中世以降の東西交流は「絹の道」が陸であったのに対して、海の道を経由した「陶磁の道」が象徴的である。◆エジプトの『フスタートの遺跡』では中国の陶器の破片が出る。美しい陶磁器は西の世界の人々にとって世界を動かす貴重品であった。壊れやすく、だからこそ人々は欲しがった。千年も前から海を渡って東と西は結ばれていたのである。そして海上の道は、中国から九州の伊万里へと伸びる。◆フスタートの遺跡〔エジプト〕、ミナブの遺跡〔イラン〕、のぼり窯〔韓国〕、トルコ細工〔トルコ〕、有田の秘窯〔佐賀県〕、マイセン磁器〔ドイツ〕、伊万里焼〔佐賀県〕

戦国動乱の時代を舞台に、稀代の智将といわれた真田幸村と個性豊かな十勇士の活躍を描く連続人形劇。ご存知・猿飛佐助物語を中心に、滅びゆく宿命を背負いながらも、自己に忠実に生きようとする若者たちの心意気を、波乱万丈の節立てで書きおろした。原作：柴田錬三郎。（１９７５年４月７日〜１９７７年３月２５日放送、全４４５回）

人間国宝・黒田辰秋さんは、木工芸家。京都の仕事場を訪ねて、作品が出来上がっていく様子を取材した。（当時７０歳、昭和５７年没）器から家具まで幅広い作品を生み出す黒田さんは、工芸材としては堅くて細工しづらいケヤキを好んで使っている。「木の性質をよく知った上で作業をすれば、思うように細工できる。木と仲間になれたら、手を握りあえたら理想的」と、日ごろの作業を振り返る。木目を生かしたざん新で力強い作風は、そこから生まれる。

　世界中の人々の暮らしぶりや自然を紹介する、海外取材ドキュメンタリーシリーズ。全米写真家協会プロフェッショナル最高賞を受賞し、国際的にも評価された。（１９６６年１０月９日～１９９０年９月１６日、全１０００回）◆カリフォルニア半島の沖に浮かぶ孤島サンボニトは、ゾウアザラシとアワビ捕りの季節労働者の島である。夏の間はたった一人の燈台守がこの島の住人だが、冬の期間は五十人余りのメキシコ人ダイバーと、数百頭のゾウアザラシで賑わう。ゾウアザラシのボスは、３０頭から５０頭の雌を従えてハーレムを造る。ボスは数多くの妻に対してせっせと“お勤め”を果たさなければならない。

１２月２１日の雪の夜、自作した曲のテープを持って、郵便局職員の青年・努（下條アトム）がある音楽スタジオを訪れた。自費でレコードを作るためである。彼はプロデューサーの清水（高松英郎）やディレクター・立川（近藤正臣）らと夜更けにまで及んだ録音作業の間に、さまざまな人間模様を知る。

瞽女（ごぜ）とは三味線を弾き、歌を歌う盲目の旅芸人。先頭の道案内の背中に指三本をかけ、鎖のように連なって歩き、旅をする。瞽女は行く先々で「ごめんなんしょ」と言いながら家々を訪ね、その玄関先で芸を披露し、お金やお米をもらう、いわゆる門付をして周る。瞽女の歴史は古く、徳川時代初期から続き、東海道五十三次の風景版画にも瞽女の旅する姿が描かれている。昭和の始め、長岡にある瞽女小路には３００人もの瞽女がいた。しかし、終戦の頃には１５０人と半減し、今では旅をする瞽女は新潟でもたった３人だけとなってしまった。そんな瞽女の旅路を追った。◆放送番組センター協賛番組

昭和半世紀の節目にちなみ、５０年間の記録フィルムと関係者の証言で時代を分析し、昭和を動かしたものは何かを考える。（１９７５年４月６日～１９７５年１２月２８日放送、全３９回）◆この回のテーマは、終戦直後の国民の食糧難。レポーターは南利明。

びわ湖の東岸にある金剛輪寺及び福田院の、それぞれ趣の異なる庭を紹介する。金剛輪寺は、作庭の時代が違う３つの庭をもつ。南庭は桃山時代の様式、垂直に組んだ滝の石組をもつ東庭は江戸初期の蓬菜山式山水、また北庭は山すそを使った豪華な滝の石組に江戸中期の様式が表れている。いずれも四季折々の採りをもつ。これに対して福田寺の枯山水の庭は、敷きつめられた白砂も土に埋もれている。夜の庭にライトを当てて、２段の滝をかたどった石組、三尊石組、亀の石組を浮かび上がらせる。日本庭園の演ずる視覚的ドラマ。◆放送番組センター協賛番組