画家への道を志しながらも、戦争で夢を断たれた画学生たちの遺した絵を展示、保存・修復している小さな美術館「無言館」。館主の窪島誠一郎さんは、「遺された絵は彼らのもうひとつの命」と考え、全国各地の遺族を訪ね歩いている。終戦から６０年が経った２００６年、戦争の記憶の風化と向きあう窪島さんの取り組みを追い、戦争が奪ったものの尊さを訴える。

２００５年、天正少年遣欧使節団のひとり伊東マンショの肖像画が、ローマの貴族の館から発見された。この絵の発見を伝えるとともに、マンショの生い立ち、世界に日本を紹介し、日本に世界を持ち帰った使節団のその後やキリシタン史を伝える。◆１５８２年に出帆した使節団は２年半に及ぶ航海の末、リスボンに上陸。スペインを経て、イタリアに入った。ヨーロッパ各地にもその足跡が残っている。当時幻の国だった日本からやってきた少年たちは、カトリックの威光がその国に及んだことを喜ぶ人々から大歓迎を受けた。肖像画を発見したのは、使節団を謁見した法王グレゴリオ１３世の子孫・ルドビジ公爵。伊東マンショとメスキータ神父の肖像画は、モデルを前にして描かれたことがわかる写実的なものだった。

平凡な主婦が一頭の捨て犬と出会い、老人ホームや子供たちへの訪問、捨て犬の保護活動を始めたことから、様々な人の心にふれ世界が広がっていく。やがてそれは夫婦の関係や避けていた義母との関係にも変化をもたらすことになる。原案：井上こみち。（２００６年５月２０日～７月１日放送、全５回）◆第１回「不思議の国から来た犬」。里中麻利（樋口可南子）は夫と二人暮らしの主婦。彼女には気になる光景があった。ペットショップの裏手にうずくまる大きな犬。かつて町を闊歩していたのを見かけたことがある。その犬がショップを抜け出し、老婆を襲って逃げたという。引取りを拒否され保健所に連れていかれたその犬を、処分寸前のところで麻利が引き取った。夫の耕平（大杉漣）には一人暮らしの母・美佐江（池内淳子）がいるが、麻利は係わりを避けてきた。近所に越してきた麻利たちだったが、麻利にはうまく付き合う自信がなかった。麻利はかつて職場の人間関係で自身を壊した経験がある。引き取った犬・ディロンの出現を耕平は喜ばないが、ディロンは麻利の傍らにそっと寄り添うようになる。そんな優しい目をした犬が老婆を襲ったという誤解を解こうと、麻利は老婆が暮らす施設を訪ねる。

無縁仏として名古屋市の霊安殿に納骨されていた朝鮮半島出身者の遺骨が、本国の遺族に確認されることなく粉砕処理されていた。遺族の身元は判明していたのに、どうして連絡を取らなかったのか。この問題を追ってきたジャーナリスト・伊藤さんとともに遺族を訪ね、市当局の対応や、問題提起する在日団体の動きを記録した。

広島で活躍する人物に、三日間にわたって密着。その思いや願いを描く。◆「転校生」など故郷・尾道を舞台にした映画で知られる映画作家・大林宣彦。６８歳の今も精力的に映画を撮り続けている。最近では古きよき町の姿を守る大分の臼杵市とのつながりを深め、臼杵を舞台にした映画も発表している。一方で、愛するがゆえに尾道への提言を口にする大林氏の一貫した故郷への思いとは。大分での最新作の撮影、尾道での高校の同窓会などの３日間に密着した。

四国が誇る人々が築き上げた文化、歴史、かけがえのない自然など、毎回１テーマで「四国の至宝」を伝えるシリーズ番組。（２００６年４月２日～２００７年３月２５日放送、全５０回）◆７月２４日。愛媛県の南西部、宇和島市が暑くなる日。それが「うわじま牛鬼まつり」だ。真紅やシュロで覆われた巨大な胴体。そして鬼の顔を持つモンスターが、その長い首を打ち振り街を練り歩く。かつて伊達家の歴史と共に歩んできた城下町・宇和島は忌み嫌われる「鬼」を悪魔祓いの神として崇め、「鬼」をもって「悪」を征してきた。各家庭の玄関先には牛鬼の面を飾り、魔除けとしても利用している。番組では宇和島市役所の保存会に密着する。代々受け継がれるであろう情熱的な南予の牛鬼まつり。男達が輝く瞬間だ。

四国が誇る人々が築き上げた文化、歴史、かけがえのない自然など、毎回１テーマで「四国の至宝」を伝えるシリーズ番組。（２００６年４月２日～２００７年３月２５日放送、全５０回）◆寺の門前町として成立し、小田川の水運を利用した農産物の集散地だった愛媛県内子町。江戸時代から明治の中ごろまでは和紙と木蝋の産地として栄えた町。当時の面影を今も大切に守り続ける町の人たちの姿がここにある。大正５年に建てられた内子座。８０年の歳月によって舞台、奈落、舞台裏、建物全てが堂々と何かを語りかけてくる。

神奈川県は、さまざまな部署がばらばらに担当していた環境保全に関する計画を統合し「神奈川みどり計画」を策定した。県全体を９つの区域・緑化域に分けて保全をおこなう「水とみどりのネットワーク構想」を解説。各地でおこなわれている地域住民との協働活動を紹介し、環境保全が地域文化の継承にも役立っていることを伝える。