一人の日本生まれのアメリカ人の暮らしを通して、地球人としての生き方と、人と人のつながりの素晴らしさを描く。◆全国有数の豪雪地、長野県下水内郡栄村。この村で国際交流員として働くボブさんは、日本で生まれ、日本で育ったアメリカ人である。アメリカ人でありながら、日本育ちの彼には故郷と呼べる場所がない。自分は誰なのか、アメリカ人なのか、それとも日本人なのか。自分の居場所を探してボブさんが栄村にやってきたのは１０年前。村内の小中学校の英語教師を務めるかたわら、彼は村の有線放送を使った英語レッスンを始めた。

栃木県出身のアーティストのざわのりこさんの著書を元に、長崎のユニークな文化をコミカルに描く。◆のざわさんは長崎に引っ越してきて３年。そこで体験した行事や名物、衣食住などは、県外では考えられない驚きの連続だった。そんなエピソードをマンガで描いた「長崎に来ちゃった！」は、長崎で人気の本となった。この著書の中から、「お墓で花火」「蛍光色のハンペン」「夫のあやしい長崎弁」「さわやか系長崎弁」「精霊流し」「チリンチリンアイス」の６編をアニメ仕立てにドラマ化し、長崎の音、のざわさん夫妻や郷土史家越中哲也さんへのインタビューを交えて紹介する。

鶴屋南北（四世）とシーボルトが出会い、『東海道四谷怪談』とシェークスピア『マクベス』の名場面を競演するという荒唐無稽な設定で、東西の演劇、歌舞伎とシェークスピアを大胆にクロスさせながら、人間の業を描きつくした大南北の最晩年の孤独な姿と、老境にあっても演劇にかける若々しい情熱を描く。歌舞伎の下座音楽とヨーロッパ・ロココ音楽との競演も楽しみな“東西混交”ドラマである。◆文政９年（１８２６）、江戸・中村座。下座音楽が鳴り、舞台に登場した棺桶が開いて飛び出したのは、齢７０を超えた南北その人。当代の人気作家南北が自分の葬式用の台本『寂光松後万歳（しでのかどまつごまんざい）』を上演するという。そこに、将軍の前で西洋音楽を演奏してきたばかりのオランダ人医者シーボルトが登場し、驚愕の一日の幕が開く。作：大久保昌一良、音楽：山口?也、出演：平幹二朗、近藤正臣、藤木孝、立川三貴、ほか

いじめ被害は子供時代だけの問題ではなない。札幌市郊外の民間病院には、成人後も幼い頃受けた心の傷に苦しむ患者達が通院している。多くはうつ病などが悪化し、リストカットや自殺未遂などを繰り返した。Ｔさんは３０歳代の女性。小学校時代のいじめ被害から自分に自信を無くし、服薬自殺未遂や度重なるリストカットの果てに入院してきた。この病院は内観療法で治療実績をあげてきた。Ｔさんも「自分ひとりで生きてきた訳ではない」と悟ったことをきっかけに回復してきた。病院はまた、デイケアや患者の共同住宅など様々な手立てで社会復帰を支援している。生きる気力を再び取り戻したＴさんは、ボランティア活動を通してお世話になった人たちに恩返しをしようと考えている。「命はひとつしかない。いじめは一生続かない。必ず幸せになれる」という彼女のことばは重い。Ｔさんを通して見えてくるのは、いじめ被害者の継続的な調査の必要性と社会復帰のための機会や施設の充実である。今後は行政側の取り組みが求められる。

毎週一人の特集アーティストに焦点を当て、ロングインタビューで音楽への挑戦を伝える音楽ドキュメント。ナビゲーターは、そのアーティストに縁のある著名人が担当する。（２００７年６月～２０１１年３月放送）◆今回の特集アーティストは竹内まりや。独自の活動スタイルで、５０歳を迎えた今もトップアーティストとして活躍する。日常生活や、そこから音楽が生まれる瞬間のエピソード、夫山下達郎との音楽制作、そして５０歳になって「この桜をあと何度見ることができるだろうか」という思いから生まれた名曲「人生の扉」などから、彼女の人生観、音楽観を浮かび上がらせる。ナビゲーターは彼女を敬愛してやまない椎名林檎。竹内まりやの音楽との出会い、その音楽と人柄の魅力を交えながらナビゲートする。

広島で生まれた実在の兄弟を描くドキュメンタリードラマ。◆弟・片山?は１３歳で被爆する。一方、１３歳年上の兄・日出雄は元海軍大尉。戦時中にオーストラリア人捕虜を殺害したＢＣ級戦犯として、冤罪にもかかわらず死刑判決を受ける。日出雄は収容所で聖書の教えを支えに仲間の減刑運動に力を尽くす。そんな彼を助けようと仲間が日出雄の減刑を訴えるが、運動も空しく刑は執行された。日出雄は「愛する祖国の罪科のために死ぬ」と言葉を遺す。戦争の加害者として処刑された兄、原爆の被害者として戦後を生きた弟、対照的な兄弟の悲劇を描き、戦争の愚かさと平和の尊さを訴える。◆作：毛利恒之。出演：久米明、綱島郷太郎、左時枝、ほか

これまでの「にっぽん音めぐり」の中から、反響の大きかったものをアンコール放送する。（５日連続）◆宮島から佐田岬半島へと、瀬戸内の風物とそこに暮らす人々を訪ねる。宮島では、宮太鼓が響く厳島神社に観光客の活気が溢れ、紅葉谷公園では野鳥がさえずる。松山市からは中央卸売市場の朝市、五十一番札所石手寺の鐘とお遍路さん、道後温泉前の放生園の湯釜と足湯、坊ちゃん列車の汽笛、西日本最古の小学校である開明学校での明治時代の模擬授業。そして佐田岬半島からはデコポンの収穫、裂織り（さきおり）などを紹介する。語り：広瀬修子、大沼ひろみ（初回放送２００５年の再放送）

岩国市在住のヴァレンシアさんは、米軍横田基地で生まれた。父は黒人アメリカ海兵隊員、母は日本人。しかし、彼女が生まれてすぐに両親は離婚し、母の実家のある広島市で育てられた。父に似た縮れ毛と大きな目。小さな頃は「お人形さんのよう」と言われたそのルックスにコンプレックスを持ち続けた。基地で出生届を出したから国籍はアメリカだが、英語は全く話せない。学生時代には「あなたは何人？」と言われ傷つき、自暴自棄になったこともあった。自分の居場所を求め続けてきた彼女は、４年前、岩国市の米軍基地近くにバーを開いた。店には若いアメリカ兵達が連日訪れる。その一方で、夢だったゴスペルシンガーとしての活動も始めた。彼女は今、自分のルーツと向き合おうとしている。