政府は戦没者に次いで生存者約２００人の叙勲を発表、論議を呼んだ生存者叙勲は１８年ぶりに甦った。９４歳の野村洋三さんはホテル経営一筋に生きてきた横浜の有名人。坂本宇三郎さんは灯台守として航路安全に永年尽くしてきた人である。戦争で４人の息子を亡くした鳥居さんは墓前に詣で「犬死ではなくなった」と話しかけていた。北海道から靖国神社の息子に会いに来た遺族は叙勲を喜ぶ。しかし形式的なものよりも遺族にもっと心配りをすべきと言う人もあり、叙勲は様々な反響を呼んでいる。

１９６４年２月１３日午後、東京銀座の松屋デパート５階から出火、定休日だったが消防庁は江藤彦武総監の指揮で６２台を出動させた。増築中の現場ではシートや足場が消火を妨げ、シャッターのおりた店内では渦巻く熱気や煙のため出火場所すらつかめぬ程。急を聞いて駆けつけた店員や、工事場の作業員が火を免れた売り場から商品を助けようと一生懸命。結局火は６時間燃え続け、５億円の損害を出して鎮火した。出火原因はまだ不明だが、店内の防火管理の不備も手伝って、高層ビル火災の消火の困難さをまざまざと見せつけたこの火事、西武デパートの教訓はまだ生かされていないようだ。

埼玉県花園村はスポーツの盛んな村。村は今マユの出荷の最盛期だが仕事の合間を見てはピンポン台を囲む。この村は気性が荒いといわれたが、５年前村中にピンポン台を普及し、スポーツを奨励してからは見違えるように平和な村になったという。昭和４２年には埼玉県で行われる国体にはこの村がピンポン会場に選ばれた。駅員さんもお巡りさんもひまさえあれば練習である。役場でも会議を開く前にピンポンをしないと仕事にならないという位の熱のいれ方、村長さんも若いものに混じって汗を流す。今日は恒例の秋期体育大会。収穫の秋も終って村中でスポーツを楽しむ花園村のオリンピックである。（町から村から）

東京オリンピックに参加するフランス代表選手の紹介。フィン級ヨット選手。陸上陣のホープ中距離のミシェル・ジャジーは１５００ｍと５０００ｍの２種目に出場。水泳陣では男子１００ｍ自由形の金メダル候補アラン・ゴットバレー、もう１人の金メダル候補女子１００ｍ背泳のクリスチーヌ・キャロン。９月２１日キャロン選手ら１２１人の選手第１陣は大挙羽田に到着。フェンシングのマニアン選手も金メダル候補の１人である。

郵便配達員の鬼門は犬を飼っている家。毎日顔を合わせているがちっともなついてくれない。１０人に１人は犬にかみつかれた経験を持っている。東京のある郵便局では１年間に９人もやられ、飼犬ノイローゼになってしまった。これではやりきれないと課長自ら個別訪問。何度警告しても聞かぬ家には、不本意ながら配達を取り止めるというきついお達しを出す始末。（週間話題）

市始まって以来の人出に賑わう千葉県館山市に皇太子ご一家がお出でになった。これは浩宮さまの情操教育にとご夫妻が計画された南房総めぐりのレジャー旅行で、ご一家にとっては初めてのもの。房州イチゴの栽培やお花畑がすっかりお気に召されたご様子。町を上げての歓迎にわく白浜では、海女の実演をご覧になるなど、房総半島の春を楽しまれた（１９６４年３月２２日）。

ロサンゼルスでの第６回米ソ対抗陸上。予想をくつがえして１００メートルではマックガイア、タイアスの２新人がソ連のベテラン選手を破った。１１０メートル障害でも新人リンドグレンがベテラン、ジョーンズを破るなど、若手の台頭が目立つアメリカ勢にくらべ、不振のソビエトチームでは走り高跳びのブルネルがわずかに気を吐いた。棒高跳びのハンセンは５ｍ２８の世界新記録、砲丸投げのロングは自己の記録を５９ｃｍも破る２０ｍ６７の驚異的世界記録を樹立、アメリカは初優勝を飾った。（週間話題）

福岡県直方市の下境はかつて中小炭鉱の栄えたところだが、今は寂れた炭住街である。この街に伊東さんという小学校の給食婦をしている婦人が居る。伊東さんには芳子さんという大の子ども好きの妹があったが、芳子さんは炭住に住む子供たちの環境を心配して「音楽を与えたい」という夢を持っていた。しかしその夢は実現されぬまま、芳子さんは昨年の暮れに亡くなってしまった。姉の伊東さんは生前妹が抱いていた夢をかなえることが唯一の供養と、集まった香典と姉妹の貯金で楽器を買い、炭住の子供会に贈ることにした。子供会は贈られた楽器と家にある楽器を持ち寄って小さな鼓笛隊を編成、音楽教師の山田国寿さんが指導をかってでて、猛練習が始まった。そして芳子さんの４９日に当る日に西雲寺の墓前で演奏会を開いた。（町から村から）