大気を浄化し、地球の風土を作り、豊かな恵みで人々の暮らしを支える「森」と「水」の不思議を解き明かす。◆失われた森を復元するのはそうたやすいことではない。その困難に挑戦してなしとげつつある、北海道石狩の郊外遮断林入り口の森を紹介。渡り鳥の中継地となり、自然の中に同化している様子を伝える。

デンマーク南西端のロスキレは、西欧諸国を脅かしたバイキングの富が築いた都市で、１５世紀、コペンハーゲンに移るまでは首都だった。ロスキレ大聖堂には３７人の歴代の王と王妃が眠っているが、中心に安置された柩はマルグレーテ女王のもので、彫刻が生前の美貌をしのばせる。彼女は、南のドイツ側からの攻撃に、ノルウェー、スウェーデンと三国連合を結成して対抗した救国の英雄で、即位はしなかったのに女王と語り継がれている。市民たちの洗礼の式も紹介される。

アフリカ・ルワンダで義肢工場開設と福祉の向上に意欲を燃やす日本人女性と協力者たちの姿を追う。◆「ルワンダに義肢工場を作り、義足の生産を始める。そしていずれは援助に頼らずルワンダ人だけで運営できるようにしたい」。そんな夢を抱いて、内戦の傷まだ癒えぬルワンダに単身渡った吉田真美さん。ＯＬから義肢職人に転身し、技術を習得した。一年前、ＮＧＯ「ムリンディ・ジャパン・ワンラブプロジェクト」を立ち上げ、準備を続けてきた。まずルワンダに渡って工場作り、そして三ヶ月後、第一号の義足作りまで、たったひとりの日本人として現地のスタッフと試行錯誤しながら頑張る姿を伝える。

諫早湾の干拓事業をめぐる人々の思いや、この事業で失ったものが何かを、干拓先進国のオランダやイタリアの現状を紹介しつつ伝える。◆九州・有明海の西に位置する諫早湾は、潮の干満差が最大で６メートルにも達する干潟の海である。１日２回の潮の満ち干によって運ばれてくる火山灰や土砂の微粒子が長い間積もり積もってできあがった干潟は「有明海の子宮」ともいわれ、人間を含む生き物に多くの恵みをもたらした。一方では干潟の堆積は沿岸地域の排水不良や高潮を引き起こし、周辺農家にとっては厄介な一面もある。

返還を数ヶ月後に控えた香港。そこには、少なくなった屋台で営業する人や、返還前に海外へ移住する人たちがいた。様々な問題や不安を抱えながら、「香港」最後の旧正月を祝う人々を描くドキュメンタリー。

奈良県斑鳩の法隆寺は、１４００年前、聖徳太子が建立。火災で消失したが、８世紀はじめに再建され、１３００年もの間生き続けている日本最古の木造建築物だ。また、日本で最初に世界遺産に登録された。大門、鐘楼、五重塔、金堂、夢殿などの建物を紹介、構造や長持ちの秘密が明かされる。飛鳥から天平にかけては芸術の高揚期で、救世観音像、釈迦三尊像、東大寺の月光菩薩像などが紹介されるが、百年ほどの期間に生じた、法隆寺と東大寺の四天王像の、様式の変化が興味深い。

中国・雲南省の食文化は、メコン川を南下して海路で日本へ伝わったと考えられている。この雲南の市場では、納豆や醤、みそなどが売られ、民家では魚や肉を使った「なれずし」が作られてきた。日本人の味覚のルーツを訪ねて、東京農大教授の小泉武夫氏が雲南を旅する。

さまざまな分野で活躍する第一級の人々が、その人ならではの視点で「いのち」をテーマに語る。◆今回は、役者、劇作家の高泉淳子さん。