千の手で慈悲の深さ、救済の力の強さを表わす千手観音を、“祈りと手”をテーマとする作家・木崎さと子さんが歴訪し、１２００年にわたる日本人の祈りに思いをはせる。◆千手観音の１０００の手にはそれぞれ一つの眼があり、人々のどんな願いも見てとって救いの手を差しのべてくれるという。握られた様々な法具は、どんな願いにも応えようとする慈悲の細心さ、怠りなさを示している。◆多くの欲望を見ながらも、その表情は穏やかに静まっている。「千手観音はその受けとめた欲望を、胸の前で合掌した手で浄化してくれているように思える」と木崎さんは語る。

瀬戸大橋の建設で、瀬戸内海をとりまく地域の状況は激しく動き始めた。検証・瀬戸大橋時代をメインテーマに、瀬戸内エリアの観光・経済などの新しい動きをタイムリーに伝える。（１９８８年５月７日～１９８９年９月３０日、全６９回）◆都市を、大企業を目指す若者たちを自社に獲得しようとする香川の中小企業の取り組みを伝える。

３０歳目前の同級グループが久々に顔を合わせることになった。女はもう結婚に結びつかぬ恋をする余裕がなくなり、男は社会で責任を負う立場となった。そうした各自の心の揺れを描く。◆今雨子は２９歳。交際していた上司・菊池との不倫を清算するついでに会社を辞めた。そんな時、小学校のクラス会が開かれた。だが、今雨子が密かに再会を期待していた晴彦は来ていなかった。

東西新聞文化部のグータラ社員・山岡士郎と新人部員・栗田ゆう子の二人は、社の１００周年企画「究極のメニュー」づくりの担当者。本当の美味を日々探求し続けている。「究極」を流行語にした人気劇画のアニメ化。（１９８８年１０月１７日～１９９２年３月７日放送、全１３６回）◆「激闘鯨合戦」前編。捕鯨反対運動が高まり、反捕鯨団体・鯨十字軍のワット副会長が来日することとなった。日本の食文化である鯨料理もできなくなると心配する士郎たちだが、日本で板前修業中の友人・ジェフも捕鯨反対論者だと知って驚く。ジェフを大阪に連れて行き、全てのクジラが絶滅しかけているというのは間違いだと告げると、ワット副会長に直接会って話を聞くと言い出す。

女手一つで育ててきた母と、脳性マヒの息子の自立を描く。障害者とその家族への応援歌として、浜木綿子主演で年一作制作された「おふくろシリーズ」第５作。◆早くに夫を亡くした信恵は、一人で二人の息子・恭介と壮平を育ててきた。恭介は脳性マヒで手足に障害を持ち、大学を卒業したものの就職先が見つからない。ある日、歩行器で街に出た恭介は、ワープロ熟練者を求める印刷所を見つけ、鼻でワープロを打って見せて仕事を得た。学生時代の同級生に振られて落ち込んでいた恭介は、印刷所の事務員・綾子に映画に誘われ、二人は惹かれあう。やがて恭介は綾子と同棲したいと信恵に打ち明けるが、信恵は「まだ親掛かりのくせに」と反対する。

粗削りな「鉈彫」といわれる作風の仏像を、北海道から近畿にかけて四千七百余体も残したなぞの仏師・円空（１６３２〜１６９５）の足跡をたどる。厳しい宗門統制があった江戸初期、仏像を彫りながら庶民救済の放浪行脚を続けた円空は、超人的な修験僧とも推測される。おびただしい円空仏は今も土地の人々に愛されている。現代、ピカソやロダンに匹敵すると再評価され、江戸期の彫刻が見直されている。だが多くの研究にもかかわらず、その人物像は霧の中にある。◆【重要文化財】一切経蔵〔三井寺〕◆【史跡】高山陣屋跡〔岐阜県〕◆【その他】円空仏〔神明神社、弥勒寺、千光寺、桂峯禅寺〕

スリーマイルから１０年、チェルノブイリから３年。２１世紀に向けて、人類の最大の課題となった「原子力」についてあらためて考える。シリーズ２１世紀。（１９８９年４月５日〜４月７日放送、全３回）◆第２回は「安いエネルギー」といわれていた原子力発電の経済性について検証する。原発は経済的であると信じて建設を推進してきたアメリカを、１９７９年のスリーマイル事故が変えた。システムの破綻が大事故につながるため、原発の安全基準は高くなり、そのぶんコストが増大してゆく。アメリカを手本にしてきた日本では、今も原発建設が進められている。その事情をみる。

日本経済新聞紙上で１９５７年３月に始まった「私の履歴書」テレビ版の新シリーズ。一時代を築いた人物が出演し、自らについて語る。（１９８８年１０月５日〜１９９１年３月２６日放送、全１２７回）◆小野正吉：ホテルオークラ専務取締役・総料理長。