女流長唄界の重鎮、杵屋佐登代さん、今藤綾子さん２人の人間国宝による大曲の競演。◆舞踊曲として作られた「鏡獅子」を三味線、唄それぞれ５人の演奏で、音楽としてじっくりと聞く。このコンビによる演奏は３０年ぶりである。◆「春興鏡獅子」は前半は弥生が可憐なかわいい御小姓で優しく踊り、後半は豪放な獅子の勇壮な踊りとなる。この対照的な二役を一人で演じ分けるところに、見どころ、聞きどころがたくさんある。

二酸化炭素による地球温暖化、熱帯雨林の破壊、酸性雨など環境問題はいまや国境を越えた取り組みを必要としている。１０カ国共同制作の第１部を受けて、第２部では豊かになったといわれる日本人の暮らしを環境問題に即して考える。（第１部は同日に放送）◆日本人の豊かな暮らしを支えてきた企業活動が、環境の面から問われている。環境問題を無視する企業は存続さえ危うくなるという世界の潮流を取材、また日本企業へのアンケートから日本企業の姿勢や取り組みを追う。

宇宙の果てない謎を、現代科学の最新理論と新発見をもとに解き明かす大型シリーズの第１集。各種映像のドキュメンタリーパートに架空の宇宙船「ヘリオス号」の冒険ドラマを組み合わせて星空への壮大な旅を描く。（１９９０年６月３０日〜１１月１８日放送、全９回）◆第１集のテーマは“ヘリオスフィア（太陽圏）”。地球を出発したヘリオス号はまず太陽に近づき、惑星の間を抜けてすい星の巣といわれる「オールトの雲」を通過する。その間に遭遇する天文学上のさまざまな現象をドキュメンタリー部分でわかりやすく紹介する。

「ＹＯＵ」「土曜倶楽部」と教育テレビでの若者番組の流れを受け、ＮＨＫ総合に初登場した若者向けスタジオ参加番組。若者の関心が深いさまざまな領域で目的や成果に到達するためのトライアルをドキュメント、スタジオで語り合う。（１９９０年４月７日〜１９９１年３月２３日、全４２回）◆この回はロックの２大潮流ともいえるパンクとヘビーメタル、それぞれのこだわりをスタジオ討論で明らかにする、はずが「型にはまった対立の構図自体がおかしい」ということで図式から大崩れ。テレビやライブハウスに対する批判など強烈な意見が続出する。

やもめの父と中年息子の二人暮らしの家に嫁が来て、家族が増えてまきおこる人情ドラマ。◆辰造（森繁久彌）が嫁・冴子（根本りつ子）をかわいがることといったら尋常一様ではない。これでは息子の昭伍（竹脇無我）もおもしろくない。ついに辰造と昭伍が言い争い、辰造は置き手紙を残して家出する。皆の心配をよそに辰造は小料理屋の女将多美江（春川ますみ）と知りあいになり、彼女の紹介でヨットハーバーの夜警をはじめる。

原爆投下直後の想像を絶する災禍を生き延びた被爆者の多くが、その時の自分の行動に罪悪感を抱き続けていることが明らかになった。被害者でありながら罪の意識に苦悩する人々に、原爆が残した傷の大きさをみる。◆日本原水爆被害者団体協議会が集めた７０００通の手記を分析、さらにその中から１０００通を詳細に分析した結果、３人に１人が何らかの罪の意識を感じている。水を飲ませれば死ぬといわれていたので水をあげなかったと語る人、そばにいた弟を助けられなかったと毎年広島を訪れ遺骨を探す人など、多数の証言で４５年の歳月を綴る。

人類の歴史はまだ３００万年。５０００万年後、地球の生態系はどうなっているかを科学を裏付けに豊かな想像力で描いた、古生物学者で作家のＤ・ディクソンの著書「アフターマン」をもとに未来地球を映像化し検証する。朝日放送創立４０周年記念番組。◆アフターマンとは人類滅亡後の生命体という意味。北米、オーストラリア、ガラパゴスなど世界各地での生物の神秘を紹介し、大陸移動説を軸に未来の動物たちを予想する。

３年半ぶりに単身赴任先からわが家に戻った男は家族の変化に動揺、彼の思い描く「家庭」を取り戻そうと悪戦苦闘する。涙ぐましくほほえましい父親の愛すべき姿を描く。（１９９０年９月５日〜１２月５日放送、全１３回）◆和之は福岡での単身生活を終え勇躍わが家に帰ってきたが、風邪で高校を休んだ長女の梢が面倒くさそうに迎えに出ただけ。妻の恵子は絵画教室に行ったらしい。迎えに出かけた和之は妻が見知らぬ男と親しげに歩く姿に動揺する。久しぶりの家族そろっての夕食、長男の顔にはアザ、次男は妙に食が細く、下戸だったはずの妻がビールを呑む。和之には家族の変化が納得できない。