昭和３４年秋、北関東のひなびた町の一杯飲み屋で、初老の元巡査が倒れた。彼は戦争末期、東北の村で脱走兵狩りを陣頭指揮した話をしながら息絶えた。作：安部公房。◆それは昭和２０年２月、吹雪の夜のこと。大貫巡査は脱走兵が村に向かったという知らせを受け、戸締まりを厳重にするようにと村を巡回する。村人たちは、脱走してきたのは自分の夫や息子かもしれないと思いつつ、固く戸を閉ざす。村人たちが自分を受け入れてくれないことを知った脱走兵は…。

炭鉱離職者の悲惨な生活を描くとともに、失業対策のない合理化政策の矛盾を指摘し、離職者対策の必要性を訴える。◆昭和３０年代初頭から石炭産業の合理化が進み、３４年８月には三池争議がはじまった。石炭産業の斜陽化で炭鉱街は疲弊の一途をたどる。生活にあえぐ中小炭鉱の労働者と家族を救済するため、３４年秋に一主婦の発案で黒い羽根運動が始まったが、それも救済の決め手にはならなかった。

元家臣に殺され城を奪われた鏑木氏勝の遺児・小六が、剣術の達人・疾風之介に風神の術を学び、お家再興のために戦う。第二部では成長した小六（山城新伍）が悪人を倒すべく活躍する。原案：北村寿夫。（１９５９年２月３日〜１２月２９日放送）◆公開しているのは第二部の「狐火地獄・前篇」。モノクロ作品。

主人公・速水庸三は、第二次大戦激戦の地フィリピンから復員して十数年、今は、紡績会社の課長として、一見平和に暮らしている。平和で穏やかで、あの暗く悲惨だった戦争などまるでなかったような生活の中で、ふとこれでいいのかという疑問にとらわれる。平和について問い直すドラマ。

Ｎ開発公団の汚職事件に関連し、検察は会計課長を取り調べる。彼は上層幹部や政治家に捜査が及ぶのを防ぐため、部長の意を受けて犠牲となる。妻子については十分面倒を見るという部長の言葉にも拘らず、渡されたのはわずか３５万円だった。保険勧誘員となった妻は、総裁や幹部の家を訪れたが…。作：松本清張、西川清之。

アメリカで放送されて評判になったレジナルド・ロ－ズ「Ｔｈｅ　Ｒｅｍａｒｋａｂｌｅ　Ａ　Ｉｎｃｉｄｅｎｔ　ａｔ　Ｃａｒｓｏｎ　Ｃｏｒｎｅｒｓ」の翻案。一人の生徒が学校の非常階段から転落した事故をめぐって、級友、教師、父母たちの責任問題が追求される。

庶民の金を預かり、爆発的に成長する投資金融団体にメスを入れようとする一人の中年刑事の姿から、平凡ではあるが真剣に生きようとする人間のたくましさと強さを描いたドラマ。◆松本刑事は高配当で爆発的な人気を得ている投資団体の内偵を命じられた。その前に立ちはだかったのは、団体の理事長・天野だった。天野は松本の目の前に札束を積むが、松本は手を触れようとしなかった。

昭和の初期から敗戦に至るまでの、２０年間の日本の動き、世界の動きを、当時の貴重な記録フィルムを駆使してつづるドキュメンタリー。記録フィルムだけでは史実がつながらない場合は、ドラマやゲストの懐旧談などで再現し、歌謡曲やファッションなどを織り混ぜたバラエティーに富んだ構成にする。（１９６１年１１月１１日終了）◆第１回は「走馬燈」。進行役は田鶴浜弘と別当旬子。