平日朝の生番組「あさ採りワイド秋田便」内のコーナー「ラジオのある風景」の総集編。ラジオがどんな場所で、どんな人たちに聴かれているのか、パーソナリティの賀内隆弘が訪ねてきた。その中から３つの風景を紹介する。まずは、戦前から続くおでん屋さん。店では朝の仕込から夜まで、半世紀以上愛用しているというラジオが流れている。真空管ラジオからトランジスタラジオへと時代の移り変わりと、ラジオと共に歩んできた店の歴史を、美味しいおでんと共に店主と語る。続いて米や野菜、花などを生産している農園では、みんなラジオを持ちながら作業をしている。ラジオを聴いて育った野菜を試食し、脱サラの園主に農業をはじめたきっかけを聞く。最後は街の時計屋さん。ラジオ好きの店主は長年番組にファックスでお便りを寄せてくれている。店の看板時計は１００年以上前のもので、昭和の大火事の時も守り抜いた。仕事場には５０年前の珍しい型のラジオがあった。

介護の現場で働きながら、入所者と家族の写真を撮り続けている一人の女性の思いを、インタビューとドラマで描く。◆古川治子さんは、福井市内の老人保健施設でケアマネージャー（介護支援専門員）をしている。彼女がライフワークとして行っているのが、勤務先の施設で入所者と家族の写真を撮ること。しかも、家族にはベッドの上で入所者に添い寝してもらい、仰向けになったところを上から撮るのだ。これまでに１０数組を手掛け、家族の数だけ物語があった。それら家族の物語に、古川さん自身の思いを織り交ぜ、ラジオドラマ「ベッドの上で記念撮影」として描く。妻が入所している夫、夫が入所している妻とその息子、それぞれ撮影を提案されるが、素直に応じられない。しかし、次第に心が変化していく。古川さんはなぜベッドの上にこだわり、なぜ家族に添い寝してもらうのだろうか。この記念撮影や、日々の仕事を通じて、古川さんは今、何を思うのだろうか。その思いは、介護の在り方について私たちに投げ掛けられた問いでもあろう。

４日間にわたって放送された加山雄三特集番組。彼をリスペクトしてやまないＴＨＥ　ＡＬＦＥＥの坂崎幸之助が、加山雄三の楽曲を、時代背景も解説しながら紹介していく。加山さん本人のコメントも織り込まれる。◆「アクター（俳優）」、「シンガーソングライター」、「プレイヤー（演奏者）」というテーマで進めてきたシリーズの最終回は、「ホビー＆ドリーム」と題して、加山さんの幅広い趣味の世界に迫る。加山さんがとりわけ愛しているのは、海と船。中学時代に手作りして以来、これまで２３隻の船を作ったという。現在の大きな夢についても語る。曲は、海にまつわる名曲を取り上げるほか、フランク・シナトラとの夢のデュエット「マイ・ウェイ」など。

東日本大震災から５年、これからの被災地支援のあり方を考える。◆宮城県南三陸町に住んでいた佐々木さんは、親類を防災対策庁舎で亡くし、自宅を津波に押し流された。現在は隣接する登米市の仮設住宅で避難生活を送りながら、南三陸町社会福祉協議会の臨時職員として被災者たちをケアし、また語り部として被災体験も語り継いでいる。佐々木さんたちは２０１５年８月、宇都宮市での交流会に参加した。招いたのは、震災後に佐々木さんたちと知り合い、支援してきた宇都宮市のボランティアグループだ。佐々木さんらは被災体験を語り、現状を訴え、参加者は被災した人の生の声に耳を傾けた。このグループは主婦たちが中心で、佐々木さんを窓口に、半年ごとに現地を訪れ支援物資や義援金を送り続けるなど、“顔の見える交流”を深めてきた。しかし、震災から５年を前に状況は変化し、窓口だった佐々木さんが石巻市に移り住む決意を固める。また、求められる支援の形も変化してきた。

作家、沢木耕太郎さんが日本を旅する特別番組。「Ｓｏｕｎｄ　Ｔｒａｖｅｌｏｇｕｅ」とは「音の紀行文」という沢木さんによる造語である。ユーラシア大陸を横断した「深夜特急」で知られる沢木さんだが、日本国内も各地を訪れている。沢木さんの旅の話と、その土地が生んだ作家の文芸作品のラジオドラマによって、まるで本を読んでいるような「音の紀行文」の世界に誘う。◆第３回の舞台は広島。尾道ゆかりの林芙美子の「鶴の笛」をドラマ化する。尾道と言えば林芙美子や小津安二郎の「東京物語」だが、沢木さんは忘れられないある不思議な出会いがあったと語る。

１４歳の美少女りく。悲しみの意味はわからない。それでも、人前で自在に涙を流すことで、うまくやってきた。カッコいいパパと、美人で料理上手のママと「仲よく」暮らしていた。だが、あることをきっかけに、りくは関西の親戚の家に預けられることになる。ざっくばらんな関西人たちの中に突然放り込まれたりくは、「わたしは染まらない」と頑なになるのだった。ほしよりこのマンガ大賞受賞作のオーディオドラマ化。（全１０回）◆第７回。りくの誕生日を祝う食事のあと、元気だったときちゃんが突然倒れる。

岩手のイクメンを紹介しつつ、男性の育児への関わり方を考える。東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市で、育児にも積極的に参加する男性がいる。歯科医の吉田重之さんは、２児の父親。取材した日も子供が病気になり、保育園と家を往復。子育ては思い通りには進まない。吉田さんは育児に携わることで、子供の虫歯率が県内ワースト１の陸前高田市を何とかしたいという思いが芽生えた。吉田さんの「パパ友」で、九州から移住してきた山本健太さんは、パパサークルをつくった。育児に封建的な考えの父親を、仲間に入れたいと思っている。そして「イクボス」にも注目。父親が父親であることを楽しめるよう支援活動をしている、ＮＰＯ法人ファザーリングジャパン東北支部理事で、岩手県代表の後藤太平さんに、岩手のイクメンの状況、ファザーリングジャパンが提唱する「イクボス」について聞く。男性の育児が社会に浸透するには、何が必要なのだろうか。

「障がい者」イコール「車椅子」のイメージが強いが、聴覚障害、知的障害のある人など、外見では判断できない人々も多くいる。２０１５年１０月、「音のつぶコンサート」が大阪のビッグ・アイ（国際障害者交流センター）で開催された。これは知的障がい者の方が、劇場で１人の鑑賞者として楽しむにはどうすれば良いか、学び体験するコンサートだ。劇場では突然大きな音（ブザー）が鳴ったり暗くなったりする。それが障がい者を驚かせ、不安にする。このコンサートでは冒頭に司会者が、なぜそうなるのかを丁寧に説明する。４月に施行された「障害者差別解消法」は、障害を理由とする差別をなくし、誰もが暮らしやすい社会を目指す法律だ。このイベントで鑑賞のルールを学び、周囲に迷惑を掛けずに一般のコンサートにも参加できるようになれば、障がい者の行動範囲が広がる。受け入れる施設側も、配慮が求められる。イベントの企画者、保護者などのインタビューを通し、「障がい者と共に生きる社会」を考えていく。◆ラジオ大阪報道特別番組