貧しい農村に生まれた少女が幾多の苦難を乗り超え、やがてスーパーマーケットのチェーン店を経営するようになるまでを、生まれ故郷を旅する彼女の回想という手法で描く。作：橋田寿賀子。ＮＨＫ連続テレビ小説第３１作。（１９８３年４月４日～１９８４年３月３１日放送、全２９７回）◆「俺の側に居てほしい、そしてもう一度出直してくれ」という思いがけない仁の言葉に道子はすべてを水に流す。おしんにも感謝する道子の表情はさわやかであった。

えん罪を晴らした後、社会復帰した免田栄さんの生活とその証言を軸に、えん罪事件の起こる構図と無罪が証明されるまでの軌跡を追ったドキュメンタリー。◆免田栄さんは、日本初の死刑囚に関する再審裁判（免田事件）の被告だった。２６歳から５７歳半ばまでを獄中で恐怖を背負って生き抜いた。◆戦前の自白強要の思想が残る中で起きた冤罪事件は数多い。

中央アジア・トルクメン共和国のほぼ全域を占めるカラクム砂漠（トルコ語で黒い砂漠の意）は、灼熱の地。ウズベク共和国の古都ヒワの町から砂漠を縦断して、世界で最も西の端にある仏教遺跡『メルブ』を目指す酷暑の旅。途中、『古代ウルゲンチの遺跡』や砂漠の中心にある小集落・タルワザでトルクメン人の悪条件下で闘う生活を見、その昔広大な規模を誇ったメルブの遺跡にたどりつく。砂漠に運河が通り、水に弱い砂の遺跡は人が見る最後かもしれない。◆ヒワの遺跡、古代ウルゲンチ遺跡、メルブの遺跡

男たちが出稼ぎに出、残された老女たちが奥能登の厳しい冬に耐え、雪や風と辛抱強く闘う。そんな奥能登・上大沢町西保の冬の生活風景を描く。◆男たちが出稼ぎに行く冬、奥能登の集落はひっそりとたたずみ、間垣が風に泣く。海に接していながら舟を持つ人は少なく、土地を支えてきたのは農業。女は危険な岩ノリ採りに、滑らぬようわらじをはいて用心する。◆奥能登〔石川県〕

画家・丸木夫妻の、沖縄の地上戦を描いた「沖縄戦の図」が完成するまでを追ったドキュメンタリー。「原爆の図」で知られる丸木位里さん（８３歳）、俊さん（７２歳）夫妻は、沖縄に渡り、縦４ｍ×横８．５ｍという大作に取り組んだ。「沖縄戦を描くことこそ、戦争の本当の姿を描くことになると気づいたから」という。夫妻は那覇市の首里に滞在し、戦争の爪痕の残る沖縄各地を訪ね歩いた。そして人々の証言を基に、スケッチを重ねていく。

かつて、みちのくの大名たちが足しげく通った奥州街道。その宿場であった宮城県白石市斎川は、古くは子どもの「かん」の薬とされた孫太郎虫の産地として大いに知られた。孫太郎虫はヘビトンボの幼虫で、流れの石の下にいる。新薬の普及により次第に忘れ去られたが、需要のある限り虫を採り続けるという老人の姿を追う。◆遠き日の「斎川孫太郎虫」という懐かしい響きとともに、夏のみちのくに山村の原風景を見る。◆斎川〔宮城県〕

岐阜県益田郡下呂町。有馬、草津とともに天下の三名泉として知られるいで湯の里。白サギ伝説がある千年来の湯治場。温泉寺に伝説を伝える薬師如来が安置されている。にぎわう町を一歩はずれると、水車が回る深い山里。江戸時代以来の『鳳凰座村芝居』は、地区の人たちが演ずる素人歌舞伎。農繁期前の２日間、観客を熱演に酔わせ涙を誘う。村芝居が終わると来年の演目を想い、芝居の感動を胸に秘め、いつもの暮らしに戻る。◆鳳凰座村芝居〔岐阜県〕

町の半分が水没するダム計画が山間の町を揺さぶっている。苦悩する小さな町の４年間の姿を追い、地方自治の厳しい現実を問いかけるドキュメント。岡山県奥津町。人口３８００人の過疎の町は、１９５７年（昭３２）に建設省が示した苫田ダムの計画によって、町の南半分４７７戸が水没することになっている。計画を強行しようとする国や県に対して、町はダム阻止を“町是”に掲げて阻止条例をつくり、あくまで抵抗する。