大正から昭和、平成に至るまでの家族の歩んできた道を、作者の目線から温かく描く。◆詩人・齋藤恵美子の詩集『ラジオと背中』は、曽祖父の代から自分に至るまでの家族史を縦糸に、祖父母や両親の戦争体験を受容する自身の内面を横糸にした詩を多く所収している。家族の会話を基調とした口語体の詩を、複数の俳優によって私（作者）、父、母、祖父母、幼少時の「私」等、多声的に演じ（読み）分ける。そして、音響効果や音楽を織り込みながら、ドラマとして再構成していく。◆作：齋藤恵美子、出演：若村麻由美、山本學、鈴木瑞穂、ほか。

かつて様々な人生を乗せて晴れの日も雨の日もひた走ったＳＬ。水戸市の千波湖にはもう走らなくなって３５年が経つＳＬデゴイチがひっそりと置かれている。だがデゴイチは一人ぼっちではない。元機関士や駅員など「ぽっぽや」が年に二度掃除や手入れを兼ねて訪れ、思い出を紡いでいる。鉄道が輸送の主役だった時代、常磐線を走ったデゴイチは常磐炭坑の石炭を満載し、厳しく訓練された運転士や機関士によって、コンピュータ制御がなくても現代と変わらぬ正確さで運行されていた。多くの悲しみを生んだ太平洋戦争から戦後復興、そして高度経済成長期。元機関士や国鉄職員のインタビューを通じて、デゴイチの働きぶりと知られざる裏舞台に迫る。

人生はスゴロクのようなもの。ゴールにたどり着くまで何が起きるかわからず、しかも人生には、上り坂と下り坂そしてもうひとつ“まさかの坂”が。そんな人生の“よもやまさか”も前向きに乗り切ろうという四方山話。（２００８年５月放送開始）今回は５本立てで送る。◆ミャンマーで発生したサイクロンの大災害を受けて、４年前に台風で起きた倉敷市玉島地区の“よもやまさか”の高潮被害を振り返る／「不老脳」という本を紹介し記憶力チェック／きのこエスポアール病院「物忘れ相談室」で体験検査／日本初の認知症専門病院、佐々木院長インタビューと「認知症患者からの十のお願い」／高齢者疑似体験コーナーの体験レポート。◆“よもやまさか”はある日突然。明日は我が身である。

番組の主人公は、歌手の盧佳世と派遣社員の山野。二人とも３０歳前後の女性である。韓国に自身の民族のルーツを持つ盧のライブコンサートに感激した山野は、盧と手紙のやり取りを始めた。番組は、２００７年に二人の間で交された往復書簡と、盧の歌を織り交ぜながら綴る。◆親に反抗ばかりしていた劣等生と振り返る盧は、「自分に嘘をついて生きる人生から脱却したかった」と、親の反対を押し切って氏変更の申し立ての裁定を経て、日本名から家族の祖国姓である盧へと変更した。一方山野は、空気を読みながら生きてきた優等生で、そうした生活に終止符を打つためにも、自ら東京大学大学院を中途退学し、派遣社員として働きながら、自分の生き方を見つめ直している。二人の女性の「自分らしく生きる」生き方を、対比して描く。

１９５８年１２月にラジオ関東として開局したラジオ日本の開局５０周年を記念し、音楽、スポーツなどの「この５０年」、「５０年前の」物事を振り返るシリーズ。（２００８年３月～２００９年４月放送）◆今回は報道の５０年の第２部。浅間山荘事件、オウム真理教事件、米同時多発テロ事件など、１９７０年代から２０００年代の大事件を取り上げ、当時報道記者だったラジオ日本社員が、事件報道にまつわるエピソードを語る。

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫の番組『ジブリ汗まみれ』のスペシャル。◆宮崎駿の最新作『崖の上のポニョ』を制作する鈴木は５９歳。めったに弱音を吐かない彼が、団塊ジュニアとどう付き合っていいのかわからない、と悩みを漏らした。鈴木を師と仰ぐ一人の団塊ジュニア、石井朋彦３２歳。ジブリを離れ、押井守監督の大作アニメ映画『スカイクロラ』のプロデューサーとなっている。その映画の主人公たちは、空で戦うことにしか生きる意味を見出せないキルドレと呼ばれる者たちだ。今そんなキルドレのような若者たちが増えている。親と子、教師と生徒、上司と部下、何かが静かに断線していく社会。映画現場でそれを繋ぎ止めようと格闘する男たちの姿を描き、分断された世界を繋ぐ鍵を探す。

主に中高年をターゲットとする土曜朝の生ワイド番組。（２００７年４月放送開始）◆２００９年５月の裁判員制度開始まで１年。これまで３回に渡って、裁判制度の概要、裁判員が選ばれる手順、サラリーマンが出廷する際の企業の取り組み、法廷での審理の進行などについて考えてきた。今回は過去３回の放送や番組独自の街頭インタビューを通して生じたさまざまな疑問や意見を弁護士に聞き、レギュラーコメンテーターとの意見交換の中から、制度の抱える問題点も明らかにしていく。パーソナリティ：天野良春、アシスタント：成田香織、コメンテーター：飯尾歩、ゲスト：小川淳

ピアニストの岡田照幸と田村啓美アナウンサーが送る土曜の生ワイド番組。◆母校に卒業生が集まって校歌を歌おうという企画、今回は公募で選ばれた５４歳の男性の、５年生まで通った小学校への４０年ぶり訪問を生中継で伝える。過疎化で学校は３１年前に廃校になり、校舎もないというが、「小学校のあった丘へ、今日の１時３０分に集まってください」と呼びかける。学校のあった集落に着くと、かつては村の中心地だったが、今は家が１０軒ほどしか残っていない。記憶をたぐりながら通学路を歩く男性。母校で育んだ友達や恩師との絆は、４０年を経ても変わらずそこにあるのだろうか。