８９歳の日本画家・秋野不矩さんの、ダイナミズム溢れる画業と、その人生を辿る。◆横７．２メートル、縦１．２メートルの大作を描く秋野さん。題材は、５４歳で訪れて以来１２回も訪ね、いまだ描き尽くせないというインド。小さな身体でぐいぐいと描いていく。インドの何が彼女を惹きつけるのか、何が彼女を制作に駆り立てるのか。「日本にいるより元気が出る」と１３回目のインド旅行に出かける。その足取りは年齢を感じさせない。

ＪＮＮ九州沖縄７局の合同企画シリーズ。九州沖縄地方の豊かな自然や古来からの歴史、多彩な文化など、かけがえのない郷土の遺産を後世に伝える。１９９７年から２００２年まで全３５本を放送。◆国東半島は西の叡山といわれるほど仏教文化が花開いたところ。半島に点在する天台宗系寺院は六郷満山と呼ばれ、かつて山岳仏教の修業の場であった。小さな寺は華やかさや派手さはないものの、富貴寺（国宝）に代表されるように、しっとりとした雰囲気を醸し出している。半島の行く先々で磨崖仏や仁王像などの石仏や石像と出くわす。その数は日本の石像の半数近くを占めるほど。なぜこの辺境の地にこれほどの仏教文化の隆盛を見ることができるのか。１２００年もの間、僧侶や村人達に受け継がれてきた古代仏教遺産。これからは誰の手によって未来に向けて守り続けることができるのだろうか。

勝常寺の創立は９世紀初めの大同年間で、空海の創建と伝えられているが、実際は、会津仏教文化に大きな足跡を残した徳一大師であるといわれている。内陣の外周り、外陣と内陣天井はいわゆる和唐混用の建築で、国の重要文化財に指定されている。本尊は平成８年に国宝に指定され、国の重要文化財に指定されている９体の仏像とともに金堂などに安置されている。平安初期の仏像がこれほど一ヶ所に保存されているのは、全国的にも珍しい。

会社人間として生きてきた５０男に流星のように訪れた危うい恋が、彼の生き方を変えていく。人生の黄昏にある男女の新しい幸福論を丹念に、ほろ苦く描く。（２月１４日開始、全２回）◆誠子と逢瀬を重ねる芳春だったが、彼女の妊娠を知った直後に本店の営業本部長への昇進を打診される。子どもを産みたいという誠子に、芳春はつらい別れを告げる。そのころ、芳春の妻・郁子は、ホテルの領収書で夫の不倫を知り、自分の生き方に疑問を持つ。芳春は子どもを諦めた誠子と海へ行き、一年後に気持ちが変わらなければここで会おうと約束をする。

日本に現在生息する約５５０種の野鳥のうち、大空を飛翔する姿の美しい鳥たち、澄んださえずりを谷間に響かせる鳥たち１００種の、特色豊かな生態を四季折々の美しい日本の原風景の中につづる。◆この回は福岡県の曽根干潟で、スグロガモメの生態を紹介する。

１ヘクタールの水田で本格的な稲作に取り組む、青森市の中学３年生・中村君。その様子を春から秋にかけて追う。◆小学校２年生のときに種もみをもらって蒔いてみてから稲作に興味を持ちはじめ、近所の農家から田んぼを借りて３年目。人のやらないことをやりたいと、今ではほとんどつくる人のいない「陸羽１３２号（大正時代の品種、コシヒカリの祖系）」と津軽在来種の「赤諸（あかもろ、藩政時代には各地で作られていた）」の復活を目標に、苗を手植えしていく。

ＮＨＫ連続テレビ小説第５７作「甘辛しゃん」（１９９７年１０月６日～１９９８年４月４日放送）の総集編。灘の蔵元を舞台に、様々な偏見と困難を乗り越えて酒造りにかけるヒロインの半生を描く。作：宮村優子。（全４回）◆総集編・最終回「未来はきっと」。１９９５年１月、拓也（岡田義徳）が久しぶりに榊家を訪れ、二人は「今度生まれても姉弟がいいね」と話した。翌朝、阪神・淡路大震災で蔵は倒壊し、下敷きになった拓也が命を落とす。泉（佐藤夕美子）は悲しみに耐えて生産再開に奔走するが、家族の間に溝ができてしまう。泉は一人娘・そよぎ（大村彩子）に拓也との過去を問い詰められ、秘めた思いを打ち明けた。地震から２０日後、震災後初めての露誉が出荷され、泉の家族も絆を取り戻す。

奈良ゆかりの芸術家や職人をジェフ・バーグランドが訪ねインタビューするドキュメンタリー。◆Ｘ線でも解明できなかった大阪城大手門の柱継ぎの謎を一夜にして解いた川崎幽玄（かわさきゆうげん）さんは、大和指物師。日本の木工職人の高い技術力と知恵を現代に受け継ぐ最後の職人とも言われる。指物とは欄間や障子、箪笥など板を指し合わせて創る器具や家具のことで、釘など金具を使わず木の特性を利用して組み立てるため、半紙一枚の誤差も許されない。川崎さんは明治３８年（１９０５）大和郡山生まれ。一度入った浄瑠璃の世界を捨てて父を師に指物の道を歩むが、父の死後は一人で修行してきた。川崎さんの技は誰にも教えられていない。技は盗むものという職人気質のためだ。