およそ３００年間の徳川時代、豊臣秀吉の功業は無視され続けてきた。その間、秀吉の遺宝をひっそりと守り続けていたのが、三十三間堂の本坊である名刹・妙法院門跡である。聚楽第、大阪城、伏見城と秀吉の遺構がすべて消し去られた中で、太閤のけんらんたる桃山文化の香りが漂う遺品が妙法院の随所に眠っている。皇室と深い関わりをもち一般公開の機会は年に１０日という別格の寺を初めてテレビが取材、太閤秀吉の栄光を貴重な映像でよみがえらせ、伝える。◆【国宝】妙法院庫裡、ポルトガル印度副王信書（妙法院）、華王院本堂（三十三間堂）、千手観音坐像（蓮華王院本堂安置）、豊国神社唐門【重要文化財】妙法院大玄関

木や草を鉢に植え長い歳月をかけて育てあげ、凝縮された空間美を作る美の世界、盆栽。東洋美の極致ともいえる小宇宙の風景は、我々の祖先が独創性と高い芸術性を加味して類のない世界を生みだしてきた。豪壮、繊細、華麗、神秘性、荒々しさ、さまざまな風景の修辞で形容される気品ののある文人趣味。中国から渡り、東山文化を彩り、江戸庶民に愛され、やがては投機の対象までになり、再び日本人が独自の自然観のはてに到達した今日の姿を描く。◆【国宝】法然上人絵伝（知恩院）【重要文化財】西行物語絵巻、暮帰絵詞【盆栽】宮内庁大道庭園・五葉松（銘・三代将軍）模様木、大宮市蔓青園・かえで石付

その昔、「気力」を使うダイ族と戦いを繰り広げていた「妖力」を使う悪の部族・ゴーマ族が復活した。「気力」を受け継いだ５人の若者は五星戦隊ダイレンジャーとしてゴーマ族に立ち向かう。スーパー戦隊シリーズ第１７作。（１９９３年２月１９日～１９９４年２月１１日放送、全５０回）◆第１７回。導士嘉挧はもうすぐ６人目の戦士キバレンジャーが誕生しようとしていることを知るが、ゴーマ族もそれに気づいていた。キバレンジャー誕生を阻止しようと地獄の三人官女はダイレンジャーに攻撃を仕掛ける。一方、何者からのテレパシーに導かれる少年コウ（酒井寿）。果たしてキバレンジャーは誕生するのか。

高橋由一「鮭」「花魁」、五姓田義松「操芝居」原田直次郎「靴屋の阿爺」、山本芳翠「西洋婦人像」、浅井忠「収穫」。これら明治初期の西洋画の傑作に自然科学的研究調査をした東京芸術大学の研究成果から、油絵を「読む」楽しさを味わう。開国で流入した西洋絵画の写実性に目を見張り、それに迫ろうとした明治初期の画家たちの懸命な姿を、材料や技法などの側面から構造的にさぐる。油絵の下に描かれた別の絵が浮かび上がるなどの新しい発見などをもとに、文化財の保存と補修の今後を考える。◆【重要文化財】「鮭」（高橋由一作）、「花魁」（高橋由一作）、「収穫」（浅井忠作）【その他】「司馬江漢像」（高橋由一作）、「自画像」（司馬江漢作）、「自画像」（山本芳翠作）

大江山の鬼退治の伝説を基にした長唄の大曲「綱館」（つなやかた）を明日の邦楽界を担う若手演奏家達の熱演で鑑賞する。羅生門で渡辺綱に片腕を切り落とされた鬼女が綱の伯母に姿を変え、その腕を取り返しに来るという内容で、１８６９年（明治２）に三代目杵屋勘五郎が作曲した台本が原型となっている。番組冒頭、大阪の堂島や兵庫県川西市に今も遺る綱ゆかりの地、神社などや、同じ主題の「茨木」（いばらき）との相関関係を解説し、末尾では渡辺保が鬼女伝説の現代的意味を語る。

日本の伝統芸能・工芸技術から実用技術・工作まで、現代に生きる“ワザ”を紹介するドキュメンタリー。（１９９３年４月４日～１９９６年３月３１日、全１４０回）◆加賀友禅作家の由水煌人さん。図案から下絵作り、彩色へと１５以上の細かな工程を経て、繊細な心と伝統の技が息づき、着物に生命が吹き込まれる。染めの芸術ワザ、加賀友禅は冬の技である。その起こりは今から約３００年前、江戸時代の絵師・宮崎友禅斎が染師と共に開発したのが始まりといわれ、藩の工芸品奨励の元に発達してきた。その伝統の美を今も受け継ぐ友禅師は現在２４０余人。番組ではご当地金沢出身の由水煌人さんの技を紹介する。由水さんの作品は芸能人の舞台衣装としても好まれている。

地域に根差した発想と舞台で、ＮＨＫ地方局が制作したドラマシリーズ。第１回は、四万十川の美しい風景の中に、現代の高校生の心の葛藤と、傷つけあい励ましあいながら生きる姿を描く。◆四万十川の流れる河口の町・中村。この町の高校１年生・有朋には清文という３年生の姉がいる。自尊心が強く、絶えず周りに波風をたてる清文は同級の女子に嫌われていたが、夏になって友達ができた。誰にでも優しく控えめな君子である。なぜか二人は気が合い、急激に親しくなるが、ある事件をきっかけに清文は逆に君子を憎むようになる。君子の優しさをわずらわしいといい、有朋を使って君子の恋人を奪って傷つけようとする。

政権交代、続く不況、コメ大凶作にコメ市場開放、ゼネコン汚職とビッグニュースが続いた１９９３年（平成５）。内外のニュースをテーマ別に分け、新たな証言や追跡取材を通してその背景を捉えなおすとともに、将来に持つ意味を探る。（４夜連続）◆最終回は、紛争の解決を求める国際社会の姿を、国連の新たな動きを通して浮き彫りにする。ユーゴ内戦を始め、世界各地で地域紛争が続発、世界の警察を自認してきたアメリカもその役割を果たし切れなくなってきた。替わりに期待を寄せられる国連の動きには、日本も無関係ではいられない。国際新秩序を模索する。