山形県長井市のフォークグループ「影法師」は、結成４０年の“おやじ”４人組。メンバーの二人は専業農家で、地方、農業の現場から社会を風刺する歌を紡ぎ出してきた。代表作「白河以北一山百文」では「原発みたいな危ないものは　全て東北に押し付けて　浮かれて暮らすのは東京の人だけ（標準語訳）」と歌った。それから２０年後、福島第一原発の事故が起きた。メンバーは心配が現実になったことにおののき、自分達の非力を悔やんだ。そして２年後、「花は咲けども」を発表した。震災復興支援ソング「花は咲く」へのアンチテーゼだ。「国や財界は原発事故を早急に幕引きしたいのでは」と感じた彼らは、この曲を歌いながら、事故を風化させてはならないと訴える。「花は咲けども　春をよろこぶ人はなし　毒を吐き出す土の上　うらめし、くやしと　花は散る」。直接的な被害を受けていない者が福島の被災者の心情を歌っていいのか、という後ろめたさや葛藤があった。しかし、「東北で誰かがものを言わない限り、福島は完全に見えなくされてしまう」。福島の避難区域に今年も桜は咲いたが、愛でる人の姿はない。影法師は、この曲を多くのミュージシャンと歌い広めていくプロジェクトを始めた。影法師の歌を通して“東北と中央の理不尽な関係”を浮き彫りにし、「花は咲けども」に込めた思いを伝える。

横浜市は第二次世界大戦後、焼け野原から復興した。しかし１９８２年までかなりの土地を米軍接収地としてアメリカに提供し（戦後間もなく、全国米軍接収地の６２％が横浜の土地だった）、それが横浜市民の生活に、そして東京、ひいては日本に大きな影響を残したことを記憶に留める人は少なくなってきた。良くも悪くも戦後のアメリカの影響をもろに受けていたのが横浜、とりわけ米軍人の住宅と隣りあわせだった本牧だった。この地で６０年代、７０年代に青春を駆け抜けた若者たちは、大量のアメリカ文化を摂取して、ある者はミュージシャンに、ある者はアメリカ文化の伝道者に、そしてある者は押し潰されて消えていった。戦後日本の縮図が本牧にあった。横浜の米軍基地の変遷とその時代背景を検証しつつ、この時代に青春を過ごした人々の証言から、米軍基地、アメリカ文化の洗礼を受けた若者たちの姿を、当時のＲ＆Ｂ、ロックのヒットナンバーに乗せて今に伝える。

二人の太平洋戦争体験者が、沈没した乗艦から生還した経験を語る。◆山口治雄さんは福岡県八女市の出身。昭和１９年（１９４４）、横須賀の海軍砲術学校を卒業後、最初に配属されたのは千歳という航空母艦だった。山口さんはそこで大砲の爆発の時期を調整する掌尺手（しょうしゃくて）を担当した。そして、レイテ沖海戦の行動作戦に参加する。米軍機をひきつける囮役だった千歳は、米軍機の猛爆を受け沈没。山口さんは海を６時間漂流した後、救助された。九死に一生を得た山口さんは、次に軽巡洋艦の矢矧（やはぎ）に乗る。一方、広島県福山市出身で、山口さんと同じ横須賀の海軍砲術学校を卒業した八杉康夫さんは、戦艦大和の乗組員だった。担当は、敵の飛行機や戦艦との距離を測る測距儀。実は山口さんの乗る矢矧は、八杉さんの乗る大和の護衛艦だった。昭和２０年４月６日、山口さんと八杉さんは、沖縄水上特攻作戦で出撃する。

