年令・職業不詳の女性リョーコを主人公にして、４人の監督（利重剛、阪本順治、天願大介、緒方明）が演出を競い合うドラマ。開局５周年特別企画。（１９９６年４月～１９９７年１月、全４回）◆第２話「たまっているのよ、なにもかも」監督：阪本順治。ある日、リョーコ（室井滋）は、コンビニで立ち読みをしながら泣いている男（佐藤浩市）を見た。そしてレンタカーを借りていたリョーコは、その男と車を乗り違えてしまう。車のトランクには、若い女性の死体が入っていた…。

体の大きい提灯屋の徳さんの所に、いま一番人気の大関花筏の親方がやって来る。花筏が病気なので代わりに徳さん巡業に行ってくれと言う。相撲が取れない徳さんが断ると、土俵入りだけでいいと言うので引き受ける。巡業先では、大関花筏が来たので連日満員。飛び入りでいつも力士に勝っている素人相撲の千鳥ケ浜が、千秋楽で花筏との相撲を願い出る。断りきれず、徳さん土俵に上がる。

１９８７年６月１日の放送開始以来、６０００回を超えて続く長寿ミニ番組。列車での旅を通して、美しい風景とそこに住む人々の生活を描く。◆今回は「三日目の朝」と題して、オーストラリア・大陸横断鉄道（シドニー・アデレード・ナラボー平原）を紹介する。

吹雪で道に迷った江戸商人の新助、日暮れに一軒の家を見つけ、一夜の宿を頼む。この家の女房、もと吉原の花魁で器量よし、心中しそこなった男と暮らしている。新助の胴巻にある金を盗もうと企てた女房、しびれ薬を入れた酒を飲ませて休ませる。帰ってきた亭主、知らずに残っていた酒を飲んで苦しむ。あわてて女房が訳を話すのを聞いていた新助、大急ぎで外に飛び出す。

１９９６年春、５５歳の生涯を終えたチェロ奏者・徳永兼一郎。ＮＨＫ交響楽団首席奏者として観客を魅了しつづけた彼がガンに侵され、人生の残り時間を知らされたのは２年前だった。死の２か月前に、入院先のホスピスの小さな集会場で開かれた最期のコンサートのビデオを軸に、ひとりのチェリストの人生最期の時間を描く。

永平寺の開山・道元禅師は禅の修業について様々な教えを説いている。東司（トイレ）でも浴室でも、自分の心身を清めるだけでなく社会全体を浄めることを念じながら事を為す。座禅ではひたすら無心となり、仏さえも念頭から去ってしまうほどに打坐することで、本当の禅の道が開かれるという。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、懐石料理「瓢亭」主人の高橋英一さん。

古来、人間の暮らしは水と切り離すことができない。山紫水明、豊かな水にめぐまれた日本全国から、水と共に生きてきた人々の営みとふるさとへの思いを伝える。◆周囲を囲む山々から湧き出す水の恩恵を受けてきた岐阜・八幡町。湧水を家の前に作った水船に引き込み、その水で口をすすぎ野菜を洗う。町内の当番が毎日水路の垢を落とす。そんな湧水の町に住む藤細工職人は、山から採ってきた藤づるを１年以上寝かせ、軒先の湧き水に２～３週間ひたしてやっと編みはじめる。一つの籠にも長い時間と人の技、そして風土が込められている。