Ｃ型肝炎に感染した一人の医師の闘いと、旧厚生省の文書を中心に、Ｃ型肝炎蔓延の実態と国の無策に迫るドキュメンタリー。◆大阪市内の開業医（当時６２歳）は、２００１年に肝ガンの手術をした。原因はＣ型肝炎ウイルス。若い頃の自らの医療行為で感染した。「私は被害者でもあり、加害者でもある」と語る彼は、肝ガン再発予防新薬の認可運動を始めた。日本のＣ型肝炎の感染者は２００万人以上。予防注射の際の注射器の使い回しや、非加熱血液製剤の放置が「新世紀の国民病」を生み出したが、厚生労働省の対策はまだ不十分だ。

視聴者に公募した「心に残る風景」や「伝統の味や技」などを毎回取り上げ、２１世紀に残しておきたい「みやぎのとっておき」を紹介する。◆今回は、海に注ぐ川の水源に植林することで、海の浄化につとめる運動を展開している、唐桑町の畠山さん方を訪ねる。

ＯＴＶ「郷土劇場」は沖縄芝居の劇場中継、民謡、ウチナーバラエティ、琉球舞踊、ドラマなど、沖縄の島言葉で創られた芸能を紹介する郷土芸能番組。１９６０年から続く長寿番組である。この回は沖縄県玉城村の奥武島（おうじま）にある民宿「あけぼの荘」を舞台に、仲村渠（なかんだかり）一家の人々が事件を解決していくホームドラマをおくる。原作：上原直彦。◆学校の宿題で、長男・一郎は島の民話を発表しなければならない。マカテーおばあ（親泊良子）は孫のために島の拝所で民話を語ることにする。おばあの昔の恋人が紙芝居の絵を描き、民宿の客がギターで伴奏し、民話の発表は島中の人々を包み込んで大いに盛り上がる。

小学校３年生向けの理科番組「ふしぎいっぱい」。この回では、ハイビジョンカメラに医療用内視鏡を改造したレンズをつけた「虫の目カメラ」でアリの世界を捉える。◆体長１センチの１匹のアリが主人公。家族のために食べ物探しの旅に出て、さまざまな昆虫との出会い、アリジゴクの巣に落ちかける恐怖、雨粒に叩きつぶされそうになる危険、他の種類のアリとの戦いなど、波瀾万丈を乗り越えて無事に巣に戻るまでを描く。

世界の医学関係者の間で高く評価されている臨床疫学研究「ヒサヤマスタディ（久山町研究）」の全貌に迫る。◆久山町研究は１９６１年に福岡市の近郊にある久山町で始まった。研究を始めた九州大学医学部第二内科は、住民の健康状態を継続的に追跡することによって、日本人に特有な病気の発症原因を探り、将来の予防・治療に役立てようと考えた。その意義に共鳴した住民数千人のほぼ全員が、死後の病理解剖に同意するに到った。こうして得られたデータは、社会変化に伴う病患構造の変化を鮮明に示す。◆この研究を可能にしたものは何か。研究が４０年にもわたって続けられた背景には、様々なエピソードが隠されていた。日本がこれから迎えるＥＢＭ（根拠に基づく医療）時代に何が必要なのかを訴える。

１９１２年（明治４５）に建設された、太田川水系初の発電所・亀山発電所。昭和４８年に閉鎖されたが、レンガ造りの美しい建物は太田川漁業協同組合が譲りうけた。太田川に生息する生物を紹介するギャラリーを開設し、子供たちの学習の場となっている。このギャラリーを紹介するほか、隣接する養魚場やサツキマスの放流の模様もあわせて紹介する。

ドナー不足が生みだす臓器ビジネスを通して、臓器移植と倫理を考えるドキュメンタリー。◆「お電話ありがとうございます。必要なのはどの部分ですか？」死体から採取したヒト組織を斡旋するアメリカの民間団体での光景だ。冷凍庫に保管された心臓弁は一つ５０００ドル。このような「ヒューマン・ボディー・ショップ」が倫理の狭間で急成長を遂げている。一方日本では、ヒトから採取した小さな細胞から作る「培養皮膚」が商品化されようとしている。ある研究者は、「１０年から２０年で、ドナーがいなければ成り立たない今の移植が根底から変わる」と話す。

俳句に魅せられて日本で暮らす一人の外国人の目を通して、日本の情緒と俳句の魅力に迫る。◆フランス人のマブソンさんは、青眼（せいがん）という俳号を持つ。南仏に生まれ、高校生の時に留学生として宇都宮で１年間学んだ。それ以来日本に興味を持ち、日本語で俳句を詠みたいという一心で再来日した。オリンピックを控えた長野県の国際課で働きながら、俳句を詠み、小林一茶を研究している。その作風は静謐で、日本人が忘れつつある自然観・心情にあふれている。