奈良・東大寺の南大門仁王像の傷みが進み、解体修理が行われることになった。阿・吽２体のうち「阿形像」の修理の模様を伝える。◆阿形像の体内から発見された納入経から読み取れるのは、運慶と快慶の名であった。運慶総指揮の基に、阿形像は運慶と快慶が、吽形像は定覚と湛慶が制作したと推定される。８００年ぶりの解体修理は多大の成果を上げ、１９９３年（平成５）１１月完了した。

真珠湾奇襲攻撃にまつわる日米両国の思惑とそれに巻き込まれた人々の悲劇を描く。（１２月４日終了、全４回）◆ハワイ真珠湾奇襲攻撃のため日本軍の集結地が択捉島だとの情報を得た斉藤賢一郎は択捉島に向かう。しかしその情報収集の過程で宣教師スレイセンと金森は憲兵隊によって壮絶な死を遂げる。そして憲兵軍曹・磯田は執拗に賢一郎のあとを追う。一方、択捉島に戻ったゆきは灯舞村（トウマイムラ）の駅逓（えきてい）として働いていたが、村人の視線は冷たかった。そのゆきの前に、島の飛行場の警備隊長・浜崎中尉が現れる。浜崎はゆきに目をつけ、彼女を口説くのだった。

東京の下町・佃島を舞台に、妻子を捨て３年ぶりに舞い戻ってきたダメ親父が、息子の信頼を取り戻そうと奮闘する姿を描く。（１９９３年７月２日〜９月２４日放送、全１３回）◆第１回。下町でラーメン屋“姉妹”を営む矢坂姉妹の姉・智子が、過労からくるクモ膜下出血で急死。妹の紀子（菊池桃子）は、姉の息子で、９歳の一茂と２人で暮らすことになった。そんな折り、智子の夫で、３年前に水商売の女と家を出た正夫（陣内孝則）がひょっこり戻ってきた。正夫が家出してからの智子の苦労を見てきた紀子は、正夫を罵った。思ってもいなかった智子の死を知った正夫は呆然とする。

アジア通で知られる元タイム誌記者、フランク・ギブニーさんが、複雑なアジアの近現代史を分かりやすく解説し、その奇跡的な経済成長の秘密を分析するシリーズ。（１９９３年５月３１日〜７月３０日、全９回）◆第３回は、ペンの力で時代を変えようとした中国の作家・魯迅と日本の革命家・北一輝。共に祖国の激動期に生き、将来を憂えて変革を訴えた。しかし北は２．２６事件の後処刑され、魯迅は内戦の渦中で共産党に利用されていく。二人を中心に太平洋戦争前の東アジアを描く。

日本の伝統芸能・工芸技術から実用技術・工作まで、現代に生きる“ワザ”を紹介するドキュメンタリー。（１９９３年４月４日～１９９６年３月３１日、全１４０回）◆「現代の浮世絵師」と称され、日本の画壇に独自の地位を築いた門脇俊一画伯の絵に対する信念と情熱を紹介する。５歳の頃から絵を描き始め、２０歳の時、海軍艦隊欧州巡航でヴァチカン宮殿の浮世絵に衝撃を受けた師は、現代の浮世絵師になることを念願に絵を描き続けてきた。「教えられず、習わず」独学独歩、権力とも組織とも手を握らず、日展の審査員、人間国宝も断り、ひたすらに絵に没頭して生きる。画壇の野人と言われる所以である。門脇師の技は「絵筆の運び」であり、江戸庶民の浮世絵を現代に伝える「心」であり、何よりも自らが野人であるというその「生き方」なのである。

４年前に大量の奇形を確認した岡山県笠岡のカブトガニはすでに絶滅し、市では国に天然記念物指定地の解除を申請している。山口の海はまだきれいで近くに埋立地もないというのに、瀬戸内のカブトガニにはいったい何がおこったのか。◆山口産のカブトガニのメスを解剖したところ、卵がドロドロに溶けて強烈な異臭を放っていた。口やエラからは鉛やマンガンなどの重金属が多量に検出された。干拓や排液などで海底に染みこんだ有害物質がカブトガニを絶滅に追い込んでいる。

“ヒロシマの少女の折り鶴”という歌がモンゴルで作られ、歌い継がれている。なぜ広島から遠く離れたモンゴルでこの歌が生まれたのか、また国を越えた平和へのメッセージということを考える。

第２次世界大戦の末期、二人の日本人技術将校と戦局を左右する極秘資材を乗せて日本へ向かったＵボート。追跡戦と脱出、そして敗戦による運命の変転を描く。◆１９４５年４月、一隻のＵボートがドイツを極秘に出航した。積み荷は日本に提供される原爆開発のための図面とウラニウム、そして二人の日本人技術将校。まもなくこの航海は連合軍の知るところとなり、英・米海軍の激しい追跡を受ける。ようやく振り切ったところへ、ドイツ降伏の知らせが届く。降伏派、亡命派、任務遂行派に艦内が分かれて激しいやり取りが続き、とうとう館長が決断を下す。◆ドイツＺＤＦ、アメリカＡＢＣＶＥ、オーストリアＯＲＦとＮＨＫの４か国共同制作。◆副音声は英語