山形県西川町大井沢は、長い冬と短い夏という厳しい気候の山岳地域の村だ。真冬は４メートル以上の積雪があり、初夏の６月でもまだ雪は消えない。現在も１１４世帯、２９０人が暮らす。１００年前、その大井沢に暮らす志田荘次郎氏の家に女の子が生まれ、周子（ちかこ）と名付けられた。彼女は地元の学校を卒業し、東京都内の医師養成学校に入学、その後父親の要請により故郷の大井沢に戻り、無医村であったその村に初めて医院を開業する。この医療活動によって多くの村人の命が救われ、大井沢は健康で安心して暮らすことが出来る村になった。一生涯をその村での医療活動に捧げ、５１歳という若さで亡くなった志田周子さんの生涯を、女優のひとり語りで描くラジオドラマ。脚本：今田裕美子、大久保円、出演：今田裕美子。

山形県長井市に住む諸川さん夫妻は、ともにアルコール依存症。２０代の頃から精神科への入退院を数十回繰り返したが、今は一滴の酒も口にしない“断酒”の日々を重ねている。そんな夫妻の支えは、お互いの存在と断酒会だ。二人の縁を結んだのも断酒会活動だった。断酒会とは、アルコール依存症者が病からの回復を目指して集う会。長井市の長井断酒新生会には、諸川夫妻はじめ老若男女３０人ほどが身を置く。毎週土曜日の夜の２時間、これまでどのように飲み、どう止めたか体験を率直に語り合い、断酒の決意を新たにする。アルコールが原因で家族や仕事を失った体験談は切ないが、そこには酒をやめ、日々を丁寧に生きようとする人間のエネルギーがある。薬も魔法もない、アルコール依存症からの回復への道すじを描く。

毎年春に開催される全国広告連盟の大会が静岡市で開催されるのに合わせて、静岡放送（ＳＢＳ）と静岡エフエム放送（Ｋ－ＭＩＸ）が「音と言葉が奏でるふるさとの魅力」をテーマに共同制作した特別番組。日頃は同じ時間帯の裏表でワイド番組を担当する両局の人気パーソナリティ、鉄崎幹人と廣木弓子が、ゲストに静岡市出身の漫画家しりあがり寿氏を迎えて送る。◆「静岡県の素晴らしさ」をテーマに、事前に両局リスナーから２０秒のラジオＣＭコピーを募集。集まったコピーの中から入賞作１０作品を選定し、鉄崎と廣木らが出演しＣＭを制作した。静岡弁やご当地グルメなどを読み込んだ１０作品を制作意図などとともに紹介して、ＣＭそれぞれから見えてくる風景や心情について、さらには静岡の風景や音について語り合う。◆第５８回全日本広告連盟静岡大会開催記念　静岡県民放ラジオ二社共同制作特別番組

宮城県石巻市郊外の小さな集落に、大正１４年に結成された北村大沢楽隊という楽隊がある。メンバー５人の平均年齢は７９歳で、チンドン屋の音楽の原型といわれるジンタの演奏で地元の運動会やお祭りを盛り上げている。日本から消えたと考えられていたジンタが、地域の暮らしとともに歩み、受け継がれてきたのだ。ジンタの懐かしくも自由な響きが、少女の冒険物語へと誘う。◆小学５年生のサトミは石巻に住む曾祖父の謙一に昔の話を聞きに出かける。謙一は以前、北村大沢楽隊のメンバーだった。華やかだった頃の楽隊の活躍とジンタの音色を聞くうち、サトミは自分だけの冒険に引き込まれていく。なぜか謙一が話してくれなかった戦争の記憶が「ジンタの国」に封じ込められていると感じサトミは、冒険の途中で出会うインドネシアの青年とともに「ジンタの国」を目指す。作：菊池豊、出演：佐藤莉奈、ベン・パトリック、藤原貢、ほか。

舞台や映画への出演はおろか、足の怪我の後遺症で家から外出すらできなくなった往年の大女優。今は付き人の中年女性と高層マンションで二人で暮らす。付き人は女優を「先生」と呼び、十年以上献身的に尽くしてきた。ある日、代役ででも復帰しようとする女優に付き人が反対すると、女優は「あなたは私を恨んでいる」と言いはじめる。女優はかつて、薔薇の咲く庭が自慢の家に暮らしていた。◆二人の女性がある夏の日の一夜に繰り広げる、残酷だがハートウォーミングな葛藤のドラマ。物語は二人の登場人物の会話だけで描かれる。作：オカモト國ヒコ、出演：大竹しのぶ、奈良岡朋子

ピアニスト横山幸雄による「ショパンピアノソロ全１６６曲コンサート」を、朝８時３０分から深夜０時５５分までおよそ１６時間半にわたって東京オペラシティコンサートホールから生中継する。パーソナリティの小山ジャネット愛子がこの世界初のコンサート直前の会場の緊張感を伝え、ショパンが最初に作品番号をつけて発表した第一曲目「ロンドｏｐ．１」から演奏がスタート。横山は３９歳、ショパンが亡くなった時の年齢だ。このコンサートに挑む理由を「自身がショパンに近づくため」と語り、全曲暗譜で臨む。演奏の合間にはショパンの人生を描いたドラマや、ゲストが語るショパンへの思いを交えながら進行する。リスナーから横山への応援メッセージは千通を超え、フィナーレでは観客１６００人全員が大拍手でスタンディングオベーション。ギネス世界記録達成へ、会場とリスナーが一体となって喜びを分かち合う。開局４０周年記念番組。

北海道の自然や文化、歴史を取り上げ、北海道の自然が持つ魅力や不思議を、ゲストの話を交えて送る「ほっかいどう宝島」のスペシャル。◆北海道は、太平洋、オホーツク海、日本海という３つの豊かな海に囲まれた宝島だ。しかし、海の豊かさをもたらすのは川と森だ。海、森、川と共生する３つの地域の人々の取り組みを伝える。日本海側からは、海藻が消え、アワビやウニも姿を消した海を取り戻そうとする増毛町の人々。太平洋側からは、襟裳岬に緑を蘇らせようと植林を続けるえりも町の人々。オホーツク海側からは、常呂川での自然体験を通して子供たちに未来を託す北見市の人々。豊かな自然の宝島、北海道は、人“財”の宝島でもあるのだ。

２０００年、“荒れる成人式”が社会問題として取り上げられていた頃、愛知県犬山市は翌年の市主催の成人式を取りやめる決断をした。その結果行われたのが、新成人自らが運営するパーティー形式の「新成人のつどい」だ。自分たちで会費を払って運営する中で、彼らは大人としての自覚を持ち始めた。当時この方法は、成功事例として全国に報道され、以後犬山市ではこの方式が定着した。あれから１０年、今年も同じようなパーティー形式での成人のつどいは行われている。しかし歳月の中で、以前とは違ってきていた。大人になることに成人式は必要なのだろうか。そして、必要だとしたらどんな形がふさわしいのだろうか。