舞台は架空の歴史を持つ現代の日本。そこは、仕事をしないことが最大の犯罪として取り締まられている世界だった。フリーターの福一は、国民の就労義務に違反したことから追放刑を受け、大阪城近くの工廠跡の追放地に“追放”される。不毛の土地で死にかけた福一を救ったのは、追放地で誕生した新しい人類“鉄人”たちだった。それは、追放地で暮らす屑鉄泥棒たちが鉄を食べる人種に進化したもので、すさまじいパワーと生命力に溢れていた。やがて鉄人の一員となった福一は、外の世界に出て人間と鉄人の共存の道を探そうとするが、それは人類と鉄人の存亡を賭けた戦いへと拡大していくのだった。鉄人たちが繰り広げるスペクタクルを、独創的で圧倒的な効果音で描く。原作：小松左京、脚本：林一郎、出演：城土井大智、中道裕子、江口直彌、ほか。２０１２年ＡＢＵ賞グランプリ受賞。

今から１００年も前のこと、横浜中華街に全国でも指折りのピアノの製造所があった。名前は、制作者親子の名前をとって「周ピアノ」という。今日では全国で１０台ほどしか残っていない周ピアノを、地元横浜出身のピアニスト、中村由利子さんが実際に演奏しながら、歴史に翻弄され、幾多の困難を乗り越えてきた運命をたどる。◆大正時代の中華街の絵葉書に、楽器店の看板が写っていた。上海でピアノ作りを学び、明治４５年に横浜で創業した周しょう生さんの洋琴（ピアノ）の店だった。周ピアノは家一軒買えるほど高価だったが、家具のように美しい装飾と音の良さが評価され、事業は順調だった。だがその後、周さん一家と中華街の人々を、関東大震災、戦争という大きな試練が待ち受けていた。◆ＦＭヨコハマ特別番組

ラジオ関西に所属した歴代アナウンサーの証言で、１９５２年４月１日の開局から今日に至る歴史を振り返る開局６０周年番組。◆１９６７年から１９７４年まで在籍した小柳絹代さんの第１回。少女時代に宝塚志望だった小柳さんがラジオ関西を受験するまでと、採用された当時のエピソードを語る。思い出の曲はビクター・ヤング楽団の「８０日間世界一周」。

「お久しぶりです。浅川マキです。」と語りかける浅川マキ。彼女は石川県美川町出身のシンガー。２０１０年１月１７日に亡くなったが、地元金沢でのライブ音源が北陸放送に残っていた。長いストレートな髪形に、黒いロングドレス、黒いブーツといういでたちで、寺山修司の世界を歌って演じるという新しい表現世界で注目を浴び、ジャンルでは語れない音楽を作った。彼女はどんな思いで故郷を後にし、どのように彼女の世界を作り上げていったのだろうか。デビュー間もない時期の１９７１年と、デビュー２０年後の１９８９年の音源に刻まれていた彼女自身の語りと歌、そして親交のあった人々の証言で、浅川マキの音楽を振り返る。

「坂ちゃんのずくだせえぶりでい」の年末特別番組。曲の続きを電話で歌ってもらう人気コーナー「信州歌声喫茶　この続き歌ってクイズ」に登場したリスナーの中から、ナンバーワン歌い手を選ぶ。審査の基準は、ついつい笑っちゃうという点。まずは熱唱系１０名、伴奏なしにも関わらず素晴らしい歌唱だ。その後は、シチュエーション系としてノミネートした２名の歌声と、どんな状況で歌っているかのトークを紹介。会社社長が仕事中に社員の前で熱唱している様子や、予想もしない格好で歌う女性など、筋書きのないリスナーの状況にパーソナリティ陣も驚く。後半は出題者側の予想を遥かに超える展開となる予想外系。簡単そうなのに複数の挑戦者が間違える歌や、キーが高くて苦労した曲など。最後は夏休みに行った子ども限定チャレンジでの癒し系の歌声を紹介。エンディングで信州歌声喫茶大賞の歌い手を発表する。

戦争末期、大阪は約５０回の空襲を受け、１万５千人以上が亡くなった。当時１４歳だった男性も空襲被災者の一人。焼夷弾の油を浴びて全身に大火傷を負い、手が開かなくなった。つらい記憶に蓋をしてきたが、「どうしてじゃんけんできないの？」という孫の一言をきっかけに体験を語りはじめた。彼をモデルにしたミュージカルと体験者の証言を通して、空襲の悲惨さを伝える。当時は防空法で市民が都市から逃げることを禁じ、消火活動を義務付けていたため、命を落とした人もあった。被災者たちは「生きているうちに国に謝ってほしい」と、日本政府に謝罪と補償を求めて立ち上がるが、その前に「受忍論」の壁が立ちはだかる。

ラジオ関西に所属した歴代アナウンサーの証言で、１９５２年４月１日の開局から今日に至る歴史を振り返る開局６０周年番組。◆小柳絹代さんの第４回。当時のラジオ関西はみんな仲がよく、会社でレクリエーションもあった。登山経験がないのに軽い気持ちで赤岳登山に申し込んだら、実は難コースで大変なことになったという。初めてマイクの前に立った時と、一人で取材に出かけた時の失敗談も語る。思い出の曲はアダモの「雪が降る」。

８年前、中学３年生の少女が交差点でトラックにはねられて死亡した。警察は、自転車に乗った彼女が道路に飛び出したために、道路の真ん中ではねられたと結論付けた。しかし両親は、真実を追い求め闘い始める。事故直後の警察による実況見分はトラック運転手の話に基づいたもので、運転手は逮捕されなかった。だが、現場状況の確認、民間調査会社への調査依頼、事故後廃車になっていたトラックの保管など両親の独自調査から、娘の過失ではなくトラックの暴走だという確信を得るに至った。警察は事故から２年半後にトラック運転手を起訴するも、裁判で警察の初動捜査ミスは大きな問題にならず、運転手に執行猶予付きの禁固刑が確定する。交通事故遺族は真実を知ることができないのか。現在、両親は交通事故遺族支援の活動を続けている。両親の執念の闘いの日々を追い、交通事故処理の問題点を訴える。