金沢素囃子は、大正初期の頃から金沢市のひがし、にし、主計の三つの茶屋街を中心に伝わってきた。素囃子とは舞踊からお囃子が独立したもので、三味線、笛、太鼓などの和楽器のオーケストラである。金沢素囃子は金沢の人々の生活に根付いて伝えられてきたが、今では一般の人には耳なじみがないものとなり、後継者不足が問題になってきている。ひがし茶屋街では、明治から代々金沢素囃子を受け継いできた杵屋喜三以満さんが中心となって、芸妓や弟子に稽古をつけている。そして喜三以満さんの娘、望月太満衛さんも、若き邦楽家として金沢素囃子を受け継ぐ決意をした。次世代に残すために金沢素囃子子ども塾で子ども達に演奏を教えたり、自らも新しい邦楽の形を探求して洋楽器との共演など様々な音楽イベントに参加したりしている。

愛知県岡崎盲学校中学部３年で、全盲の上田若渚（わかな）さんは１４歳。人の頬を触ることで色を感じるという。癒してくれる人の頬は緑、元気な人の頬は赤、そして大好きなお母さんの頬は、左が緑で右が赤。そんな独特な感性を持つ若渚さんは去年、自ら作詞した「マザーチーク」という歌で、インディーズで歌手デビューを果たした。「マザーチーク」はお母さんのほっぺのこと。女手一つで育ててきてくれた母に宛てた歌だ。生まれた時から全盲の若渚さんは、お母さんのほっぺに触れて、母親の存在を確かめてきた。若渚さん親子の周りには、いつも多くの人が集まる。若渚さんは、出会った人たちのほっぺに触れて、その人の色を感じながら、感謝の気持ちを込めた歌を作り、人の輪を広げる。若渚さん親子の日常を通して、全盲という障がいを感じさせない親子の強さを描く。

子育てをもっと楽しく！をテーマに、自らも子育て中のＤＪ大塚由美が送る生ワイド番組。（２０１３年１０月放送開始）◆今回は、仕事でも子育てでも輝いている女性を紹介するコーナー「キラリ！」にアンジェラ・アキが登場（３週連続の２回目）。歌手活動を休止してアメリカ留学を発表した彼女が、普段のテレビやライブなどでは見せない母親としての顔でアンジー流の子育てを語る。生活のふとした疑問や問題についてリスナーの意見を募集する「マンマミーア」のテーマは、映画館問題。このコーナーではリスナーが様々な意見を交わすことが目的で、ＤＪが結論を出すことはしない。映画館の座席についての疑問や、雑音についてなど、様々な意見が届く。お勧めスポットを紹介する「ｈｕｇ＋ＳＰＯＴ」は、この日公開の話題の映画「アナと雪の女王」を紹介する。

２０１４年現在、ラジオの未来を憂うラジオ制作者が、ラジオを考えるドキュメンタリー。◆ラジオの未来を見出せないスタッフは、「今のラジオの現状を知りたい」と街頭インタビューを行った。そんな中で見えてきたのは、「ラジオはなくても困らない」という現実。この現実をどう受け止めるべきかを考える中、二人の大学生と出会う。彼らはラジオを使った教育プログラムを考案したいという。そんな彼らのサポートを買って出たスタッフは、彼らとともに今後のラジオを考えていくことになる。キーワードは「デザインシンキング」。消費者や視聴者など受け手の幸せのために、問題解決したり最適なものをつくるという考え方だ。二人の学生とＦＭ福岡の社員は意見を出し合うブレインストーミング（ブレスト）会議を重ねる。その中で見えてきた現実とは、そしてこれからのラジオとは？　ラジオ業界全体が抱える問題にＦＭ福岡として一つの答えを提示する。◆サンデースペシャル。

ゴッタンとは、鹿児島県に古くから伝わる民俗楽器である。三味線とほぼ同じ造りながら、廃材や流木を用い、庶民の数少ない娯楽として、ひっそり、細々と伝えられた。昭和５０年（１９７５）年ごろにはゴッタンの名手、荒武タミさんが東京国立劇場で演奏するなど、全国的に注目を集めた。あれから３５年、ゴッタンは今、どんな形でどこで継承されているのだろうか。力強さと繊細さを兼ね備えた荒武さんの幻の演奏、現在学校で教材として取り上げている小学校、離島での取り組み、インタビューと演奏を交えながら、ゴッタンの発祥と現在を検証する。

福岡の音楽が、「博多は日本のリバプール」「めんたいロック」という言葉で語られ、日本を席巻した時代があった。そんな福岡から発生した地元の音楽ムーブメントをラジオを通じて支え続けてきた松井伸一が、同時代に起きた欧米のロック的動きと絡めながら紹介する、王道の音楽番組。◆松井伸一が７０代後半に差し掛かり、人生を振り返る意味でも、２０１４年１１月３０日に“生前葬”を開催した。会場には、音楽とラジオを通じてつながりのある１５０人が、松井を慕って集まった。今回はその生前葬を振り返る。生前葬では、松井伸一に大きな影響を受けたという福岡出身の音楽プロデューサー、松尾潔とのトークセッションを公開録音した。その模様もオンエアする。

絵本作家のいせひでこさんは、東日本大震災当時、世田谷文学館で原画展を開催していた。これからの日本はどうなっていくのだろうと不安に駆られ、今まで絵を描いて立ち直ってきたのに、絵が慰めにならないほどに落ち込んだ。それでも絵描きとして出来ることはないかと考え、絵本「木のあかちゃんズ」を緊急出版し、被災地の子どもたちに届けた。子どもたちとの交流を通じて、たくさんの気づきもあったと話す。震災前に着手していたチェロの絵本は、音楽や木の美しさを伝えるだけでなく、伝えていくことの大切さや、その伝承が未来を作るというメッセージへと、心境の変化とともに変わり、絵本「チェロの木」としてまとめられた。震災前後の絵本作家としての活動とその時々の思いを聞いた。

交通科学博物館（交博）は１９６２年１月、当時の国鉄が大阪環状線完成を記念して弁天町駅高架下に開館した（１９９０年までの名称は交通科学館）。近代交通機関に焦点を当てた博物館で、大阪だけでなく、関西のほとんどの親子が足を踏み入れたであろう遠足の定番スポットであり、鉄道ファンの聖地でもある。この交博が２０１４年４月６日、惜しまれながら営業を終了した。最終日の模様を、ベテランと若手の学芸員、館長、清掃員、警備員、近隣の飲食店、来館者などの声を交えて伝える。蒸気機関車義経号、０系新幹線、食堂車、京都駅プラットホーム…。大人気の鉄道ジオラマは学芸員が一人でナレーションと操作を行っていた。交博は５２年間、実物車両をはじめこれら数多くの資料を次世代に伝えつつ、来館者に乗り物の魅力を届けてきた。職員と来館者の思い出が、車両や模型、そしてこの場所に詰まっている。関西人と鉄道ファンに愛された交博の最後の施設案内。