芝居で知られる「番町皿屋敷」から。◆姫路の城下町の代官屋敷で、家宝の皿１０枚揃いのうち１枚を割ったとして、奉公人お菊が主人に斬られた。そのお菊の幽霊が夜な夜な出て来ては「いちまい…にまい…」と皿を勘定するとの噂が広まる。それを聞いた若い衆が、面白半分にその皿屋敷に通うようになった。

昭和２年の初舞台以来、女優生活６７年目を迎えた杉村春子。昭和１２年に文学座の結成メンバーとして舞台に立って以来、常に日本の新劇界の第一線を歩きつづけてきた彼女の意欲的な舞台人生を、インタビューと舞台中継で紹介する。（１９９４年４月１７日〜４月２２日放送、全６回）◆最終回の舞台は、１９７７年三越劇場での「華々しき一族」。年下の男性から恋をうちあけられる中年女性役を、杉村春子が魅力的に演じる。

１７０７年（宝永４）、富士山は大爆発を起こして中腹付近に山ができた。いわゆる宝永の大噴火、そして宝永山である。この噴火で撒き散らされた火山灰は１００キロ離れた江戸へも降ったほどで、周辺の集落は大被害を受けた。御殿場市の滝口家に残された噴火の様子を描いた絵など当時の史料や、郷土史家のインタビューをまじえながら、富士山周辺に暮らす人々の「火の富士」への思いを描く。

　のべつ夫婦喧嘩をしている八五郎。大家に離縁状を書いてほしいと頼みに来た。それでは偉い先生を紹介するからよく話を聞くようにと、大家は八五郎に手紙を持たせた。八五郎の様子を知った先生は「人が撒いた水に濡れても、天から降った雨と思えば腹も立たないものだ」と教える。

故郷に６０年ぶりに響く「余野小唄」で、今また友を思う男の心の軌跡をたどる。◆中国山脈の山ふところに抱かれた岡山県久世町余野。この小さな村で今年、６０年ぶりに「余野小唄」の盆踊りが復活した。この唄をたった一人覚えていたのが７０歳になる中野毅さん。中野さんは戦争で亡くした友のことを思うたびこの唄を口ずさんできた。友の五十回忌のこの年、この唄を再び村に復活させることを決心する。

太平洋戦争のさなか、疎開先で暮らす子供たちと都市部で暮らす親たちとの間で、たくさんの往復書簡が交わされた。その手紙を基に学童疎開の実態に迫り、家族、親子の絆そして戦争とは何かを考える。

北鎌倉の古刹・円覚寺に現存する国宝の舎利殿は禅宗様式の貴重な遺構だが、これは戦国動乱期に突如廃絶となった鎌倉尼五山の筆頭、太平寺仏殿の移築であることが近年明らかになった。鎌倉幕府滅亡後に東国は乱れ、戦乱の中で足利義明の娘で安房の里見義弘の許婚が人質として太平寺に預けられた。１６年後、里見義弘は鎌倉に攻め入り、太平寺住職となっていたその娘・青岳尼を連れかえって妻とする。住職に去られた太平寺は北条氏康の怒りをかい、廃絶された。華やかだった寺の様子と戦国の動乱の中の恋を遺物にたどる。◆【国宝】円覚寺舎利殿、【重要文化財】聖観音菩薩立像（東慶寺）【その他】青磁蓋付縞文壺、古瀬戸黄緑釉尊形花器、青岳尼供養塔（千葉県安房郡・興禅寺）

　京都に検校という琵琶法師がいた。夜通し聞いても飽きないと評判で、“夜もすがら検校”と呼ばれていた。◆江戸からの帰り道、供の男をそそのかした女の企てによって、検校は金を奪われ、谷底に置き去りにされてしまう。死ぬ前に一曲、と琵琶の弾き語りを始めたところ、一人の若者がこれに気づき、検校を助け出した。