奈良県にはおよそ１万カ所の古代遺跡があるといわれている。昭和３０年代後半以降に発掘された遺跡の中から、特に人々の関心を集めたものを紹介する。◆畝傍山の南西に位置する新沢千塚では１９６２年（昭和３７）に調査が開始され、１２０余りの古墳が発掘された。この遺跡からは金製の冠や耳飾り、ガラス碗など、シルクロードを経由してきたと思われるものが多数出土した。１９７９年（昭和５４）には大安万侶の墓誌が発見され、古代史の貴重な資料となった。１９８５年（昭和６０）に発掘が始まった藤ノ木古墳からは金銅製の豪華な副葬品が出土し、被葬者は誰かなどの論争が続いている。

現代の日本を造りあげた明治・大正生まれの政治家や経済人・文化人が自らの歩みを２１世紀に生きる日本人に語り継ぐシリーズ。今回は産児調節運動に尽くして７０年、９３歳のいまなお現役で活躍する加藤シヅエさんが波乱の人生を語る。（１９９０年７月２日開始、全２回）◆後編では作家で聞き手をつとめる澤地久枝さんが新しい女性としての生き方を中心にインタビューする。

自らを画狂人と称し、９０年に及ぶ人生をひたすら描くことだけに捧げた浮世絵師・葛飾北斎（１７６０〜１８４９）。◆６歳で絵を好み１９歳で勝川門下となる。しかし一介の浮世絵師で終わることに満足せず新しい画法を求め、７０歳を過ぎてから世界的にその名を不朽のものにした『富嶽三十六景』を描く。浮世絵の世界に風景版画のジャンルを確立させ、欧州の印象派に影響を与えた。風変わりな絵師北斎には、その陰で洋画の研究など絶えざる道への挑戦が生涯を貫いている。◆鬼図（葛飾北斎筆）〔佐野美術館〕、二美人図〔ＭＯＡ美術館〕、たかはしのふじ〔東京国立博物館〕、骸骨図〔誓教寺〕、北斎の墓辞世句

大学病院を舞台に、人間の生命を左右しながらも世俗的な欲望が渦巻いている医師の世界を描く。原作：山崎豊子。（１９９０年４月２日〜４月３日放送、２夜連続・全２回）◆今や大学のスター教授になった財前（村上弘明）だが、裁判の控訴審に追われる日々が続いた。若い助手の柳原は偽証を強いられて苦悩する。里見は弁護士とともに遺族を助ける動きを見せるが、野望達成のためには手段を選ばない財前は、里見を学外に追い払う。里見は大学を追われながらも早期がん発見に献身する。いっぽう財前は野望なかばで、自らがんに倒れる。

１００年前、多くの浮世絵がアメリカへ渡った。シカゴ美術館には、鈴木春信（１７２５〜１７７０）の代表作『坐鋪八景』が初版本のまま眠っている。中国の『瀟湘八景』を模し、江戸時代の庶民生活と女性を屋内を舞台に描写した名品である。◆浮世絵がヨーロッパ印象派に与えた影響、春信が完成した革命的な多色刷り錦絵誕生の背景や、それを促した絵暦（カレンダー）の流行など。また浮世絵を通して江戸風俗の特徴を精査する。◆坐鋪八景、採連舟中二美人、風流六哥仙の文屋康秀（鈴木春信筆）〔シカゴ美術館〕

オーストラリアは不思議の大地。世界で最も乾燥した大陸。９月から１０月のわずか２カ月の間に、他の大陸では見ることのできない珍しい変わった花が一斉に開き大地を彩る。咲いているときから既にドライフラワーのようなエバーラスティングフラワー。花の祖先マクロザミア。つぼみに帽子をかぶり熟すまで待つユーカリ。蜂を利用するハンマーオーキッド。火事を逆利用するバンクシャー等々。種族維持のための、巧みな知恵と工夫がみられる。◆グレートサンディ砂漠、キングスパーク、レイクトゥーリビン

テレビカメラが“美のタイムカプセル”といわれる奈良・正倉院の宝庫に初めて入り、９０００点に及ぶ膨大な宝物のうち選りすぐられた名品１００点をハイビジョンで撮影。正倉院の美の世界を鮮明、華麗な映像で描く。◆第１回は、聖武天皇遺愛の品々を紹介。光明皇后によって東大寺に献納されたそれらの品は『国家珍宝帳』にこと細かに記録、北倉に収められている。皇后の天皇に寄せる思いが伝わってくる。

新宿のオフィス街に勤めるごく普通のＯＬとサラリーマンの恋をコメディータッチで描く。「Ｙｏｕ　ａｒｅ　ｍｙ　ｆａｖｏｕｒｉｔｅ　ｉｎ　ｔｈｅ　ｗｏｒｌｄ」（１９９０年１月８日〜３月１９日放送、全１２回）◆Ｖｏｌ．１。向井華（浅野温子）は旅行代理店に勤めるＯＬ。関西に転勤した恋人に会いに行ったが、彼には若い恋人が出来ていて、華はふられてしまった。傷心を抱いて東京へ帰る新幹線の中で出会った山村公次（三上博史）たちと、おかしな縁で付き合うことになる。