歌も踊りも芝居もできる草笛光子を軸に、毎回、各界からゲストを招いて繰り広げるミュージカルバラエティ。年齢・階層を問わず人々に楽しまれる番組を目指して、コメディ要素が強かったそれまでのバラエティ番組に比べ、音楽の比重を高めた。（１９５８年５月１１日～１９６０年１２月２５日放送）◆この回は“テレビ”がテーマ。スポンサー、スタッフなど番組を作る側の人々がユーモラスに紹介され、マスコミとしてのテレビと、視聴率こそがテレビの死命と将来を制するという状況をコント、歌、踊りで表現し、テレビが人々の生活にさらに深く浸透するであろう未来の世界を展開する。タイトルの「イグアノドンの卵」はテレビが人類の幸せとなるか、恐竜のような怪物となるかは、視聴者の育て方次第という主張を表している。

ＮＨＫ中近東特別報道班は９月中旬から１２月末までの３カ月半、中近東各国、東はアフガニスタン、西はギリシャまで１２カ国を回り、躍進をめざす新興国、中近東の古い歴史の跡、アラブ民族の宗教、風俗、生活などを取材した。（１９６０年１０月４日〜１９６１年１月３１日放送、全１５回）◆「第１集　イランの印象　北部編」では、テヘランのバザールで見たイランの風俗、工場建設など近代国家への一面、いまだに国民のあいだに残る著しい貧富の差を紹介する。カスピ海沿岸へ転じてラムサ、ラヒジャン、レヒト、パーレビなどの都市を巡ってキャビア製造工場や紅茶の栽培などの風景をつづる。

鞍馬天狗をパロディ化した時代劇コメディー。提供スポンサーの商品名から名を取った「姓は尾呂内、名は南公」のとんま天狗（大村崑）と、目明しの親分・子分のからみで展開する一話完結の物語。（１９５９年９月２日〜１９６０年１２月２４日放送）◆最終回（第７０話）は「江戸の饗宴」。とんま天狗の一行は、幼い姫を無事に江戸へ送り届けた。しかし姫はこれから人質生活である。そしていよいよ一行と姫がお別れという日に事件が起こる。◆エンディングで大村崑から最終回のあいさつ有り。

大学在学中に安保闘争の激動を経験した青年が、就職という壁に直面して志を試される。時代を背景にした、一種のディスカッションドラマ。１９６０年の安保闘争が若者たちにどう影響したのか、闘争後の生きかたはどうであったかを、就職試験を通して問題提起する。作：大島渚。

「奈良美術散歩」「いかるがの里」「秋の大和路」に続く美術散歩シリーズの一環として、奈良県の大和盆地の東南にある室生寺の晩秋を紹介する。◆弥勒（みろく）堂の弥勒菩薩、貞観時代の古建築を代表する金堂、日本三如意輪の中でも最も秀れているといわれる灌頂堂の如意輪観音像などが見もの。

「日本の素顔」（１９５７年１１月～１９６４年４月放送）はドキュメンタリー番組の草分け的な存在。社会に潜む問題を様々なテーマから鋭い切り口で掘り下げ、解明していく手法をとった。◆第一次ベビーブームの世代が小学校６年生になった１９６０年（昭和３５）、６年生の人数は全国で２５０万人に達して戦前、戦後を通じて最高となり、学歴社会を生き抜くため、親子で有名大学を目指す進学熱が高まりを見せていた。エスカレーター式に進学できる私立小学校の人気も増し、幼稚園の幼い子どもたちも受験戦争に巻き込まれていく。１問でも多く正解するため受験塾に通い、試験用紙と格闘する受験生の努力と家族の協力を描き、加熱する受験戦争を考える。

浪人・葵太郎（山城新伍）を中心とした夕香里・小助・忠助の４人と、白馬にまたがりさっそうと現れる太陽の子・白馬童子が、正義と平和を乱す悪人どもを成敗する痛快時代劇。原作：巖竜司。（１９６０年１月５日〜１９６０年９月２０日放送、全３８回）◆「南蛮寺の決斗　第一篇」。葵太郎が長崎を訪れている時、貿易商を狙った連続殺人事件が起こる。その現場にはいつも黒い蜘蛛。そして犯人一味を追う白馬童子は南蛮寺にたどり着く。

ひとつの壷のまわりで揺れ動く人間たちと運命の皮肉を描く。◆陶芸家の卵・啓助は博物館でみた「仁清の壷」に惹かれ、その模作を焼きあげる。一方、博物館長の中河原は「仁清の壷」を他の美術館に貸出し、それを持ち帰る途中盗まれてしまった。困った中河原は、啓助にニセの壷を焼かせ、本物の代わりにする。啓助は自分の壷が展覧会に飾られているのに気づいて驚き騒ぐが、誰にも相手にされない。◆（開始から約２分は無音です）