知多と渥美の両半島に抱かれた愛知県三河湾の漁師町、一色町。普段静かなこの町に、漁の平穏を祈る夏祭りの音が響く。直径６メートル、長さ１０メートルという大ちょうちんが夜空に輝く。仁侠のゆかり深い吉良の隣町である一色は、漁師の心意気もひと味違う。◆１９５９（昭和３４）年９月の伊勢湾台風で海辺も様変わりした。昔風の和船も時代で姿を消し、舟大工も今では和船模型作りの余技を楽しむ。◆大提灯祭り〔愛知県〕

足の不自由な不治の病の娘を乳母車にのせて遍路の旅を続ける母とその妹がいた。実は、母親は、夫殺しの罪を償うために遍路に出たのであった。その旅の途上、３人は、殺したはずの夫、娘たちの父にそっくりな男と出会う。この幻の父との遍路を通し、母娘３人のそれぞれ背負った人間的な苦悩が、めぐり来る四季の美しさと生命力の中で浄化されていく姿を描く。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆翌日、圭はおしんを背負って月山を仰ぐ雪深い山中にある一軒の廃屋を訪ねた。くずれ落ちそうな廃屋の前に、おしんは流れ落ちる涙もぬぐわずに立ちつくす。そこは８３年前におしんが生まれ育った家だったのだ。おしんは昔を思い出す。

１９８１年１０月１６日、ガス突出事故で９３人の犠牲者を出した北炭夕張炭鉱は、翌年１０月２日に閉山し、最後の儀式である労働組合の解散式を行った。“ヤマ”の人たちは事故、閉山、そして操業再開の断念という苦渋に満ちた２年間にそれぞれの思いを馳せるしかなかった。◆本番組は、１９８２年５月３日に放送された「ドキュメンタリー　地底の葬列」と１９８２年１１月２３日に放送された「続・地底の葬列」の内容に新たな取材を加えて再構成したものである。

９月１日の「防災の日」にちなんで、地震による火災の恐ろしさを訴えるドキュメント。◆関東大震災は、災害史上例のない火災による惨事だった。中でも東京・本所区（現墨田区）では、避難していた４万人のうち３万８千人が焼死した。その原因は、烈風の中に火の粉を抱え込んだ火災旋風だといわれている。一瞬のうちに多数の命を奪った火災旋風とは一体どういうものなのかを、実験を交えて探っていく。

日本初の「体外受精児」、いわゆる試験管ベイビーの誕生までの過程を追い、体外受精のしくみ、不妊治療技術の現状や海外での実情などを紹介する医療ドキュメント。◆イギリスで世界初の体外受精児ルイーズちゃんが誕生して５年後の１９８３年（昭５８）１０月１４日、日本で初めての「体外受精児」が東北大学医学部付属病院で誕生した（名前などは明らかにされていない）。体外受精のもたらす福音と、この技術がはらんでいる密室における生命操作の危険性にも言及したリポート。

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆おしんは一人立ちするために出向いて髪を結うほかに客に頼まれれば何でも手助けした。客はバーの女性たちだったので恋文の代筆が一番多かったが、興味を引いたのは竜三という男に三人の女性がそれぞれに文を出していることだった。しかしこの男が遠い将来自分に関わってくることになるとは知るよしもないおしんだった。

幕末に国禁を犯して単身ロシアに渡り、世界初の本格的和露辞典の編さんに加わった掛川藩士、橘耕斉。彼の波乱に満ちた生涯の軌跡を追ってレニングラードに取材、その実像にせまる歴史ドキュメント。