江戸浮世絵は、春信を尊敬した喜多川歌麿の廓の美人画へと次の発展期を迎える。らん熟した江戸町民文化を写し、風俗世相を特徴的にとらえる。絵師はもとより卓越した職人の超絶技法により、精ちな描写と構図の妙は美術史上多方面に影響を与えた。次いで奇才・北斎、広重などの風景画が登場する。◆シカゴ美術館に保管されている貴重な浮世絵は、時を越え国を越えて、多くの人の審美眼に温かく包まれながら異国で光り輝く。◆めだかすくい（鈴木春信筆）、四季遊花之色香（喜多川歌麿筆）、富獄三十六景・常州牛堀（葛飾北斎筆）〔シカゴ美術館〕、浮世続（菱川師宣筆）〔東洋文庫〕

ビジネスマンの父親と、その事業を継ぐことを期待されている息子との葛藤を描いた、同題のベストセラー書をもとにしたドラマ。（１９９０年６月２６日〜７月１７日放送、全４回）◆雄作は退院したが心臓の発作はいつ起きるかわからない状態だった。創立３０周年記念パーティーに集まった客に、雄作は信之を紹介し、会社を２代目に引き継がせる意思を示す。仕事を任された信之は高級クラブや料亭で有力者を接待し、コネをつくろうとする。地道な積上げを第一にしてきた雄作は接待費の伝票を前に信之を非難するが、信之は干渉に反発し、埋もれていた新製品の企画をコネを使って復活させようとする。

駿河には過ぎたるものが２つあり、富士のお山に原の白隠。沼津市原の松蔭寺に身を置き、白雪に隠れる富士に因んだ白隠（１６８５〜１７６８）の名。臨済禅中興の祖といわれ、厳しい修行僧と庶民性の２つの顔を持つ。悟りを得た時から書画を始め、雄大な表現を持つ書とユーモラスに富んだダルマ絵で禅の道を易しく説き、禅の大衆化に努めた。◆「目玉をむき、世の内外を見よ」と絶えず既成の腐敗を批判し真実を見つめた、白隠禅師の精神性を解く。◆白隠木像、白衣観音像、重い杵図、お福粉挽図、隻手図、隻手布袋図〔松蔭寺〕、巌頭和尚図〔禅叢寺〕、達磨図〔金剛院〕

観音菩薩は、奈良・平安の昔から今日まで最も多くの信仰を得ている。インドに起こった仏教と古代原始信仰が深く結び付いて生まれたとされる。聖観音を基本としてさまざまに変化した観音菩薩像が現われる。千手・如意輪・馬頭などの観音の中で、十一面観音が聖観音の次に現われる。１１の顔を持ち、人々の悩みに慈悲の目を注ぎ煩悩から救う。◆十一面の由来を詳しく解き、人々が身近な観音にすがる故事来歴を併せ実像に迫る。◆【国宝】十一面観音菩薩立像〔室生寺〕、観音菩薩立像（救世観音）〔法隆寺〕◆【重要文化財】十一面観音立像〔羽賀寺〕、千手観音立像〔妙法院〕、十一面観音立像〔月輪寺〕

大都市を中心に高騰し続ける地価。歴代内閣の最大の課題といわれながら、有効な解決策は示されないままである。番組では「地価は下げられる」という前提に立ち、５夜連続・計１２時間の生放送でその方策を考えていく。テレビ世論調査を交え、現状リポートと討論により、解決への具体的な道筋を探る。（１９９０年１０月１０日〜１０月１４日放送）◆第５回。どの様な解決策を選択するのか、具体的な政策について、政府・各党・各界の代表、それに２００人の市民が参加して徹底討論を行う。２部構成で、第１部は「土地税制の改革」を中心にとりあげ、第２部は「有効な土地利用」を考える。出演は佐藤守良、加藤六月、伊藤茂、神崎武法、佐々木憲治、中野寛成、鈴木永二、山岸章の各氏ほか。

宇宙の果てない謎を、現代科学の最新理論と新発見をもとに解き明かす大型シリーズの第４集。ドキュメンタリー・パートに、架空の宇宙船「ヘリオス号」の冒険ドラマを組み合わせて星空への壮大な旅を描く。（１９９０年６月３０日〜１１月１８日放送、全９回）◆第４集は、宇宙のどこかにいるかも知れないＥ．Ｔ．（地球外生命）の探求をテーマにおくる。宇宙で知性を持つ生命体は人類だけなのか。ヘリオスはＥＴを求めて画架座ベータ星へ向かい、探査機を出して惑星調査を行う。生命が生まれ、進化する条件とはどのようなものなのか。その条件を維持できる惑星は存在するのか。科学者たちの探求を通して、同胞を求める人間の存在自体を見つめなおす。

日本では脳死が前提となる移植手術は実施されていない。なぜ日本で移植手術が受けられないのか、一人の少年を通して肝臓移植を考える。◆胆道閉鎖症の４歳の男の子は病状が悪化、生きるためには肝臓移植の道しか残されていなかった。日本では移植手術が不可能なため、両親はにオーストラリアで手術を受けさせることを決意した。現地の病院には移植手術を受けるためにやってきた日本人親子が大勢いたが、なかには手術前に亡くなる子供もいた。こうした中で、突然適合するドナーがあらわれ、移植手術がはじまった。

都会の孤独な若者たちが、老人の故郷釧路に同行する。◆雅子はチェリストを目指し、東京で一人暮らし。ふとしたことでクラブで雑用をしている隆造を知り、そこに出入りする若者たちとのつき合いが始まる。富山から上京した予備校生の修造、熊本出身の看護婦・恵美らは閉店後のクラブに何となく集まりそれぞれの故郷を語り合う。隆造は故郷への思いをつのらせ、雅子たちに一緒に釧路へ行ってくれるように頼む。