１９４５年８月６日。ヒロシマで被爆し、幸運にも生きながらえた人々は、廃虚の街で最初の夜をどのように過ごしたのだろうか。広島市内数か所にテレビカメラを配置し、その夜の惨状と生きのびた人々の数奇な運命を、生中継で描き出すドキュメンタリー。見事に復興したかに見える広島の町と人々の証言から、あの夜の惨状をふり返り、風化が叫ばれるヒロシマの痛みを伝える。（１９８３年８月６日の１９：２０から生放送した番組の芸術祭参加版を公開しています）

昭和５８年３月３１日、池田高校蔦文也監督は教員生活最後の日を迎えた。３５年間の教員生活にピリオドを打ったその日、蔦監督は甲子園のベンチで池高２回戦の戦いを見守っていた。第５５回選抜高校野球大会。夏に続き２連覇を目指す池田高校は、キャプテンとピッチャーを中心に猛打で勝ち進んでいく。蔦監督の野球人生を織り込みながら、山びこ打線で“無敵の連覇”を成し遂げた軌跡を追う。

イラン・アフガニスタン国境にまたがるシスタン地方から、イラン西南部に位置する古代ペルシャ帝国の都・ペルセポリスに至る全長１，２００キロのイラン南道をたどる。◆そこは炎熱の砂の海、「ルート砂漠」。２，０００年来変わらぬ葦の生活を送るクーイハージャ島の住民や、少数化した古代宗教ゾロアスター教の村モバレケ。そして紀元前西アジアを制覇したペルシャ大王が築いたペルセポリスの広大な遺跡から、シルクロードの歴史の原形となった昔をしのぶ。◆ガガシャフルの城跡、バムの廃虚、ペルセポリスの遺跡

貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆おしんは思い出深い酒田を去る。１０年ぶりに再会した浩太、加代、おしんの３人はそれぞれの道に踏み出す。佐賀の婚家を飛び出したおしんは不安を抱きながら、浩太に紹介された伊勢の漁師・神山の家にたどりつく。

世界音楽祭に参加することになったある女子高の吹奏楽部の生徒たちの日々をつづる青春ドキュメンタリー。◆中村学園女子高等学校吹奏楽部は９０人の大集団。全日本コンクール優勝の経験をもつ彼女たちに、ある日ウィーンから世界音楽祭への招請状が届いた。彼女たちは、参加することを決心し、猛練習に耐える。学校と親たちは派遣費用を工面することになった。

カイバル峠からガンダーラの中心都市ペシャワール、遺跡の町タキシラを経てインド国境の町シアルコットへ。そして古都ラホールのイスラム寺院のバドーシャヒーモスクで終わる。◆ランディコタール村のバターン族の要さい集落での裁判風景。故事・アレキサンダー大王の大遠征やギリシャ王ミランダの歴史背景を折り込みつつ、シルクロード創世期を顧みる。国境での政治の壁、繁栄と滅亡を繰り返したシルクロードは戦いの道でもあった。◆バドラ城址、シャイプール遺跡、タキシラ・ジョリアン遺跡、バドーシャヒーモスク

白山は石川の手取川、福井の九頭竜川、そして岐阜の長良川の源であり、昔から水をつかさどる山として知られてきた。石川県側の山ろくには、かつて田畑を耕し養蚕を行う出作小屋が３００軒もあったという。今はただ１組の老夫婦が、春先から１１月にかけて山で暮らしている。◆白山山ろくに残る最後の出作小屋で、残り少なくなった山国の暮らしを知る、かけがえのない風景を見る。◆白山山麓〔石川県〕

奈良県高市郡明日香村は、古代日本の歴史を解く、多くのなぞを秘めた里である。巨石で築かれた石舞台をはじめ、多くの古墳や遺跡もある。古代の華やいだ貴族中心の仏教文化だけではなく、明日香にも素朴な庶民信仰があった。稲淵と栢森という２つの集落で、それぞれ男と女をかたどった綱の飾りを作り、子孫繁栄、五穀豊じょうを願う『綱かけ神事』が行われる。昔も今も変わらぬ、村人たちの神への敬けんな祈りの姿がある。◆綱かけ神事〔奈良県〕