プロ野球独立リーグ、ＢＣリーグの創設から４年。所属チームのひとつである富山サンダーバーズには、これまでのべ約６０人の選手が在籍してきた。しかし、その平均在籍年数は２年に満たない。「プロ野球（ＮＰＢ）への最後のチャンスに賭ける」という大志を抱いて、全国各地から見ず知らずの富山にやってきた彼ら。１年目の選手や、後に阪神タイガースに入団した選手、退団後に富山で就職した元選手が野球への思い、富山での経験や思い出を語る。彼らは無給となるシーズンオフにはアルバイトに励む。それは、再就職支援、地域との交流という意味合いもある。次の目標へと努力を重ねる選手を、周囲の人々が支援する。ＢＣリーグは少年が夢を追い、夢を叶え、夢を諦める場所なのだ。

ラジオ６０年の歴史の中で、パーソナリティ第１号といわれる人物の一人、三國一朗。当時の彼とラジオ業界を重ね合わせ、ラジオにとって、ラジオパーソナリティにとって大切なものは何かを考える。◆ビール会社の宣伝部に勤務していた三國氏は、民放ラジオの黎明期にひょんなことから深夜番組「イングリッシュアワー」に出演することになった。昼はサラリーマン、夜はラジオの生放送という彼の仕事ぶりを、当時の番組スタッフに聞く。また、洋楽やジャズに精通していた彼をリサイタルの司会に起用したペギー葉山さん、生ワイド番組で共演した毒蝮三太夫さんら関係者にも話を聞きながら、三國一朗という人物を通してパーソナリティに必要な資質を探る。彼が大切に保存していた膨大な資料や音源の中から、その一部も紹介する。さらに、ＦＭ　ＮＡＣＫ５の生ワイド番組「鬼玉」パーソナリティ、玉川美沙とバカボン鬼塚がラジオの大先輩の生き方を受け、未来のラジオへの意気込みとパーソナリティ論を語る。

川崎優さん（８６歳）は、被爆体験がある唯一の現役音楽家とみられている。彼が作曲した「祈りの曲　第一『哀悼歌』」は毎年広島市の平和記念式典で演奏されている。川崎さんは東京出身。音楽学校在学中に学徒動員され、音楽家の耳を買われて特殊任務に就き、体を壊して父の郷里広島に身を寄せていて被爆した。爆心地から約１．５キロで瀕死の重症を負ったが、一命を取りとめ、その後フルート奏者・作曲家として国際的に活躍。被爆３０年を機に市に献呈したのが「祈りの曲　第一」だ。この曲ができるまでに１０年の葛藤があった。その後川崎さんはライフワークとして第二、第三と作曲し、被爆者であることも隠さなくなった。以来３５年、この曲は市内の高校生らに演奏され続けている。一方、原爆の惨状を伝え、平和を訴える原爆音楽は２０００曲以上あるとみられる。市民団体が企画したコンサート「ヒロシマ音の記憶」に川崎さんが招かれ、新曲「祈りの曲　第六」を初演し、被爆体験を語った。だが、そこでも語れなかった苦い記憶。その記憶を川崎さんが語る。原爆のことが忘れられないように。◆被爆６５年ＲＣＣラジオ特別番組

昏睡状態の患者は、どのような世界を生きているのだろうか。１６年前、２２歳で重度のクモ膜下出血で昏睡状態に陥った経験のある福岡市の女性さんは、約１ヵ月に及ぶ意識のない時間の記憶が鮮明にあった。それは真っ暗ではなく、痛みもない世界だった、いつものように朝起きて、平和で穏やかな毎日を過ごしていた、と言う。手術で奇跡的に一命を取りとめた彼女は現在、左半身マヒと右目失明という後遺症を抱え、リハビリを続けながら、自らの記憶を伝え始めた。彼女が昏睡時に見た驚きの世界と、意識不明の一人娘と向き合った両親の苦悩を描きながら、幸せで豊かな生活を模索する女性の日常を追う。

昭和初期、言論・思想弾圧と戦争の時代に、川柳を武器に民衆の立場に立ち、反戦・反権力を詠み続けた川柳作家、鶴彬の生涯を描く。◆鶴彬は石川県高松町生まれ。幼いときに父親と死別し母親が再婚したため、伯父夫妻の養子となった。孤独な少年は、平等を希求しプロレタリア川柳を貫くようになっていく。彼の川柳には当時の世相が色濃く反映されている。そして、川柳は滑稽・諷刺といった言葉遊びではないことが分かる。権力に媚びず、自分の信条を塗りかえなかった彼は、治安維持法違反で検挙され、留置場で赤痢にかかり、２９才８ヶ月の短い生涯を閉じた。彬の生涯と、彼が詠んだ代表的な川柳を軸に、血縁者のインタビュー、鶴彬全集を出版した作家・澤地久枝氏や鶴彬の生涯を小説に書いた吉橋通夫氏による鶴彬像を交えて送る。

宮崎県出身の歌手、今井美樹さんと、コブクロの小渕健太郎さんが、口蹄疫で大きな被害を受けた宮崎の復興を願い作った楽曲『太陽のメロディー』をモチーフに、宮崎で復興に向け行動する人たちを描くドキュメンタリー。ＦＭ宮崎にも出演しているＤＪ　ＰＯＣＫＹさんが甚大な被害があった川南町の畜産農家の人々や関係者を訪ね、彼らの心情、取り組みをインタビューする。生かすために接してきた動物たちを殺処分しなければならない苦しみ。しかし、懸命の努力で被害は宮崎県内だけで抑えきった。１０月１０日に宮崎で行われたコブクロのスタジアムライブでは、この日のために今井美樹さん、布袋寅泰さんも駆けつけて『太陽のメロディー』を演奏した。このライブ音源も紹介する。ナレーションは今井美樹さん。

大阪で初老の息子が介護していた母親を殺害するという事件が発生し、裁判員裁判が行なわれた。集められた裁判員６人は、おばちゃん主婦、ミュージシャン志望の若者など、関西ならではの騒々しい面々。それぞれがボケたりツッコんだり、関係ない話ばかりに盛り上がったりで、なかなか審議は真面目に進まず、裁判官も頭を抱えてしまう。しかし、話し合ううちに事件と、それぞれの裁判員が抱える家族の問題との共通点に思い至るようになる。次第に真剣みを増してくる討論。そこから意外な真実が浮かび上がる。そして６人が最後に下した結論とは…。脚本：三谷昌登、出演：正司花江、門田裕ほか。

島根県雲南市掛合町を拠点に音楽活動を行う白築純（しらつきじゅん）さん。東京でプロのミュージシャンとして活躍し、その後ＮＰＯ法人「緑のふるさと協力隊」への参加をきっかけに、自らの価値観・人生観を変える多くの出会いのあったこの地に移り住んだ。彼女に最も影響を与えたのは、地域のかやぶき屋根の家のおばあさん、白築とよこさんだった。とよこさんをはじめとする地域の人々や自然との関わりを通じて彼女が悩み選んだのは、都会で築いた音楽界でのキャリアを捨ててでも、掛合町で生きていくことだった。純さんはその後掛合町でソウルメイトと出会い、家族にも恵まれる。この地に移り住んでから書き溜めていたオリジナル曲のレコーディングも行われた。完成したＣＤアルバムから、彼女の町や人々に対する強い思いを曲とともに紹介する。