京都市北区に暮らす本出ますみさんは、クラッサーをしている。クラッサーとは、刈り取られた羊の原毛を品種ごとに分類する仕事だ。羊は日本では動物園などでしか見られないが、世界的には太古から衣・食・住をまかなえる家畜として、人と寄り添って生きてきた動物である。毛は衣類や敷物に、肉やミルクは食用、油脂は石鹸に、腸は楽器の弦になる。モンゴルのゲルも羊の毛で覆われている。そんな羊に魅せられた本出さんをクローズアップしながら、彼女を取り巻く羊にまつわる人たちを追いかける。この先、自給自足の時代が来るかもしれない。その時、羊のような動物との共存共栄が必要なのかもしれない。自然との共存、衣服のあり方など、様々な角度から、人と羊の関わりと、そこに生まれる世界を描く。

盲目で車椅子のミュージシャン、山下純一がパーソナリティを務めるエンターテインメント番組（毎週水曜２４時１５分～２４時３０放送）のスペシャル。◆山下は幼くして患った原因不明の難病から視力を完全に失い、その後手足も不自由になった。だが、入院中に出会った音楽に魅せられて、シンガーソングライター、ハーモニカプレイヤーとして活動している。ハンデを感じさせない面白いキャラクターで、音楽はパワフルだ。スティービー・ワンダーとセッションした際は、お互い見えないが故の面白エピソードがあった。ラジオ番組を担当する上で、またステージで、困ったこともある。自宅での音楽制作の様子やライブ音源も紹介。後半は、いつもサポートしてくれているギタリストをもっと知りたいと、お宅を訪問。そこで楽しくもびっくりのサプライズが起こる。サポートされる側の山下だが、支えてくれる人に喜んでもらいたい、自分もサポートしたいと、自身の思いを率直に語る。

横浜市にかつて存在した根岸競馬場は、横浜開港から間もない１８６６年に建設され、１９４３年まで約８０年間、日本初の本格的な洋式競馬場として一時代を築いた。現在は根岸森林公園として整備され、一等馬見所のみが当時の面影を残す建物として残る。「もしも今、この横浜で競馬が行われたら」という思いを胸に、横浜出身で競馬を愛する倉持明日香が、その願いを音だけのラジオで叶えようと、様々な人と出会いながら、当時の根岸競馬場の歴史を紐解いていく。横浜根岸にゆかりのある人、根岸競馬に関わってきた人々、地元出身の競馬騎手、そして大好きな馬たちに夢を描く競馬ファン。それぞれの思いを胸に、そして事前に出走馬を選ぶリスナー投票も行い、音だけで再現される架空のレース「横濱記念」を開催する。

陸前高田市立気仙小学校の校長だった菅野祥一郎先生の呼びかけで、卒業生の６人が久しぶりに集まった。８年前にラジオ番組のコーナー「僕の作文・私の作文」で作文を発表した子供たちだ。彼らは今、中学生、高校生になっている。菅野先生は、定年退職する年の３月に東日本大震災が発生し、子供たちに自分の思いを伝えられなかった。津波で校舎が全壊し、震災直後、やっとの思いで卒業式を迎えたのだった。◆震災から５年、家や家族を失った子供たちは、それぞれ悲しみを乗り越えて再会を果たした。菅野先生は、子供たちの成長ぶりを確かめたいと、当時の作文テープを一緒に聞きながら、近況を語り合った。大谷蓮斗君は震災で祖父を亡くした。母子家庭で育ち、祖父は父のような存在だった。深い悲しみを味わいながらも大谷君は、震災をきっかけに考え方も立ち振る舞いも大きく成長した。「子どもたちの成長を見るのが何より嬉しい」と話す菅野先生。今回子供たちに伝えたかったのは、「命を大切にしてほしい」ということだった。子供たちは校長先生のメッセージを胸に、再び前を向いて歩き始めた。

東日本大震災から５年に際して、被災地に思いを寄せる人々へのインタビューを特集する。今回の話し手は、阪神・淡路大震災での経験から被災地の復興のあり方を模索し続ける建築士のチョ・ホンリさん。◆震災が「風化」する危機感から、継続した被災地からの発信を訴えるチョさん。神戸市の丸五市場に東日本大震災や新潟県中越地震の被災地の特産品が並ぶアンテナショップを開設、地元住民と被災地の住民らがともに参加し、被災地間の交流が生まれる場所を作った。人生の苦しい節目に手を差し伸べてくれた「人」との出会いから、被災地の「モノ」を売るだけでなく「人」との交流を大切にしたいと語る。「復旧は急ぐべきだが、復興は慎重に」と語るチョさんに被災地同士をつなぐ復興について話を聞いた。

平日夕方の生ワイド番組。この日は２０１６年４月１６日の熊本地震本震の後、多くの人が避難する状況で、最初のレギュラー番組放送回である。通常とは番組内容を変えて地震関連情報中心の構成にしたが、非日常の事態で少しでも平常心を取り戻してもらえるよう、いつもの時間に、いつもの番組、いつもの声を届けるべく、しかし避難所や車中で初めて聴くリスナーがいることも意識して「ゆっくり丁寧に」を心掛けた。出演は、メインパーソナリティのかなぶんやに加えて、いつもはロアッソ熊本情報を伝えている風戸直子。余震が続く中、ライフライン、交通、店舗の営業状況など、逐一地震関連情報を伝えた。また楽曲もその状況に合うものか留意した。デマなどで情報が錯綜する中、正確な情報を伝えるというラジオの使命を全うするため、多くのスタッフが関わった。あるリスナーからは、「緊張の糸が張り詰めていたが、ラジオから流れてくるいつもの声に自然と涙がでた。心が落ち着いた。」というメッセージも寄せられた。

平日午後の生ワイド番組（２０１２年４月～２０１７年３月放送）。◆月曜はリスナー参加型のリサーチエンタメコーナー「私ってノーマル？それとも…」。世の中の森羅万象、自分にとって当たり前のことが、実は違った、そんな驚きをリスナーと共に生放送で楽しむ。パーソナリティの石塚かおりやゲストの意見も取り上げ、電話でリスナーの意見も主張してもらう。今回のテーマは「洋式トイレの蓋、あなたは閉める派？閉めない派？」。トイレに携帯電話を落とした経験があるので絶対「閉める派」という石塚かおりの意見に、リスナーから賛成、反対それぞれの意見が寄せられる。一方、そもそも正解が存在するのか、トイレを作っているＴＯＴＯに電話で聞く。毎回、時間内の寄せられた意見で多かった方を「ノーマル」と認定しているが、今回のノーマルは果たしてどちらか。

絵本作家・かこさとしさんの２回シリーズのインタビュー。「だるまちゃんとてんぐちゃん」など、長く読み継がれている絵本を６００冊以上も発表してきたかこさん。２０１６年３月に卒寿を迎え、いくつかの持病を抱えているが、なお新作の執筆に取り組んでいる。４７歳まで化学工業会社の研究者だったかこさんが絵本作家に転じたのには、日本の敗戦が強く影響しているという。節目となった数冊の絵本を軸に、いま改めて子どもたちに伝えたいメッセージとは。◆２回目は、出版社より敗戦後の復興を表すにふさわしい絵本の制作を依頼され、３３歳で絵本作家として歩み出すきっかけとなった「ダムのおじさんたち」、会社員を辞めて絵本作家一筋として歩むこととなった記念碑的作品「うつくしい絵」を取り上げ、制作時のエピソードについて聞く。