島根県斐川町で横笛を製作している樋野さんは、２６歳の時津軽三味線奏者の初代・高橋竹山と出会い、竹山さんの吹く笛の音に魅せられた。以来、独自に笛づくりを勉強し、現在では全国から注文が来るようにまでなった。笛づくりの技術は、すべて独学で、地元にある桜の皮の素材に着目し、横笛に用いたのも樋野さん独自の手法。神楽や祭用など用途によって種類が異なり、すべて注文生産。製作過程の中で最も神経を使うのが指口の穴明けで、吹き口と指口の微妙な大きさが音色に影響を与えるとあって、削っては吹き、吹いては削る作業を繰り返し、音色を確かめていく。横笛だけではなく土笛もつくり、子どもたちに作り方を教えている。

巌流島までの宮本武蔵を、英雄としてではなく、絶えず悩みもがく等身大の青年として描く時代劇。◆お通を残して、兵法者への道を究めるために京都にやって来た武蔵は、お甲との自堕落な生活に溺れた又八に再会する。そこで武蔵は、日本一の兵法者になるには、吉岡道場、槍の宝蔵院、柳生の三家と刀を交えなければならないと知る。早速吉岡道場に出向き、門下生９人を、次に奈良の宝蔵院の代格・阿厳を打ち倒す。そこで出会った不思議な僧・日観は「強すぎるからこその慢心と油断がある」と武蔵に告げる。武蔵は柳生の里でお通と三度再会する。

小山市の千駄塚古墳は、小山の富豪と通りかかった奥州の商人との千駄の荷物をめぐる賭け事が、その名前の由来となっている。ここから北へ向かうと藤原秀郷が社領を寄進したという安房神社がある。神社脇の林の中には「鎌倉道」と書かれた標柱の立つ細い道があり、小山市「歴史の道」にも指定されている。やがて街道は、中世に栄えた小山氏ゆかりの鷲神社、鷲城跡、小山城（祇園城）跡と、小山氏の菩提寺である天翁院に至る。さらに街道は日光街道沿いに宇都宮へ向かう。

ＪＮＮ九州沖縄７局の合同企画シリーズ。九州沖縄地方の豊かな自然や古来からの歴史、多彩な文化など、かけがえのない郷土の遺産を後世に伝える。１９９７年から２００２年まで全３５本を放送。◆弧線・円・三角形・舟・鳥・馬など、様々な図文が描かれた装飾古墳は、別名「黄泉の国の芸術」とも呼ばれ、死と直結した怪しい雰囲気を漂わせながら、今なお多くの謎に包まれている。装飾古墳は全国で５００基ほどが確認されているが、その半数は熊本県・福岡県を中心とする北部九州に集中している。装飾古墳が盛んに創られたのは５～７世紀、文字としての記録がほとんど残っていない時代だ。古代人は何を想い、このような図文を墓室に描いたのだろうか。呪術的模様から始まった装飾古墳はやがて鮮やかな色彩の造形を施し、その後、思想性を帯びた装飾へと変わっていく。その道筋を辿りながら、原始芸術ともいうべき装飾古墳の図文に隠された古代人の魂を探る。

明治から昭和の時代を背景に、長崎の古い歌を探し歩く歴史研究家と芸者の無償の純愛を描くドラマ。原作：なかにし礼。◆長崎丸山の芸者・愛八（市原悦子）は器量は良くないが、歌と三味線の巧さと、客に媚びない気風の良さで人気だった。また、辻占売りのお雪（宮沢りえ）を我が子のように気にかけていた。ある日、長崎の文化・歴史研究家の古賀（藤竜也）と出会い、５０歳を前に生まれて初めて恋をする。古賀から「おいと一緒に長崎の古か歌ば探して歩かんね」と誘われ、町から山奥まで二人で出かけるようになるが、愛八の心は届かない。愛八はお雪を古賀に相応しい女に磨き上げ、自分の夢を託そうと考える。

実話を基に、農水省キャリア官僚から農業への転身をはかった女性の奮闘を描くドラマ。原作：役重真喜子「ヨメより先に牛（ベコ）がきた」。◆２年間勤めた農林水産省に別れを告げ、自転車で岩手を目指す遠山早紀（山本未来）。１年前に農村研修を受け、すっかり農家の仕事に魅せられてしまった。希望と不安をともに抱いてやってきたが、着いた早々受入先の主人・坪井（渡辺徹）に厳しく叱られる。自転車で来たため、到着が予定より１日遅れたのだった。「牛は人間の都合とは無関係だ」。生き物相手、自然相手の仕事の厳しさを思い知らされたが、へこたれず牛飼い人生を歩み始める。

ブリキのおもちゃのコレクターとして知られ、横浜にも博物館を開設している北原照久氏のコレクションの数々を紹介する。◆１９５０年代に日本で作られたクマとゾウの動物おもちゃを紹介する。

１５０億年という壮大な宇宙の進化を臨場感溢れる映像で描き、生命はどこから来てどこへ向かおうとしているのかを探るシリーズ。（１２月３０日終了、全９回）◆太古の昔、原始地球にいくつもの彗星が飛来し、大量のちりを撒き散らした。これに含まれていた有機物がもととなって、生命発生への道がひらけた可能性がある。３６００年前には、現在のアメリカ大陸東海岸に直径５キロの巨大彗星が衝突。灼熱地獄のなかで多くの生命が失われた。一方では、天体衝突が刺激となって進化が促進されたという説も浮上している。私たち生命と宇宙との深い結びつきを解き明かす。