諸外国でも刀剣は作られてきたが、日本刀のような単なる武器から工芸品の域にまで達したものは他に類をみない。なかでも備前、ことに長船は名刀の代名詞にさえなった。中国山地の良鉄、備前焼にも使われる耐火性粘土、良炭となる赤松の林と、日本刀の聖地となる条件をそなえた岡山県備前。備前の名工によって作られた名刀をじっくり見せながら、それらを生みだした備前の地を紹介する。

弥生時代の日本独特の青銅器・埴輪と、次の古墳時代にみられる古墳の副葬品・埴輪のうち、特に国宝に指定されたもの数点を紹介する。当時の人々の生活風景の一端を伝える銅鐸の絵柄や、音響研究のために国宝の銅鐸を１度だけ叩いた時の音を紹介。また数ある埴輪のうちただ１点国宝になっている東京国立博物館の『武装男子立像』を細部にわたって記録する。

かつて住んでいた樺太の真岡の町の完全な地図を作ることを生きがいにしている樺太引き揚げ者の老夫婦の望郷の念を、真冬の小樽を舞台にドキュメンタリータッチで描く。朝市で忙しく働いているゆか（桃井かおり）のところへ、昨日ゆかの亡父を訪ねてきた老夫婦（笠智衆、田中絹代）が、ふろしき包みを忘れたと言って訪ねて来る。包みの中には大切な真岡の地図が入っていたというのだ。

平安中期、武士の先駆となった坂東の風雲児・平将門の生涯に、西海の雄・藤原純友がからんで織りなす歴史ロマン。律令体制の崩壊と武士の台頭に焦点をあて、歴史の十字路を人間味豊かに描く。ＮＨＫ大河ドラマ第１４作の総集編。前後編の全２回。原作：海音寺潮五郎。◆後編。平将門（加藤剛）が名をあげた頃、藤原純友（緒形拳）は瀬戸内の海を制していた。一度は叔父に敗れ野に下った将門だが、再び坂東に覇をとなえる。純友も西海の海賊を組織し、京へ攻め上ろうとしていた。富士山噴火に貧窮をきわめ、公の食糧倉を襲った農民を庇い、将門は反逆者として征討軍と戦い、敗れる。純友もそれを知って京攻めをあきらめ、２人の反逆児の闘いは終わった。

信念を貫く人々の姿や、人間の可能性と限界を探る異色のドキュメントシリーズ。（１９７２年１０月７日～１９７５年３月２９日放送）◆昔、五島列島の漁師の一団が嵐にあって、石川県能登半島の一角・名舟にたどりつき、魚や貝の宝庫である舳倉島や七ッ島を漁場として定着した。彼らは時には海賊となり、太鼓を打ちならして他の船を襲った。このいわゆる鬼太鼓こそ、名舟の漁師のテーマであり、進軍ラッパであった。かつて敵をあざむくためにたたいた佐渡の御陣乗太鼓も同じだ。こうした伝統芸能の保存に努力する人々を追う。

大和にはかつて４００基以上の木造建築の塔があったといわれている。現在では残り少なくなった大和の塔にこめられた仏への想いを、さまざまな塔の姿を通して描く。金属の塔、水晶の塔、絵に描かれた塔など、塔の形には様々あるが、日本の塔を代表するのはやはり木造建築の塔である。塔の基盤に仏舎利（仏陀の遺骨）をおさめて高くそびえた塔の姿は、遠くからでも望むことができる。

単に歴史や絵画を紹介するだけでなく、画家たちの生涯や彼らの美意識について歴史的背景、国土についての考察を試みながら、古今東西の美の世界を紹介するシリーズ。（１９７４年１月７日～１９７７年３月２７日、全１３３回）◆「遥かな原風景」と題し、映画監督・吉田喜重氏が１０回連続で古代エジプトを描く。第８回は「孤独な虚像　アブシンベル神殿」。

大和国に生まれた、日本最古の叙事詩「古事記」と、叙情詩「万葉集」を美しい筆蹟とともに紹介する。最古の古事記写本として名高い「真福寺本」や、奈良県稗田町にある稗田阿礼を祭った稗田神社、ところどころ切り取られて残巻となりながら各地に伝わる万葉集の姿を、それぞれにまつわる話とともに伝える。