江戸時代に作られた、からくり人形。まるで生きているように多様な動きをする人形は、当時最高の精密機械だった。江戸中ころ『機巧図彙』まで出版され、人形師は先端技術者だった。◆歴史上、多くの科学者は時の権力から迫害された。奇才・大野弁吉（１８０１〜１８７０）も金沢へ身を置き、銭屋五兵衛のひ護を受けた。からくり儀右衛門と弁吉、高山祭の屋台など、江戸に花咲いた技巧から現在の最先端技術への系譜をたどる。◆【重要有形民俗文化財】高山祭屋台〔高山屋台保存会〕◆【その他】ねずみからくり人形、三番叟人形（大野弁吉作）、春駒人形、鼓笛児童〔個人〕

平安末期に編さんされたと伝えられる、日本最古の、浄土式庭園の造園書『作庭記』。この造園技術書には、池・石・築山の配置方法や造り方などが詳しく書かれている。◆岩手県の『毛越寺庭園』は作庭記に書かれた規約にそって造園されている。枯山水の原形といわれる毛越寺庭園と作庭記を照合し、日本の造園技術の進歩発達を探る。◆【特別名勝】毛越寺庭園、六義園◆【国宝】願成寺阿弥陀堂（白水阿弥陀堂）

粗削りな「鉈彫」といわれる作風の仏像を、北海道から近畿にかけて四千七百余体も残したなぞの仏師・円空（１６３２〜１６９５）の足跡をたどる。厳しい宗門統制があった江戸初期、仏像を彫りながら庶民救済の放浪行脚を続けた円空は、超人的な修験僧とも推測される。おびただしい円空仏は今も土地の人々に愛されている。現代、ピカソやロダンに匹敵すると再評価され、江戸期の彫刻が見直されている。だが多くの研究にもかかわらず、その人物像は霧の中にある。◆【重要文化財】一切経蔵〔三井寺〕◆【史跡】高山陣屋跡〔岐阜県〕◆【その他】円空仏〔神明神社、弥勒寺、千光寺、桂峯禅寺〕

源氏物語に描かれる雅な香りの世界を源として、室町時代に成立した香道。同時代には茶道・華道・能楽も誕生した。香道は夢幻の香りの中に遊ぶ、匂やかな世界。王朝時代は空薫物という生活の中の趣味だった。銀閣寺内の弄清亭は現存する唯一の本式の香室。当時の公家や文化人は、戦乱をよそに香道に打ち込んだ。家康も高価な南方の香木・伽羅で楽しんだという。現代の優美な御家流香道の組香を観賞しつつ、日本人と香の心を探る。◆【国宝】源氏物語絵巻〔徳川美術館〕◆【その他】源氏物語絵合冊子〔天理大学図書館〕、立花図〔曼殊院〕、名香六十一種名寄文字鎖〔陽明文庫〕

２０００年前、ビザンチンのフィロンが選んだ“世界の七不思議”を周辺事跡とともに訪ねる。?トルコのエフェソス遺跡のアルテミス宮殿。?トルコのボドルにあるハリカルナッソスの霊廟。?ギリシャのロードス島の巨人像（ヘリオス像）。?ギリシャのオリンピアのゼウス像。?イラクのバビロンの空中庭園。?エジプトのアレキサンドリアの大灯台。?エジプト・カイロ郊外のギザの三大ピラミッド。古代遺跡の不思議に迫る。◆アルテミス女神像、ボドルム城（聖ペテロ城）、カイト・ベイ要塞、バベルの塔跡（イラク）、ブリューゲル画「バベルの塔」、アガルフクの聖塔（ジクラット）、ヘラクレスの塔（スペイン）

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆高品質の花崗岩「庵治石」を産出してきた土地の移り変わりを紹介する。

親子３代にわたる刑事一家を主人公に、事件を解決していく中で、ひよっこ刑事が成長していく過程を笑いと涙でつづる。（全２回）◆由利（若村）は大阪府警少年課の婦警。阪南署の刑事である父・剛（川谷）と２人暮しである。敏江（三田和代）の息子・高志（谷真佐茂）が誘拐され由利たちの捜査がはじまる。高志を誘拐した峰男（杉本）は彼を連れ吉野山に逃げる。吉野山の自然の中の暮しを高志は喜び、いつしか２人は心を通わせる。家に帰りたがらない高志だったが峰男は説得し彼を母の元に帰す。

出羽三山とは、山形県庄内地方にある羽黒山・月山・湯殿山をいう。山は日本人にとって神そのものだった。原始山岳信仰はやがて仏教や道教と結び付き、山は修業の地・聖地とあがめられた。羽黒修験は山岳修験の原形を今に残し、千数百年変わらぬ修業が続いている。極寒の中を雪を踏み分けて修業する１００日間の『冬の峰入』の荒行、出羽三山に伝わる秘儀や仏像、即身仏などから出羽修験の今日をとらえる。◆【国宝】羽黒山五重塔〔出羽三山神社〕◆【その他】蜂子神社、即身仏の鉄門海上人〔湯殿山注連寺〕、羽黒修験の冬の峰入