文学作品のゆかりの地を訪ね、風景やそこに暮らす人、その作品に影響を与えた人にふれることで、文学作品のもつ「もうひとつの世界」を探る、文学紀行番組の新シリーズ。第２集まで制作・放送された。（第１集／１９８１年１０月４日～１９８２年３月２８日放送、全２６回）◆第１回は太宰治の代表作「富嶽百景」（１９３９年）を取り上げる。太宰の命日にちなんで行われる桜桃忌に集まったファン、小説で描かれた富士山の麓、山梨県河口湖に住む人々、太宰と親交のあった人の話から、太宰治とはどのような人物であったのかを探る。また、評論家・作家の松永伍一氏が、「富嶽百景」が書かれたころの時代背景を解説する。近眼の太宰には富士山がどう見えていたかも検証する。

大阪・生野区にある「猪飼野」地区。地名が地図から抹消されてすでに８年経つ。在日韓国・朝鮮人６５万人のうち、５万人が大阪の「猪飼野」地区で生活している。戦後３６年、祖国を知らない２世、３世がすでに８割を占めるようになった。大部分は朝鮮語、韓国語を話せない。名前も日本名である。こういった時代の流れの中で、いわれなき差別や日本への同化に抵抗し、民主体制を求めて生き悩む韓国・朝鮮人の姿を追っていく。

近代化の中で消えつつある伝統技能、今も脈々と受け継がれている職人技術を横浜市内各地に訪ね、手作りの工程や職人さんたちへのインタビューを交え、年一番組という地道なペースで記録しているシリーズ。◆人が大地を耕すことを覚えてから、人々の暮らしと共にあった野鍛冶。番組ではクワ作りの工程を通し、火と水で鉄を鍛える職人の至芸を紹介する。修理が何度でも可能な手づくりの良さなど、後継者へのインタビューを通し、次世代へ残すべき伝統技能の重要性を伝える。

一年間、テレビを中心に活躍した演芸界の芸能人を各部門から選び、新人賞・名人賞を贈って精進をたたえる。◆新人賞は春風亭小朝、紳助・竜介、最優秀新人賞がザ・ぼんち。功労賞は林家彦六、大衆賞は林家三平、特別賞は芦屋雁之助。名人賞は桂三枝、ツービート、三遊亭円楽、広沢瓢右衛門。第１回の花王名人大賞は横山やすし・西川きよしと決定した。

原子力発電をめぐっては、いわゆる推進・反対それぞれの専門家同士の対立が続き、一般市民にはよくわからないまま開発が進んできた。あまり知られていない原子力発電の巨大な技術システムを明らかにし、原子力エネルギー問題を考える上での基礎情報を伝える３回シリーズの番組。１回目は、カナダのウラン鉱採掘現場から核分裂による原子力発電に至るまでの過程を追う。この発電のプロセスでどのような放射性物質ができるのか、どのような放射線が出るのか、それが外に漏れるのをどういうシステムで防いでいるのか。それらを原子力開発の歴史にもふれながら、わかりやすく解説する。

表向きは南町奉行所同心の中村主水、三味線屋のおりくと勇次、飾り職人の秀、なんでも屋の加代ら仕事人が、殺しを請け負い、人々の恨みを晴らす時代劇。必殺シリーズ第１７作。（１９８１年５月８日～１９８２年６月２５日放送、全５５回）◆第１回「主水腹が出る」。仕事を離れて太り気味の主水（藤田まこと）の前に、苦労した挙句、江戸に舞い戻った加代（鮎川いずみ）が現れる。加代はもう一度仕事をやろうと誘うが、主水と秀（三田村邦彦）は乗り気でない。そんな折、三味線屋を営むおりく（山田五十鈴）は、過去のことを勇次（中条きよし）にばらすとゆすられる。

ＴＢＳ調査部が全国１５０地点で調査したデータをもとに割り出した歌謡曲のランキングと、その曲々のＶＴＲを紹介していくベストテン番組。◆明治以来、流行歌は日本人の生活に深く浸透し、心をつかむようになった。１９８１年（昭和５６）の年頭にあたって、これまで世に送り出された無数の流行歌のうち、どの曲が日本人の心に残っているのかを、時代背景や世代分析とともにランキング形式で紹介する。司会は野村泰治と星野知子。

日本でテレビ放送がはじまって四半世紀。その間にテレビニュースが現代史の中で果たした役割について検証する、証言と記録映像のドキュメント。◆動く映像と臨場感のある音声を伴うテレビニュースは、技術の進歩にともなって活字メディアと並ぶ報道機関としての地位を築いた。しかしテレビは免許事業であり、そのジャーナリズムに落し穴がないとは言い切れない。日本が手本にしたアメリカのテレビニュースの歴史と比較しながら、視聴者のためになるテレビニュース、ニュースキャスターのあるべき姿などについて自問自答する。