一世を風靡した人気バンド、ザ・タイガースのドラマー、瞳みのるさんは、４５年もの間、有川正子さんという女性を探していた。かつてザ・タイガースは「花の首飾り」と「白夜の騎士」の２曲の歌詞を公募し、採用されたのはいずれも当時（１９６８年）北海道在住の女性だったが、メンバーがこの２人と会うことはなく、長い年月が流れた。それがずっと気になっていた瞳さんは２人を探し、「花の首飾り」の作詞者とは数年前に対面を果たしたが、「白夜の騎士」を作詞した有川さんの所在はわからなかった。そして２０１３年１１月、ＳＴＶラジオの生放送番組「河村通夫の桃栗サンデー」に瞳さんがゲスト出演した際に情報提供を呼びかけたところ、放送中に数件の情報が寄せられ、５日後についに本人にたどり着くことができた。そして翌月、ザ・タイガース復活コンサートで札幌を訪れた瞳さんは有川さんのいる旭川に向かい、念願の対面を果たした。

平日午前の生ワイド番組。パーソナリティは山内要一と田村美香。（２００９年１０月放送開始）◆札幌の街の真ん中で、大きな馬が馬車を曳いている。時計台や道庁舎赤レンガなどの観光スポットを周る札幌観光幌馬車だ。その馬車を曳く銀太君は、ばんえい競馬の馬たちと同様、北海道開拓のためにフランスから渡って来た農耕馬の末裔である。もう一方の主役は観光幌馬車のガイド役で社長の土屋豊子さんと、馬の手綱を取る渡辺一美さん。田村美香が観光幌馬車に乗り込んで札幌の街を巡りつつ、馬と人との３７年のドラマ、そして北海道に根付く馬文化にスポットを当てていく。普通の道路を走る銀太君は注目の的だ。幌馬車からの中継に、リスナーから札幌観光幌馬車、銀太君へのメッセージを織り込みながら、渡辺さん、豊子さん、銀太君の絆を、馬の蹄や街の音に乗せて伝える。

中国・四国の８局が持ち回りでそれぞれのエリアの様々な情報を発信する「中四国ライブネット」。今回は山陰放送の制作。◆「伊藤ユキ子のシニアの扉」は毎週土曜朝の放送で、シニアのアクティブライフを応援する番組。そのスペシャルで、セカンドライフを生き生きと過ごす山陰のアクティブシニアとその元気の源をを紹介する。登場するのは、耕作放棄地に花桃を植える活動で集落に元気を取り戻しつつある限界集落のグループ、元気で楽しい活動で子ども達にも人気の山陰の元祖イクジイグループ、様々なＩＴ機器を使いこなし活動するＩＴおばあちゃん、そして３２年を経て再結成し、情熱のエレキサウンドを奏でるおじいさんグループサウンズバンド。ファイナンシャルプランナーが暮らしに役立つ経済情報を伝える人気コーナー「経済情報ＢＯＸ」もスペシャル企画で、今注目の「ふるさと納税」について伝える。またリスナーから寄せられた「元気の源」も紹介する。

静岡と縁の深い徳川家康が亡くなって、来年で４００年を迎える。静岡県内には徳川家康の大きな拠点が二つある。浜松と静岡だ。それぞれの拠点での家康の性質は好対照と言われる。浜松時代には武田信玄に果敢に挑んだ三方ヶ原の戦いがあり、一方の静岡では大御所政治を行った。ここに徳川家康の“動”と“静”の対比を見ることができる。この二つの要素を基軸にすえながら、家康の生涯を振り返る。ゲストの徳川宗家十八代当主、徳川恒孝氏には、宗家から見た徳川家康、徳川家について伺う。また、武将に扮してガイドを行っているグループ、遠州鎧仁會の協力で「三方ヶ原の戦い」の数々のエピソードを織り込んでいく。

杉田徹さんは写真家として取材に訪れた地にほれ込み、４６歳で養豚業に転身した。良質な豚肉を生産して安定した顧客も得ていたが、東日本大震災によって２０年以上も続けてきた養豚業を廃業せざるを得なくなった。失意のうちに再びカメラを持って家族と訪れたイタリアで、地産地消で生きる人々を撮影、その力強い生き方から、やはり自分も豚とともに生きようと決意するようになった。震災で全てが崩壊した中から、家族とともに復興に向けて立ち上がった７０歳の杉田さんに、再び取り組む養豚業への情熱を聞く。全２回の第２回。