禅の道場でむやみと喋ることは修行の妨げとなる。そのためすべての行事は鳴し物と呼ばれる音の合図でとり行われる。起床は鐘鈴（しょうれい）、入浴を知らせる浴鼓（よっく）、食事の準備を知らせる、魚を象った「ほう」などがある。大梵鐘は一日四回、一杵ごとに一拝してつかれ、修行僧の覚醒を促す。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は、長野県乗鞍岳でイワヒバリの生態を紹介する。

１９８４年登録。◆アメリカ西海岸のシェラネバダ山脈に広がる約３０００平方ｋｍの大峡谷。１５００ｍもの花こう岩の丘、３段で７３９ｍを落ちる滝、樹齢２７００年のジャイアントセコイアなど、雄大で壮麗な景観がふんだんに紹介される。◆ここはアメリカの自然保護運動の先駆となった所で、落雷による山火事も、単に植物の死ではなく森林を再生させる自然の摂理であることを発見し、公園の管理に人工山火事をとり入れるなど、感心させられる。

日本各地を訪れ、受け継がれる伝統工芸の技と心を紹介する。◆日本書紀によると、毎年飛騨の国から多くの大工が都に駆り出され、神社などの建築に腕をふるったという。そのようにして技が蓄積され、やがて彼らは腕の良い神社建築の職人集団として全国に知れ渡るようになった。その技が今に伝わり、匠たちは様々な木工作品を生み出している。元田五山さんは一つの作品に５０種類近い道具を使い、どんな丸みのある作品でも、ヤスリは使わない。様々な形をしたノミの鋭い刃先は、元田さんの手そのものだ。

紀伊半島を南北に流れる十津川。その渓谷沿いに涌き出る名湯を紹介。漫画家の河村立司さんが軽妙なタッチで湯けむりに集う人たちを描く。

１８９２年（明治２５）に初代が萩から山口に移り住み、大和を名乗る萩焼が根づいている。大和保男さんは１９３３年（昭和８）生まれ、保男窯を開いて３１年だ。声楽家の末廣正巳さんが訪ねる。◆ろくろ中心の萩焼で、初めて手づくりに挑戦した。中学生で職人の域になったが、素朴な味の萩焼に疑問をもち、絵付けに興味を抱いて、塩に出会った。塩を使えば新しい緋色が出る。◆６５０点を詰めて窯入れする。火の管理は動物的な勘で、できあがるのは６分の１。一生に一点をつくりたい、という。

事故がもとで「暴力教師」の汚名を背負った中学校教師が、生徒間のいじめ問題に真正面から立ち向かう。人間の“内なる暴力性”を問いながら、魂の尊厳を描くドラマ。（９月２５日終了、全６回）◆中学教師の水島は、陸上部の生徒、翼を階段から転落させてしまう。翼は脊椎骨折で下半身マヒになる可能性もあるという。翌日、各所に「教師Ｍは体罰教師」というＦＡＸが送られ、週刊ジャーナルの編集部記者の曜子は、独自に取材を開始。水島がここ数ヶ月の間に生徒に体罰を加えていたらしいことを突き止め、水島に取材を申し入れる。取材に応じた水島は「体罰は必要悪だ」と発言する。

著名人が自分の思い入れのある場所を尋ね、その人ならではの紹介をする旅番組。この回は詩人で作家のねじめ正一が、サンクトペテルブルクを旅する。◆ねじめ氏が心をひかれる一冊の露日辞典がある。それは鹿児島から船出してロシアに漂着し、１０歳から２１歳までの短い生涯を辞書作りに捧げた「ゴンザ」という若者が残した辞書である。ゴンザの辞書には、「良いこと」は「ヨカ」、「感謝」は「カタジケネコト」と、１万２千ものロシア語が薩摩ことばで記されている。