関脇若ノ花は大相撲名古屋場所で１３勝２敗の成績で準優勝し、二子山部屋はこの１年で２度も大関昇進の使者を迎えることとなった。史上初の兄弟同時大関の誕生である。兄弟とはいえ勝負の世界、出世を競いあってきた６年間の軌跡を追い、技の大関若ノ花の相撲の世界を描く。

東京・下町の古アパートを舞台に、個々がしだいに共存に目覚めていく時代の予感をユーモアとペーソスで描く。「個と共存」のテーマをリアルな生活感覚と情感豊かな映像で表現する。（１９９３年４月１７日～５月１日放送、全３回）◆治郎はかつての部下・高田の口ききで、２年ぶりに家に帰る。が、仕事を持って自立した妻も、息子も喜ばず、治郎はアパートへ戻る。アパートでは智樹が痴漢と疑われ警官の訪問を受けていた。集まった住人たちに、人の世話はいいから自分の世話をやけと智樹は怒鳴る。治郎は智樹に「人の世話をやかなかったら、バラバラに生きているだけだ」という。

日本最古の歴史書「古事記」を伝えた稗田阿礼は柿本人麻呂だった？　この大胆な仮説をもとに、柿本人麻呂の謎と、各地への旅を通して彼が知った様々な遺跡や巨石の謎に迫る。

バブルが崩壊し、地価の上昇が止まっても都心からの住民流出は続いている。大繁華街を抱える港区を取材、進行する人口減少の実態とそのメカニズムを報告して東京の歪みの断面を検証する。◆青山、赤坂、六本木といった日本を代表する「トレンディタウン」を抱える港区は、一方で毎月三百人もの住民が流出する急激な過疎地帯でもある。都心の繁栄と発達が相続税の高騰や生活環境の悪化を招き、逆に「人の住める条件」を失わせる皮肉な現実。若い世代はよい環境を求めて地方へ出ていき、後戻りのできない高齢化社会が形成されていく。

太平洋戦争のターニングポイントとなった戦局や出来事から日本の敗因を分析し、歴史の教訓を探るシリーズ。（１９９２年１２月６日～１９９３年８月１５日、全６回）◆第４集は「最も無謀な作戦」とまでいわれるビルマ・インパール作戦を取り上げる。昭和１９年（１９４４年）３月、ビルマ国境を越えてインドのインパールを目指した日本軍兵士たちは、食糧や武器弾薬の補給の見込みもない山岳地帯で次々に倒れ、その死体で埋まった道は「白骨街道」と呼ばれた。その道の空撮映像や作戦進行の悲惨さを示す資料などを交え、あいまいな作戦決定や責任者不在体制など、軍の巨大な官僚機構の体質を浮き彫りにする。

多くの名作ドラマやドキュメンタリーの演出で知られる今野勉が、炭坑夫だった父からきいた不思議な伝承の生まれた背景を探る、自伝的ドキュメンタリー。◆死んだはずの坑夫が命を落としそうになった坑夫を助けに現れたという物語や、ガス爆発で火傷を追った坑夫の家を見舞い客に化けた狐が訪れ、かさぶたを食べさせて殺してしまったという物語など、炭坑には生死にまつわる不思議な話が多く語り継がれてきた。知人やかつての同級生を訪ね、多くの証言と資料あつめてたどりついたのは、１９６８年の夕張市平和鉱事故の悲しいエピソードだった。かつての日本を支えた人々の死を語り継ぐ鎮魂歌。

「東海道中膝栗毛」と落語「東への道」に依りながら、江戸・大阪からの参宮の道すじをたどる。遷宮特別企画。総合司会は森本毅郎。◆第五回「伊勢参りへの道　東海道編」。かつて多くは、農村で講を組織しての集団代参だったので、豊作と繁栄を祈願して、途中と周辺の神社仏閣に参詣。伊勢神宮が終着点になった。「弥次喜多」の立ち寄らなかった道中の箱根神社や清見寺など、あまり知られていない神社や寺、関所、本陣の今の姿、食べもの、名産などを見ていく。◆大阪からは、若手落語家たちが滑稽な道中記を追体験する。

南町奉行根岸肥前守の懐刀・隼新八郎が、公にできない難事件をさっそうと解決していく。事件の背景に潜む人間の情を深く描いた江戸情緒あふれる物語。（１９９４年３月２５日終了、全２４回）◆南町奉行所与力の新八郎はある晩、殺人事件に出くわす。刺客は腕の立つ男で、新八郎も身をかわすのが精一杯。奉行の根岸肥前守に報告し同心の源太とともに捜査を開始する。事件の鍵は大奥にあるとわかるが、そこは奉行所も手を出せない聖域である。かつて隼家に勤めていた女中のお鯉はこのことを聞き、新八郎のため自ら密偵となって大奥に潜入した。大奥でお鯉は、将軍の御愛妾が夫と子供のある女性だということを知る。