝の山」と呼ばれてきた。海辺のわずかな土地での、遠い昔の稲作を思わせる水牛を使った農耕。神の聖域ウタリに参る、世襲の巫女の姿に見る古代信仰。厳しさとのどかさ、優しさとおおらかさを秘めた南の島ならではの西表島に、沖縄の原点を見る。◆西表島〔沖縄県〕

終戦直後の中国・東北部で生き別れになった、長野県南牧村出身の三姉妹。次女は１９４６年（昭２１）に帰国したが、長女と三女が帰国できたのは１９８０年（昭５５）だった。次女は、懸命に三女一家の世話をするが、妹一家は故郷での生活になじめず、埼玉県へ転出してしまう。３年後、ようやく日本の生活にも馴れた一家。子供たちは「２世」の生き方を摸索する。

世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆ヒマラヤ山脈の北に広がる平均高度４千メートルを越す高原の国、チベットのタンシュン草原は、遊牧民の冬のキャンプ地である。十月初旬、夏の間、ナムツォ湖周辺でヤクと羊を遊牧していた人々が、冬を過ごすためにここに集まってくる。チベットの女は、朝昼夕と、ヤクの乳搾りをし、バターを作る。水汲み、燃料用のヤクの糞拾い、食事の準備。ヤクの毛より機織り。子供も何でも手伝う。若者たちは、家族以外と暮らせる冬を楽しむ。

１９８４年（昭５９）９月１４日に起きた長野県西部地震による御嶽山の大崩壊は、１００年に１度あるかないかというほど大規模なものだった。中部日本放送だけがとらえた「土石流の瞬間」の映像を分析する一方、大崩壊を目撃した人の貴重な話をまじえ、京都大学防災研究所が「土石流説」を裏づけるまでの過程を描く科学ドキュメント。

岐阜県郡上郡八幡町で毎年行われる千虎白山神社の『甘酒祭』と、水の町・郡上八幡の趣のある詩情をたたえる。◆甘酒祭は３００年続く伝統行事。町は沸き返る。その昔、連歌の祖・飯尾宗ぎ（１４２１〜１５０２）がこの町の名水を歌って以来、頼山陽など多くの文人が訪れて水の町八幡をめでた。以来５００年、清い水が絶えたことはない。神楽を奉納した後、振舞われる甘酒で春の喜びを分かちあう。◆千虎白山神社の甘酒祭〔岐阜県〕

明治維新後、大井川の川越え制度が廃止されることになり、身ひとつで暮らしてきた川越人夫たちは窮地に陥った。それら川越人夫を救済するため、自分の田地を売り払って金を調達して政府に直訴し、後に牧之原開墾に尽力した仲田源蔵の生き様を描く。◆仲田源蔵は、１８４２年（天保１３）、遠州金谷宿（静岡県島田市）の醤油問屋に生まれた。身長１８０センチ、体重９２キロの偉丈夫であったという。１７歳のとき江戸の商家に奉公に出て、帰郷後家業の醤油屋を継いだ。維新後、大井川の川越え制度が廃止されることとなり、職を失う人夫たちに請われて彼らの総代となって民部省に救済を直訴した。このとき源蔵は２９歳であった。これがきっかけとなって源蔵は、新設された大井川渡船の舟方手代に任じられ、さらに人夫達による牧之原開墾に尽力し、わが国有数のお茶の産地を形成する基礎を築いた。