沖縄県糸満市の真栄里地区には、沖縄戦で戦死した山形部隊の兵士を祀る「山形の塔」があり、隣接する真栄平地区にはアイヌ兵士と住民を祀る「南北の塔」がある。これら二つの塔の墓守りである二人の証言を中心に沖縄戦の記憶をたどりながら、戦争の記憶をめぐる現状を報告する。◆山形の連隊本部に配属されていた女性と、アイヌ兵士と生死を共にした男性。二人の証言は戦争の悲惨さを伝える。また、二つの塔には遠く山形、北海道から遺族が慰霊に訪れ、戦没者に語りかけたり、アイヌの子守歌を捧げたりしてきた。

源氏物語が書かれて１０００年を記念して、田辺聖子訳「新源氏物語」をＮＨＫ関西の各アナウンサーが朗読するシリーズ。今回は「君がため若菜つむ恋のくるしみの巻」全４回の第２回。◆紫の上が病に臥し、源氏はつききりで看病する。一方、源氏が妻として迎えた朱雀院の娘、女三宮。人妻である女三宮への恋を諦めきれない柏木の衛門督（えもんのかみ）が、ある日、宮仕えの小侍従から連絡をもらい、彼女の元へやってきた。朗読：西堀裕美。（朗読部分のみを収録）

フォークデュオ、サスケのラジオレギュラー番組宛てに届いた一通のＦＡＸ。それは彼らの出身校、埼玉県立毛呂山高校が統廃合によって無くなるので、最後の感謝祭に出演して欲しい、という内容だった。二人は母校を訪ね、後輩たちの熱意に応えていく。イベント実行委員との対面から感謝祭当日までの模様を追い、サスケと在校生、卒業生、地域の人々との、同窓生としての絆を描く。最後の校舎に響き渡ったサスケの代表曲『青いベンチ』は、卒業生の心に刻み込まれたことだろう。

１９９７年１１月２４日、山一證券自主廃業の記者会見が行われた。あれから１０年。東京大学経済学部の学生、加藤友理が、山一證券の元社長・野澤氏をはじめ元社員、その家族（加藤と同じゼミに通う東京大学学生）にインタビューする中で、それぞれがあの日をどんな思いで過ごしたか、またその後の１０年間をどう過ごしてきたかを伝える。そして、金融ビッグバン後の日本経済の変化を振り返り、会社とは何か、経済とは何かを問う。また、日本人サラリーマンの喜怒哀楽を、現役学生・加藤の視点で綴る。◆「加藤友理の経済教室」の番組Ｂｌｏｇに綴った加藤友理の記事を元に構成された番組。

国際的なヨットマン、長江裕明さんの挫折とその後の生き方を追い、人間の真の幸せと、生きることの意味を描く。◆長江さんはかつて、手作りのヨット「エリカ号」に幼いエリカちゃんと家族を乗せ、世界一周を果たした。しかしその後、重い心臓病、事業の失敗、離婚などの失意の中で、姿を消した。余命を宣告され、「海辺で犬と死にたい」と、海辺の廃屋で送る隠遁と療養の日々。その中で、再び生きる意欲を取り戻した。難手術を経て、ついにヨットに復帰。自分らしく生きる長江さんを慕って、若者たちが訪ねてくる。（長江さんは放送翌年の２００９年２月に逝去）

北海道では、聴覚障害者２級と診断されていた人々から障害者手帳の返還が相次いだ。その数は８００余り。医療費の負担減、所得税減免など手帳の恩恵を受けようとしていた障害の偽装で、彼らの思惑に応えていたのは、札幌駅前で耳鼻咽喉科を開業する医師だった。障害２級の診断を乱発し、問題が発覚すると一転して患者側に騙されたと主張した。取材を進めるうちに、手帳返還者側の共通点や、高額の手数料を取り偽装で金儲けをしていたと見られる複数の人物の存在などが浮かび上がってくる。一方、手帳を垂れ流しにしていた行政側は聴覚障害者認定を厳格化し、本当に耳が不自由な人々に波紋が広がる。聴覚障害偽装の全体像をあぶり出すとともに、聴覚障害者の身近で今何が起きているかを伝える。

京都市にある出版社、いろは出版は、代表の木村さんが２０００年に寺町通りの路上でポストカードを売り出すことから始まった。「夢」をテーマにした本にこだわって出版を続け、２００６年には「１歳から１００歳の夢」を出版した。この本は１歳から１００歳までの一般市民の夢の作文をまとめたもので、全国の読者から大きな反響を得た。英語を話せるようになりたいという９０歳のおばあさん、オペラ歌手を夢見る高校生、自分の仕事がなくなるのが理想という弁護士、国連事務総長になって戦争をなくしたいという９歳の男の子。出版から数年がたった今、人々の夢がどうなったかを取材する。希望に満ちて語られた夢は、時に冷酷に、時に優しく、現在の夢として語られる。その「夢の轍」を、この本をテーマにガリバーゲットが作った曲が優しく包み込む。

「音で自由に遊ぶ！」をコンセプトに、ＤＪ　ＺＡＫこと甲崎澄彦が独自の音世界を発信する番組（２００８年４月～２００９年３月放送）。ＺＡＫが３人の人物を演じながらいろいろな楽器を演奏し、多重録音の技を駆使したラジオならではの摩訶不思議な世界を作り出す。◆番組の案内役の「浜ひょーさん」がパーソナリティのＤＪ　ＺＡＫに楽器の演奏がしたいといい始め、ＺＡＫの指導でアフリカの太鼓、ジャンベの練習を始める。しかし音に物足りなさを感じたＺＡＫは「ばっばん」（鹿児島弁でおばあちゃん）を呼ぶことにする。賑やかに練習した３人は、にわか仕立てのバンドを「ぼっけもんズ」と名付け、「大隅パワー」という曲を演奏する。浜ひょーさんがジャンベ、ばっばんがウッドロック（インドネシアの木魚）とガチャ（インドの水牛のひづめ）、ＺＡＫがホーミー（モンゴルの倍音唱法）とディジュリドゥーを担当している。