福岡の平和台球場一帯には、古代から中世にかけて太宰府の重要な役割を担う施設「鴻臚館」が置かれていた。１９８７年（昭和６２）から行われた発掘の成果を踏まえ、鴻臚館を紹介する。◆鴻臚館の歴史は古く、７世紀頃、那津（福岡市）にはすでに朝鮮半島や大陸との渉外にあたる館が置かれ、唐や新羅の使節、日本の遣唐使などの接待、送迎にあたっていた。太宰府鴻臚館はそれをひきつぎ、平安時代はじめに設けられた。遣唐使は太宰府と鴻臚館に立ち寄る習わしであった。遺跡の数々の出土品や観世音寺にのこる品々は鴻臚館の往時の華やかさを今に伝えている。

オーストラリアへの移住体験旅行に参加した１組の老夫婦の体験を軸に、老後の生きがい、夫婦愛など身近な問題を国際的視野から描く。（１９８９年１０月１４日〜１０月２８日放送、全３回）◆昭子の説得で龍作も重い腰を上げオーストラリアのパースへ移住体験旅行に出発する。２人は美しい景観や時価の安さに驚く。言葉の障害さえ除けばここでの暮らしは実に快適なものに思えた。そして先に移住して現地で暮らす根来家を訪ねる。夫人はここでの暮らしの快適さを強調したが、数日後龍作たちを訪ねた根来氏は夫人とは正反対で、広い家で２人きりの生活、文化の違いなどその大変さを語る。

出世競争が嫌で銀行員を辞めて理想の生き方をしようとした男が、奇妙な人生哲学を持った人物と出会い不思議な交流を持つ。原作：?井通眞「ある企業逃亡者の軌跡」「損害調査員の事件簿」より。◆雲居鶴彦（沢田研二）は４０歳。かつて銀行勤めをしていたが、企業のために自分を殺して働くことに耐えられず退職、その日から「食べていける分だけ働けばいい」という考えで生きている。妻子との暮らしは決して楽ではなく、鶴彦は出来高制で稼げる損害保険の調査事務所で仕事を始めた。そして損害調査員になって半年が過ぎた頃、調査対象の交通事故に関係した無職の男・山下幹夫（麿赤児）のことを知る。山下は持ち家の一戸建てで独り隠れるように暮らし、食料品を万引きして食いつないでいるという。鶴彦は山下の生き方に共感を覚える。

わが子を殺した犯人の娘を引き取って育てた夫婦の愛と憎しみ、育てられた娘の苦悩、そして意外な真相を描く。テレビ朝日開局３０周年記念番組。（１９８９年４月７日終了、全２回）◆病院長・辻口啓造（津川雅彦）の留守に、妻の夏枝（いしだあゆみ）は医師・村井（世良公則）に迫られた。あやうく難を逃れたが、村井と入れ違いに帰宅した啓造は妻の浮気を疑う。その夜、３歳の娘・ルリ子が家に帰らず、翌日絞殺死体で発見される。錯乱する夏江をなだめようと、啓造は友人に養子のあっせんを頼む。ルリ子を殺した犯人に女の子がいると聞かされ、啓造は妻への復讐のつもりでその子・陽子の素性を秘密にして引き取った。ところが夏枝はある日啓造の日記を読み、秘密を知ってしまう。

中国取材中、６月の天安門の武力鎮圧を目撃したアメリカ人ジャーナリスト・ソールズベリー氏が伝える中国の革命４０年史。◆この１０月で革命４０周年を迎える中国。近代化・開放政策を推進し、前例のない「社会主義」の道を歩んできたが、その政策が民主化運動を増幅させ、６月の「血の日曜日」に至る。この道筋を過去の指導者の歩みを軸に検証する。

世界各地の習俗・文化を訪ね、クイズ形式で紹介するエンターテイメント番組。司会は愛川欽也と楠田枝里子。◆新番組や人気番組の出演者がパネラーとして参加する、「なるほど！ザ・ワールド」’８９秋の３時間半スペシャル。海外リポーターとして、多岐川裕美と神津はづきはニュージーランドのロトルア・ワイトモ・オークランドから、また岡田眞澄は台湾のウーロン茶の各産地・捕里から様々な話題を紹介。鈴木ヒロミツと三田寛子はスペイン、宮崎美子はオーストラリア、谷啓と矢崎滋はアメリカから報告する。

豊かな自然や各地に暮らす人々の風景を、美しい映像と人間味豊かな内容で伝える紀行番組。◆奥相模に源を発する渓流沿いに開かれた津久井町は、都心から５０キロ、東京・横浜への通勤圏にある、豊かな水と深い森に囲まれた町である。水を生かし、水に支えられた津久井の人々の暮らしを紹介する。◆津久井湖の水が豊富なことから、明治２０年に横浜水道が創設されたが、その水質は特殊なミネラルを含み「赤道を越えても腐らない水」といわれ、長い航海をする船の飲料水として珍重された。

名古屋生まれで８３歳、旺盛な創作活動を続ける杉本健吉画伯が、また新たな大作に挑む姿を追う。◆世界デザイン博覧会のパビリオンに展示される「水と音楽」をテーマとした高さ３．５メートル、横６メートルの大陶壁画を制作する画伯、その構想から完成までのドキュメント。壁画の中心は３体の迦陵頻伽（かりょうびんが）像で、これは極楽に住む鳥で美女の頭をもち美しい声で鳴くという。このまわりにモザイクで樹木を浮かび上がらせ、さらに陶製の鳥を数羽配する。